Column

世代交代が進むソフトバンク「ポスト今宮」はじめ野手獲得がポイント

2021.10.05

世代交代が進むソフトバンク「ポスト今宮」はじめ野手獲得がポイント | 高校野球ドットコム
正木智也(慶應義塾大)と有薗直輝(千葉学芸)

 いよいよ、10月11日のドラフト会議が迫ってきました。今回はドラフト会議の解説でお馴染みのスポーツライター・小関順二さんをお招きし、今年の高校生や、各球団の若手メンバー構成、補強ポイント、おすすめの1位候補などに迫ります。今回はパ・リーグの第4回ソフトバンクをお届けします。

ーー巨大戦力と言われてますが

小関:新旧交代と外国人の入れ替わり時期にきてます。デスパイネも今年までだろう。グラシアルも活躍してないんで、投手はモイネロとマルチネスが非常に安定して、スチュアートJrも出てきて。あとは野手ですね。野手が交代期にきて、松田宣浩(岐阜中京出身)がリチャードと代わるという、新旧の入れ替わりです。外国人の入れ替わりもこれからあるでしょうから。その渦中では成績が落ちるのは当たり前だと思います。ずっとは続かない。

 リーグ連覇と日本一5連覇を目標にスタートした常勝軍団、ソフトバンクだったが、ここまでBクラスの4位と、予想外の低迷の結果となっている。しかし、小関氏はある意味「当然」だと分析している。これまで引っ張ってきた選手がある程度の年齢にきて、世代交代となれば、ここは避けて通れない道。今、まさにその真っ只中にいるだけだという。

ーー25歳以下のチームでは評価はどうでしょう

小関:Aランクです。投手の顔ぶれが全然違う。松本裕樹盛岡大附出身)、彼はまだ25歳以下。甲斐野央東洋大姫路出身)もいる。津森宥紀和歌山東出身)、杉山一樹駿河総合出身)とか、高卒でなくても若い。泉圭輔金沢西出身)も入るし、高橋純平県立岐阜商出身)も、古谷優人江陵出身)とか、笠谷俊介大分商出身)とか、続々といる。投手は抜群です。

 野手陣も同じだという。

小関:野手も栗原陵矢春江工出身)とか谷川原健太豊橋中央出身)とかいるが、捕手ではなく、栗原は一塁、谷川原は外野。セカンドは三森大貴青森山田出身)とか、サードはリチャードと井上朋也花咲徳栄出身)がいるし、ショートは川瀬晃大分商出身)がいる。周東佑京東農大二出身)がいて、柳町達慶應義塾出身)がいて、という状態で、見事に新旧交代の時期に入っている。その顔ぶれも、こうなっていくだろうなというのが見えてきているので、悪くはない。大体、巨人の9連覇というのはおかしかった。でも巨人も2位があって、最下位に沈んだわけだから、どっかで新旧交代の落ち込みはある。それが今、きている。

 そんななか、まだAクラス入りの可能性もあり、クライマックスシリーズにさえ、進出すれば、日本一への可能性を感じさせるチームに育て上げている工藤公康監督の指導力、管理能力を高く評価する。

小関:工藤監督はこれでやめることはないと思う。悪い時もベテランに固執しないで、うまく若手に顔ぶれをシフトしてますし、危機にしっかり対応している。こんな見事な監督とは思わなかった。野手への配慮はすごく行き届いている監督だなと思ってます。

ーー今年のドラフトはどうすればいいのでしょう

小関:ショートですね。全般に野手。投手は将来的にもそろっているので、野手を頑張って据えてほしいな。はっきりいって、今宮健太明豊出身)が戦力的に落ちているので、川瀬も「ポスト今宮」を襲おうという感じもあんまりしない。ただ、今年の候補生でもショートに、これっていうのがいないんでね。有薗 直輝千葉学芸)とか正木智也慶應義塾-慶応大)とかを1位でいって、外したら、地元の隅田知一郎波佐見-西日本工大)とか。左はそんなにいないんですよね。嘉弥真新也八重山農林出身)とモイネロくらいしかいない。あとは和田毅浜田出身)、大竹耕太郎済々黌出身)、笠谷がいて、古谷は、まだそんなにはっきり分からない。隅田はリリーフみたいですしね。

 小関氏は今年のソフトバンクなら、「ポスト今宮」の遊撃手、もしくは内野全般ができる野手をおススメした。昨年、ソフトバンクは野手強化を掲げ、5人とも高校生を指名した。現在の世代交代ともう一つ先の世代交代も見据えている部分もある。それだけ、現状の戦力に余力があるからできることでもある。最後に小関氏が、もっとも「ぜいたくな」ドラフトができるソフトバンクならではの言葉を残した。

小関:スカウトからすれば冒険はできる。

 誰を指名してくるのか、一番興味深い球団と言えるだろう。

(記事:編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!