Column

阪神・矢野監督がOBにいる公立校・桜宮(大阪) 昨秋4強の裏に逆境下での特訓【前編】

2022.01.19

 阪神・矢野燿大監督の母校として知られている桜宮。スポーツ健康科学科が設置されるなど、部活動が盛んな学校で、野球部も1982年春に甲子園出場経験がある。近年も昨春と昨秋の大阪大会で4強入りを果たすなど、公立の雄として存在感を示している。その秘密を探る前編では、昨年秋の戦いを振り返る。

阪神・矢野監督がOBにいる公立校・桜宮(大阪) 昨秋4強の裏に逆境下での特訓【前編】 | 高校野球ドットコムあわせて読みたい
阪神・矢野監督がOBにいる公立校・桜宮(大阪) 昨秋4強の裏に逆境下での特訓【前編】
大阪公立校で32年ぶりの聖地へ 阪神・矢野監督の言葉を胸に65人の大所帯で挑む桜宮【後編】

北風監督に手応え

阪神・矢野監督がOBにいる公立校・桜宮(大阪) 昨秋4強の裏に逆境下での特訓【前編】 | 高校野球ドットコム
練習前のミーティングでメモを取りながら北風和樹監督の話を聞く選手たち

 チームを率いるのは北風和樹監督。履正社の岡田龍生監督とは日本体育大の同級生で、桜宮では2015年から監督を務めている。

 昨夏の大阪大会は4回戦で敗退。下級生では山本 昂奨捕手(2年)、二塁手の井上 大志(1年)、遊撃手の藤本 淳貴(2年)がレギュラーとして出場していた。

「センターラインがいるので、何とか試合になるかな」と北風監督は新チーム結成当初のチーム状況を分析していた。投手力に不安を持っていたが、制球力の高い高木 悠宇投手(2年)が台頭。さらにチーム一の守備力を持つ酒井 陽大(2年)を遊撃手で起用し、俊足の藤本を中堅手に回すことで、センターラインはより強固になった。

 その中でも北風監督が信頼している選手が、「捕手としての総合力が高い」と評価する主将の山本。相手を見ながら的確なリードができる好捕手で、打っても4番に座る。北風監督に適性があると見込まれて取り組んできた一本足打法も板についており、攻守でチームを引っ張る役割が期待されている。

 新チーム結成直後の練習試合では、例年なら劣勢となる相手に打ち勝つことも多く、北風監督はこのチームに手応えを感じていた。特に得点力の高さには自信があり、「投手が3点くらいに抑えてくれたら、6対3とか7対2とかのゲームができるんじゃないかな」という期待感があった。

[page_break:ハンディを乗り越えた練習が奏功]

ハンディを乗り越えた練習が奏功

阪神・矢野監督がOBにいる公立校・桜宮(大阪) 昨秋4強の裏に逆境下での特訓【前編】 | 高校野球ドットコム
藤本淳貴

 秋の大阪大会では順調に勝ち進むと、5回戦では強豪私学の東海大大阪仰星と対戦。先発の高木が好投を見せ、8回を終えて1対1の大接戦を繰り広げた。9回表に1死二、三塁のチャンスを作ると、9番・池田 瑛脩(2年)が「自分がここで決めたら勝てる」とスクイズを敢行する。結果的に失敗バントに終わったが、相手が一塁に送球したタイミングで三塁走者の井上が好スタートを切り、勝ち越し点を奪うことに成功。これが決勝点となり、2対1で接戦をものにした。

「普段、グラウンドを使えない状況の時に、ランナー、三塁でのバント練習を繰り返しやっているので、それを子どもらが応用してくれました。失敗バントでしたけど、三塁走者の井上のファインプレーかなというところですね」と決勝点の場面を振り返る北風監督。桜宮は陸上競技部などとグラウンドを分け合っており、全面を使えない日も少なくない。そういった日に小技を磨いてきた成果が土壇場に発揮された形となった。

 後編では、公立校としての取り組みを紹介する。

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.11

【北海道】旭川支部の抽選会は12日!旭川実、旭川志峯など強豪の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得