22年の沖縄をリードする名門・興南。県No.1の基礎能力をさらに開花させ、頂点を【後編】
春季大会のトーナメント表
・興南、沖縄尚学、北山などが属するブロック
・前原、沖縄水産、浦添商などが属するブロック
・ベスト8以上の組み合わせ
沖縄を代表する名門・興南。
3月3日、沖縄県大会の組み合わせが決まった。優勝候補として期待されるのが興南だ。戦力も揃い、野球の基礎技術、身体能力を測る第50回沖縄県高等学校野球部対抗競技大会(野球部対抗競技大会)では、1位に輝いた。夏までにはもっと注目度が高まっていてもおかしくない興南をクローズアップしたい。
打力不足を痛感した昨秋の九州大会
禰覇 盛太郎(興南)
昨秋、圧倒的な強さを見せ、県大会優勝を収めたが、九州大会準々決勝では鹿児島大島(鹿児島)の怪腕・大野 稼頭央投手(3年)の前に抑え込まれ、完封負けを喫した。主将・禰覇 盛太郎外野手(3年)は九州大会についてこのように振り返る。
「大島高校と試合をした際に、まだまだ打力が足りないなと。チャンスを作っての1本が出なかったことを感じられた九州大会でした」
我喜屋監督はこの冬が勝負だと選手に伝えてきた。
「長年遠ざかっていた秋季九州大会に出られたというのは評価しなければいけない。しかし、うちのチームは九州(大会出場)だけで満足できるファンはいません。あくまでも甲子園まで行くことです。春夏連覇という興南に対するイメージをファンは待っていますから。
それに近づくだけの努力はしないといけない。九州大会に出たということで自信は持てますが、ダメなことも分かった。その失敗から学ぶことが成長につながる。この冬が勝負ですね」
投手陣を主に指導する元ソフトバンク投手の島袋 洋奨コーチも、「秋に投げた2年生の平山(航多)も、たくさん課題を見つけられた大会でもありました。もっともっと3年生がチームを引っ張っていかないといけないと思う。そこは、まだまだレベルアップしないといけないと思います」
[page_break:競技会ではダントツで、基礎能力の高さを証明]春季大会のトーナメント表
・興南、沖縄尚学、北山などが属するブロック
・前原、沖縄水産、浦添商などが属するブロック
・ベスト8以上の組み合わせ
競技会ではダントツで、基礎能力の高さを証明
九州大会・大島(鹿児島)戦より
オフ期間はランメニューや基礎トレーニングを中心にこなしていたが、積極的に取り組んでいるのが筋力トレーニングだ。グラウンドの左翼フェンス奥では、器具を使って、トレーニングしていた。
投手のトレーニングの様子を見守る島袋コーチは、「ようやくこの時期(12月)にトレーニングを重視して取り組めていると思います。どうしても大会のスケジュールが詰まっていた時期もありましたので、来年に向けて今はフィジカル的な部分を鍛える良い時間になっていると思います」
その結果はしっかりと出ている。冒頭でも触れたように、昨年12月18日に野球部対抗競技大会優勝へ向けて、懸命に遠投、ボール回し、ロングティー、ベースランニングを行っていた。それが結果となって、1位になった。
全国レベルの強打の捕手である盛島 稜大捕手(3年)はロングティーで、1位タイの112.80メートルをマークした。禰覇主将は100メートル走で、全体2位となる11.50秒を記録した。チームを代表して野球部対抗競技大会に参加した選手たちは好成績を残し、身体能力と、それを引き出す基礎技術が高いことを証明した。
今春季県大会の初戦の相手も決まり、沖縄尚学がいる熾烈なブロックに入った。改めて大型捕手の盛島と禰覇主将は次のように意気込んだ。
「夏に向かってトレーニングを頑張っている中で、チーム一丸となれるように、みんなで意志を高く持って行きたいと思います」(盛島)
「トレーニングに励んで、春、夏で大きな花を咲かせるように頑張っていきたいと思います」(禰覇主将)
興南の良さは選手たちの能力が高いだけではなく、ランニングメニューでも多くの選手が励ましあったり、練習中でもキビキビと移動し、片付けや、グラウンド整備を行うなど、スピード感があり、名門チームの雰囲気をひしひしと感じられた。
22年は沖縄を席巻するような戦いを見せることができるか。
(取材=河嶋 宗一)