Interview

大阪桐蔭、履正社に敗戦、指名漏れも経験 大阪の公立校の右腕が東洋大で156キロのドラ1位候補に成長【前編】

2022.05.10

 大学野球界屈指の名門・東洋大に今年もドラフト上位候補の速球派右腕がいる。副主将を務める羽田野 温生投手(4年=汎愛)は最速156キロの直球を武器に主に抑え投手として投手陣を牽引している。

 188センチの長身右腕として汎愛高時代から激戦区・大阪府屈指の投手として注目を集める存在だったが、2018年のドラフトでは指名漏れを経験。4年後の指名を目指し関西を飛び出し東都リーグの強豪・東洋大へ進んだ。現在、最上級生となった浪速の剛腕は2022年の「ドラフト1位」候補まで成長を遂げた。

 羽田野にこれまでの野球人生を振り返ってもらった。

打倒・私学を掲げ公立校で大阪桐蔭、履正社と対戦

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高校時代の羽田野 温生(汎愛)

 高校時代は激戦区・大阪の公立・汎愛高で「打倒・私学」を掲げ甲子園を目指した。チームの期待を背負い、1年秋から公式戦出場を果たす。デビュー戦の対戦相手は翌年(2017年)の春にセンバツ優勝を果たす大阪桐蔭だった。

「打者のレベルの高さは他とは違うと思いました」。試合には敗れたものの、現中日の根尾 昂内野手から三振を奪うなど、同級生からは安打を許さず自信をつけた。

 高校最後の夏は北大阪大会3回戦で履正社と激突。7回まで1失点と好投も、8回に4失点を喫し1対5で敗れ、甲子園の夢は叶わなかった。

大阪桐蔭履正社とやって、負けたというのは悔しさはありましたが、その中でも自分の通用するところが見つかったのでよかったです」。最速147キロまで伸びた直球を武器にプロ志望届を提出。しかし、羽田野の名前が呼ばれることはなかった。

[page_break:関西を飛び出し全国屈指の名門でプロ目指す]

関西を飛び出し全国屈指の名門でプロ目指す

大阪桐蔭、履正社に敗戦、指名漏れも経験 大阪の公立校の右腕が東洋大で156キロのドラ1位候補に成長【前編】 | 高校野球ドットコム
東洋大・羽田野 温生投手(4年=汎愛)

 進路を決める際、羽田野は覚悟を決める。「関西の大学からも何校か声をかけてもらいましたが、関東のレベルの高いところでやりたいと思っていたので、東洋大学に進学を決めました」。汎愛高から東洋大野球部への進学は羽田野が初。「自分が関東で活躍して、汎愛の名前を広めたいという思いもあります」と関西を飛び出し、全国から逸材が集まる東都リーグで4年後のドラフト指名を見据え、東洋大の門を叩いた。

 東洋大入学後は高校時代にはほとんど行っていなかった「体づくり」に励んだ。「一日三食の他に夜にご飯を3合炊いて食べたりしました」と食トレも行い、入学当初80キロ前半だった体重は95キロまで増量した。ご飯のお供には「親が送ってくれた冷凍のおかずやレトルトカレーでなんとか3合食べきっていました」と関西にいる家族も支えとなっていた。一番好きなおかずは「ビーフシチューです」と頬を緩める。

 同時にウエートトレーニングにも励み、出力UPを目指した。今ではベンチプレスはMAXで125キロを持ち上げる。体重については「95までいった時は動きずらい感覚がありましたが、ベスト体重が92、3くらいだったので、そこに合わせてやっています」と現在は登板に合せて絞りながらベスト体重で臨めるように調整しているという。「下半身の土台を中心に作っていて、安定して球速を出すことができるようになりました」と成果を実感している。

 投球フォームについても東洋大に入って見直した。

「高校時代はピッチングを直接指導されたことはないので、我流でやっていたのですが大学に入ってからは細かいところも指導してくださって、結構大きく変わりました」

 特に「大きな変化」と語ったのが、「左足が付いてから投げる」というの意識だ。フォームの安定感が増し、より力を逃がさないフォームに改良することができた。

 現在の最速は156キロ。高校時の147キロから10キロ近く更新した。188センチ、95キロの体格から出力全開で剛速球を投げ込む投球スタイルを確立した。(後編に続く)

(取材:藤木 拓弥

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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