中学時代は控え→都内屈指右腕に、都立狛江を2季連続8強へ牽引したエースの目標は「上の舞台」でも継続
今夏西東京ベスト8、秋も都8強入りを果たし東京都の21世紀枠推薦校に選出された都立狛江。この快進撃を導いたのが、夏から主戦で登板し打線でも中軸を担うエースの山崎 優投手(2年)だ。山崎の投打にわたる活躍で、2季連続8強という成績を収め、見事21世紀枠推薦校に初選出を果たした。今年の都立No.1の実績を誇る都立狛江のエースはどんな野球人生を歩んできたのだろうか。
中学時代は強豪・調布シニアでプレーも控え投手
山崎 優(都立狛江)
小学1年生の頃から調布市の杉森クラブで野球を始めた山崎は、当初からピッチャーを務めていた。中学はシニアリーグの強豪・調布リトルシニアでプレー。それでも「周りはすごい選手ばかりで、自分じゃ全然敵わなかった」と中学3年時は公式戦でほとんど登板しない控え投手だった。
都立狛江では1年秋からベンチ入りを果たすも、1年秋は一次予選敗退で出場機会はほとんどなかった。そして2年春も一次予選の中止で出場できず。それでも2年夏に頭角を現す。全5試合中3試合で先発し5回戦の強豪・八王子との試合では、9回2失点完投で都立校唯一のベスト8進出へ牽引した。「初戦から厳しい戦いが続きましたが、八王子戦では自分の投球ができました」と試合を重ねるごとに、武器である制球も安定し、持ち味を発揮。八王子撃破で大きな自信を得た。
そして秋も順当に一次予選を突破し都大会出場を果たす。都大会では西村昌弘監督も「いつ負けてもおかしくなかった」と語るように、初戦から接戦の粘り勝ちで準々決勝まで駒を進める。特に3回戦、明大中野八王子戦は9回二死、2点ビハインドから同点に追いつき、延長10回にサヨナラ勝ちという執念を見せた。「諦めずに粘れて、なかなか(このような)逆転勝ちはできることはないと思います」と山崎も明大中野八王子戦をこの秋のベストゲームに挙げた。
そして準々決勝では今夏甲子園出場の二松学舎大附と対戦。1年秋の一次予選でも対戦しており、0対7のコールド負けを喫していた。結果は2対4で惜敗。「要所要所では粘れていたのですが、点を取られた回は踏ん張りきれなかったです。その中で粘れて4点に抑えることができた試合だと思います」と強打の二松学舎大附を相手に自分の投球が「通用した」ことで自信がついた。都内屈指の右腕へ成長を遂げた。それでも、「体の大きさだったり、打球の速さが全然違った」と、個々のレベルの差も感じた試合だった。
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都内屈指右腕へ成長。「上の舞台でも」継続が目標
山崎 優(都立狛江)
2季連続8強という好成績を収め、創部以来初となる東京都の21世紀枠推薦校選出を果たした。「すごい嬉しいことですが、ここからは自分たちの力で変えることができないので、そこはいったん置いといて、次の春や夏に向けてどんどんとやっていこうと思います」と少し頬を緩めるも、高校野球ラストイヤーに目を向けている。現在、ストレートの最速は132キロ。
「(直球は)速い方ではないので、コーナにつく投球を心がけています」。持ち味はアウトコースを中心にインコースも使って空振りを奪うのではなく、相手の打ち損じを狙う。そして高校に入って改良したというチェンジアップも山崎の武器の一つだ。球速に関しては自身もまだまだ伸び代を感じている。「目標は140キロです。この冬は下半身の強化と股関節の柔軟性を鍛えたいと思います」。
そして「上の舞台でも野球をやりたいという思いが強いです」と大学で硬式野球継続も目標に掲げている。都立狛江は近年では2020年に東京ドームで行われた高校生合同練習会にも参加した武内 風希が埼玉ヒートベアーズでプレーするなど、高校野球後も硬式野球を継続する選手、それを目指す選手が増えてきているという。西村監督も「最近は山崎の方から積極的に進路の相談を受けるので、嬉しいことだと感じています。山崎以外も『六大学で野球がしたい』などと口にする選手も出てきました」と語る。
「野球をしっかりやれる環境でやりたい」。「都立の星」として大学野球の舞台でもその名を聞くことができるだろうか。春以降は各校にマークされる投手となるだろうが、まずは残り半年の高校野球生活を突っ走ってほしい。
(記事:藤木 拓弥)