試合レポート

藤代vs竜ヶ崎一

2021.10.20

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公立の雄の対決は激しい打ち合いの末、藤代が竜ケ崎一に打ち勝つ

藤代vs竜ヶ崎一 | 高校野球ドットコム
7回に殊勲の三塁打を放った藤代・後藤君

 今週の関東地区大会は茨城県開催となっている。従って、通常は県大会1位校と2位校の2校が出場の関東大会だが、開催地元県に関してはもう一枠作られている。だから、万が一準決勝で敗退しても3位決定戦で救われる可能性がある。

 そういう意味からも、開催地元県勢としては、まずはベスト4進出が一つの目標となる。そこへ向けての対戦となった。しかも、近年は茨城県でも私学勢が優勢となってきた中で、公立の雄と言ってもいい存在の県南の両校の対戦となった。

 さらに言えば、藤代の菊地一郎監督と竜ヶ崎一の川井政平監督は、共に竜ヶ崎一の出身である。学年では菊池監督が4つ上ということになる。いわば先輩後輩の対決でもあるのだ。

 竜ヶ崎一の川井監督は、2019年春に前任の石岡一を21世紀枠で甲子園に導いている。そして、その翌年に母校へ異動しこの秋の新チームから監督就任したところである。つまり、このチームの2年生たちの入学と異動での赴任が一緒だということになる。それだけに、このチームに対する思いも強いといっていいであろう。

 公立の有力校同士の対戦で、どのような展開になるのかなと言うところだったが、竜ヶ崎一が初回、スクイズで先制して、なおも二死一二塁として、6番柳谷君が左中間二塁打して3点を先取した。藤代の新関君は立ち上がり、やや力に頼り過ぎたところもあったのかもしれない。

 試合後、この場面に関しては菊地監督も、「1点取られて、一二塁となった場面で、タイムを取るべきでした。これは私のミスでした。ちょっと、新関の力に頼り過ぎて何とかしてくれるだろうというところがありました。あそこを1点で終わっていたら、まったく違う展開の試合になっていたと追います」と初回の入りに関してはいささか反省の弁だった。

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竜ケ崎一・坂本叶侑君

 それでも、力のある藤代はその裏に園田君のタイムリーで1点を返して、2回には打者10人で二死一三塁からのディレードダブルスチールや安在君の左中間を破る三塁打などで4点を奪って逆転。竜ヶ崎一としては、二死としてからあと一つのアウトがなかなか取れない状態となり、川井監督も、早々とエースナンバーの榊原君を降ろして、一塁手の坂本君と入れ替えた。

 その後は、やや膠着したものの、6回に藤代が失策と後藤君、二戸君の連打などで2点を追加。

 ただ、竜ヶ崎一も、粘り強く追いすがっていく。7回には一死満塁から5番加藤君の左前打で2点をすぐに返す。しかしその裏、「取られた分は、この回取り返すぞ」と菊地監督がベンチから檄を飛ばすと、藤代の選手たちはそれに十分に応えた。

 一死から川原君と安在君が連打でチャンスを作る。二死となったが、4番園田君の強烈な一打は内野安打となり1点を追加。ここで新関君は申告敬遠で満塁となったが、続く後藤君は、菊池監督の、「ここは迷うな。思い切って引っ張っていけ」という指示通りに強く振って、打球は左中間を破り走者一掃の意地の三塁打でこの回4点。試合の流れとしては、大きな一打だった。

 ただ、食い下がる竜ヶ崎一は8回、二死走者なしから、四球後1番原君以下5連打で加藤君の二塁打などもあって奪われた4点をそのまま返した。しかし、苦しみながらも、新関君もその後は何とかこらえて2点差止まりのまま逃げ切った。

 菊地監督は、「連投になって、疲れもあったかもしれませんが、新関はよく粘って投げたと思います。ただ、7回もあと1点取れていればコールドとなったところなんだけれども、そこを攻めきれなくてこういうことになってしまいました(苦笑)。このあたりが、高校野球はメンタルとの戦いということでもあるんでしょう」と、改めて試合運びの難しさも実感していた。

 竜ヶ崎一の川井監督は、「打撃中心でチームを作っていきたかったんですけれども…。大事なところで。守りも崩れたのが痛かった。力だけではなく、対応力とか割り切りとか、いろんな場面での考え方、そんなことも大事なんだということを再認識させられて試合でもあった。一発勝負で、この大会は終わってしまったのですが、次へ向けては、そんなところを鍛えていきたい」と、次を見据えていた。

(取材=手束 仁


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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