中学通算50本塁打、130m弾のスリランカ人スラッガー 指揮官も認める「U-15代表クラス」の実力
身長180センチ、体重87キロ、中学通算50本塁打、投げても最速135キロと規格外のスペックを誇る中学生が愛知にいる。
名前はラマル・ギービン・ラタナヤケ。生まれも育ちも日本だが、スリランカ人の両親の間から生まれ、父のバンダーラ・ラタナヤケさんは高校時代にバレーボールのスリランカ代表に選ばれた経験を持つという。
回転寿司では30皿 パワーの源は圧倒的な食欲
ラマル・ギービン・ラタナヤケ(愛知港ボーイズ)
規格外のパワーが自慢だ。幼い頃から体は常に頭一つ抜けており、食べる量も周りとは歴然とした差があったという。小学校4年生の夏から本格的に野球を始めると、メキメキと頭角を現していき、小学校6年時には12本塁打。愛知港ボーイズに入団後も、右肩上がりに成長を続けてきた。
「中学校に入学して、チームに入った時から身長は170センチあり、体重も70キロくらいありました。1年生ではホームランを3本打つことができて、2年生では30本くらい、3年生でも20本近くは打っていて、どんどん自信がついていきました」
パワーの源は、圧倒的な食欲と父の教えにある。食事では常に2、3人前は平らげるといい、中でも大好物なのはお寿司。回転寿司で30皿をぺろりと食べたこともあり、その大食漢ぶりにはチームを率いる堀田将司監督も苦笑い。
また元アスリートである父バンダーラ・ラタナヤケさんからは、毎日練習を続けることの重要性を日々説かれ、チームの練習がない日でも、ほぼ毎日体は動かしているという。
「サボらずに毎日練習しろと、いつも口酸っぱく、めちゃくちゃ言われます。なので毎日3キロくらいはサボらずに走っています」
[page_break:過去のU-15代表にも引けを取らない]過去のU-15代表にも引けを取らない
ラマル・ギービン・ラタナヤケ(愛知港ボーイズ)
打撃だけではなく、投手として高い能力を発揮する点も見逃せない。
最速は135キロを記録し、カーブ、スライダー、チェンジアップと変化球も多彩。力任せではなく、しなやかなフォームで投げている点も魅力で、「チャンスがあれば高校でもマウンドに立ちたい」と意欲を見せる。
「投手は小学校5年生から始めました。球威でねじ伏せる投球が持ち味で、変化球が抜けてしまうことが課題ですが、スライダーに一番自信を持っています」
ここまで指導してきた堀田将司監督は、2017年、2018年とU-15日本代表のコーチを務めた経験豊富な指導者。西武ライオンズの山村崇嘉内野手や、池田陵真外野手(オリックス5位)など、中学トップレベルのプレーヤーを見てきたが、「彼らにも引けを取らない能力」と太鼓判を押す。
「今年はコロナ禍でU-15代表は中止になりましたが、代表に選ばれるだけの素質は十分に持っていると思います。色んな選手を見てきましたが、実力でも引けは取りませんし、何より彼は努力できる子です。楽しみでしかないので、次のステージでも頑張ってもらいたいなと思っています」
現在は高校野球に向けてトレーニング中。まず「高校で怪我をしない体作り」を最優先に考えていると話す。憧れの存在にはMLBパドレスのフェルナンド・タティスJr.を挙げ、高校でも長打を武器に活躍したいと意気込む。
「高校では長打はもちろん、打率ももっと高めて試合で活躍できる選手になりたいです。できれば1年生から試合に出続けて、打率4割、ホームラン70本、そして甲子園でも活躍したいと思います」
スリランカ人スラッガーの夢は、まだまだ始まったばかりだ。
(記事:栗崎祐太朗)