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ライバルにするのは清宮幸太郎らではない。九州学院の恩師が村上宗隆に授けた金言

2021.12.17

ライバルにするのは清宮幸太郎らではない。九州学院の恩師が村上宗隆に授けた金言 | 高校野球ドットコム
高校時代の安田、村上、清宮、中村

ライバルにするのは清宮幸太郎らではない。九州学院の恩師が村上宗隆に授けた金言 | 高校野球ドットコム村上宗隆 恩師が語るシリーズ
■第1回
「ゴロではなく、フライを打て」MVP候補・村上宗隆の九州学院時代の恩師が語った飛躍の原点
■第2回
なぜ村上宗隆は高校時代、捕手へコンバートしたのか?その真意とは
■第3回
ライバルにするのは清宮幸太郎らではない。九州学院の恩師が村上宗隆に授けた金言
■第4回
「あいつは世話好きのおばちゃんです」村上宗隆の恩師が語るキャプテンシーの素質
■第5回
村上宗隆の恩師が褒めた「数字」と「姿勢」。そしてこれから願うこと

 2021年の日本プロ野球はヤクルトの日本一で幕が下りた。15日には「NPB AWARDS 2021」が行われ、数々の表彰が行われたが、1人の若者が大きな勲章を手にした。

 ヤクルト村上 宗隆内野手(九州学院出身)。プロ4年目の今季、39本塁打を放ち、巨人の岡本 和真内野手(智辯学園出身)とともに、セ・リーグの本塁打王に輝いた。そのほか、283塁打はリーグトップ、112打点、長打率.566がリーグ2位。東京五輪でも金メダルを決める本塁打を放つなど、日の丸のスラッガーとしても活躍した。

 その基礎は故郷熊本・九州学院の3年間で培われたといっても過言ではない。その秘密を探るため、当時の恩師、坂井宏安・九州学院前監督にインタビューした。言葉をひも解くと、「村上 宗隆」がスラッガーへと変貌を遂げる過程が分かってくる。

 今回は「清宮世代」と言われたなか、現在突出して活躍できている秘密に迫る。

 村上がドラフト指名された2017年の目玉は早稲田実業清宮 幸太郎内野手だった。7球団が1位指名で競合し抽選の末に日本ハムが交渉権を得た。抽選に外れた6球団は、外れ1位の指名でまたも競合する。ソフトバンク、阪神、ロッテの3球団が安田 尚憲内野手(履正社)、巨人、ヤクルト、楽天の3球団が村上を指名した。抽選の末に安田はロッテ、村上はヤクルトへ。そして甲子園で大会最多6アーチの新記録をマークした広島広陵の中村 奨成捕手は広島が中日と競合の末に1位で指名していた。

 「清宮世代」と言われたなか、他の選手ほど実績はなかった村上に、プロに入っての大事な心構えについて坂井前監督はこうアドバイスを送った。

坂井 清宮選手、安田選手、中村選手は高校生の時点では村上の先に行っていた。甲子園でも活躍していた。村上本人も全日本にも選ばれなかった。でも、彼らはライバルじゃないよって。先に行っているが、彼らを目標にしたらダメだよと。

 同じ世代がライバルではなく、目標を高く持つことを説いた。


ライバルにするのは清宮幸太郎らではない。九州学院の恩師が村上宗隆に授けた金言 | 高校野球ドットコム
九州学院・坂井 宏安前監督

坂井 プロに入ったら5つ、もっと上の10歳も年上のおじさん相手に勝負しないとダメなんだからと。「そのうち自分が」と思っていたら、下からどんどん上がってくる。プロの勝負は、高校の同級生とか、そのちょっと上下との勝負ではないんです。30過ぎのレギュラーの人と勝負しないといけないんです。今まさに、ヤクルトでやっているわけでしょう。そして結果を出している。自分も25歳だからそろそろと思ってても、また村上みたいのが、(ヤクルトの)山田選手みたいなのが下から出てきたら抜かれる。そういう勝負の世界だよと言っていた。

 ドラフト指名されてから、プロ入りするまでの期間は大事だ。自己管理をしっかりしないと、大器がつぶれてしまう可能性もある。村上はもちろん、真逆だった。

坂井 村上はずっと練習してましたよ。休まずに。年末年始に少し家族旅行で休んだくらい。あとは学校で練習していた。自分で振り込んだりしてました。あと、朝練習はしなさいと。どうせ、しばらくは二軍生活だから、朝は早いよと言ってましたね。

 坂井前監督は、同世代の選手たちに比べ、村上のスケールの大きさを感じていた。プロに入って何を大事にするべきか。チーム内の競争に勝たないと生きていけない世界であることを教え込んだ。プロでのスタートラインでは「負け」ていたかもしれない。でも今、「勝って」も何もない。プロの世界でベテランから若手まで様々な年齢層が所属するチーム内で、まず勝負して勝たないと始まらないことを強調した。決して清宮や、ロッテ安田、広島中村とは「張り合うな」「すでに上だと思っている」という「おごり」ではなく、何が大事かと足元をしっかりみて努力することを教えた。

(記事=浦田 由紀夫

【第4回を読む】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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