試合レポート

京都国際vs龍谷大平安

2022.07.28

京都国際が連覇達成!森下が逆転弾&6回1失点の大活躍

<第104回全国高校野球選手権京都大会:京都国際6-1龍谷大平安>◇27日◇決勝◇わかさスタジアム京都

 京都国際龍谷大平安を破って2年連続2回目の優勝を飾った。

 京都国際は準決勝の乙訓戦で3イニングを投げたエース左腕の森下瑠大(3年)がついに初先発。春以降に左肘を痛めていた影響もあり、「まだピッチャーとしては50〜60%くらい」(小牧憲継監督)という状態だった。

 その森下は1回裏、「中に入ってしまった」と直球を1番の南野倫平(3年)に先頭打者本塁打を浴び、いきなり先制点を許してしまう。それでも「悪ければ悪いなりにまとめるのが森下の良さ」(小牧監督)とそれ以降は要所でキレのある球を投げ込み、龍谷大平安に追加点を与えない。

 打線は龍谷大平安先発の足立雄祐(3年)の前に3回まで無安打に抑えられていたが、4回表に先頭の3番・辻井心(3年)が死球で出塁すると、続く森下が「(打った瞬間に)いったと思いました」高めの直球を右翼席に運び、高校通算21号となる2ラン本塁打で逆転に成功。エースで4番の一振りで状況を一変させた。

 その後は両先発の好投が続き、2対1のまま5回を終える。次の1点が試合を大きく左右しそうな展開の中で京都国際は6回表、1死一塁から5番・金沢玲哉(2年)が右中間を破る二塁打を放ち、二、三塁とチャンスを広げた。ここで6番・岩内琉貴也(3年)が一塁手のミットを弾く強烈なゴロを放つ。その後の処理が早く、岩内は一塁でアウトになったが、その間に三塁走者が生還して、大きな追加点を挙げた。

 さらに7回表には押し出し死球と暴投で2点を追加。なおも1死二、三塁のチャンスで森下が左前適時打を放ち、リードを5点に広げて足立をマウンドから引きずり降ろした。

 京都国際は7回裏から森下をライトに回して、背番号10の森田大翔(3年)をマウンドに送る。「まだ投げ込みもできてないですし、彼の将来をここで潰すわけにはいかないので、5回から6回を目処に代えようという話はしていました」と継投の理由を語る小牧監督。代わった森田も躍動感のある投球を見せて、7回、8回と無失点に抑え込む。

だが、9回裏に甲子園通算103勝の龍谷大平安が意地を見せた。1死から6番・上甲兼誠(3年)が死球で出塁すると、代打・川下優(3年)、8番・小椋壮留(3年)が安打を放ち、満塁とチャンスを作る。一気に龍谷大平安の反撃ムードが漂ったが、「森田がいなかったら間違いなくここまで来れなかった」(小牧監督)と今大会フル回転を続けてきた森田が踏ん張った。代打の清野悠大(2年)を見逃し三振に仕留めると、最後は南野を中飛に打ち取り、マウンド上に歓喜の輪ができた。

昨年は春夏連続で甲子園出場を果たし、今春のセンバツも出場が決まっていた京都国際。だが、大会直前に新型コロナウイルスの集団感染により、出場辞退を余儀なくされた。

「何が何でももう一度甲子園という舞台に戻してやるのが自分の責任だった」と巻き返しを誓っていた小牧監督。その思いとは裏腹にコロナウイルスの後遺症に悩む選手も多く、思うように強化は進まなかった。春の府大会は準々決勝で敗退。夏の甲子園出場に暗雲が立ち込めたが、6月に京都国際の代わりにセンバツに出場した近江との練習試合を経験して、「このままじゃ終われない」とチームに一体感が生まれ、京都の頂点をつかみ取った。

 これから森下がさらに調子を上げていくことができれば、甲子園でも十分に優勝を狙えるだろう。「やっと自分たちの代で甲子園の舞台に立てるので、ピッチングでもバッティングでも暴れまくりたいと思います」と意気込んでいた森下。春に悔しい思いをした分も夏の甲子園で思う存分に暴れてきてほしい。

(記事=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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