専大松戸vs京葉工
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最速143キロ右腕・鈴木良麻が4回10奪三振も、持丸監督「心配です」
専大松戸先発・鈴木良麻
今春の選抜から2季連続甲子園出場という結果を残している専大松戸が、新チームの初陣を迎えた。地区予選が免除され、県大会からの登場ということで、どれだけ地に足付けて戦えるか。
対する京葉工はベンチ入りメンバー10名ということを踏まえても、専大松戸は強敵だ。まずは持っている力を発揮した上で食らいついていきたいが、専大松戸が初回から主導権を握る結果になった。
先発を任されたのは、エース・鈴木 良麻だ。甲子園でも背番号10を付けてベンチに入り、先輩たちともに全国の舞台を体感した数少ない経験者だ。その鈴木は立ちあがり、三者三振とこれ以上ない最高の形で抑えると、直後の攻撃で4番・横山 瑛太のタイムリーなどでいきなり7得点。大量リードで鈴木を援護する。
援護点をもらったマウンド上の鈴木は、2回に京葉工5番・渡邊 大智にこの試合初ヒットとなる二塁打で得点圏にランナーを背負ったが、落ち着いたマウンド捌きで無失点。4回にも3番・津田 瑛次に浮いた真っすぐをはじき返され、二塁まで進まれたが、5番・渡邊と6番・舘市 竜成の連続三振で4回も京葉工のスコアボードに0を刻む。
一方の打線は、2、3回は0点に終わっていたものの、4回に7番・大森 准弥のタイムリーで8点目を奪う。すると、4番・横山までタイムリーが続き、この回一挙10得点と試合を決めた。
最後は2番手・竹葉 洋太が京葉工を抑えてゲームセット。17対0で専大松戸が勝利した。
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マウンドに集まる京葉工ナイン
専大松戸の新チーム初戦は、5回12安打17得点の快勝で終わったが、隙を逃さない走塁など旧チームが見せてきた野球は今年も健在だった。細かな連携など詰めていくところも当然あるが、大会を通じて成長していくことを期待したい。
そんななかで活躍を見せたのが新エース・鈴木だ。
最速143キロを計測するという力強い真っすぐで、次々空振りを奪った。高めに浮いた真っすぐを長打にされたところから、ボールの質に関しては今後の課題となり得るところだろう。だが、鋭く変化するスライダーを含めても、素晴らしい投手であることは間違いない。
投球フォームを見ると、セットポジションから適度に右腕を折り畳んだままトップを作ると、肘をしっかりと前に出して打者寄りでボールをリリースする。下半身との連動も出来ており、フォームに関しても完成されているといっていい状態だった。
このことについて鈴木は「あまりフォームに関しては意識をしていません」と前置きをしながらも、「股関節にしっかりと重心を乗せて、腕を後ろではなく前で振るようにしています」と端的にポイントを教えてくれた。
やはり腕を前で振れるように鈴木自身でも意識をしていたが、この試合を通じて「長打2本については、相手有利のカウントから打たれているので、今後の課題です」と先を見据えた上で振り返った。
持丸監督も「今日は鈴木がどれくらい投げられるかも見たくて起用しました」と先発の意図を語りつつ、「長打2本がなければいい投手なんですが、シュートすることもあるので心配です」と新エースへの注文を付けた。
ただ前チームの主力投手だった深沢 鳳介、岡本 陸でも昨秋は140キロを超えていなかった。その点に関しては鈴木も自信を持っている。今春の選抜でベンチを外れたことで、トレーニングを重点的に行い、下半身を強化したことで、130キロ前後だった真っすぐを140キロ台まで伸ばしたという。今後はそれをどれだけコーナーに集められるかがポイントになってくる。
投手陣全体に対して「例年であれば投手を中心に戦えますが、今年はまだ探している段階です」と厳しいコメントをしている監督を納得させるような投球ができるか。次戦以降の鈴木の投球を期待したい。
敗れた京葉工は、強豪に立ち向かっていったが、ヒットをなかなか出せずに苦しんだ。しかしベンチ入りメンバー10名で予選を勝ち抜いて県大会に出られたことは1つの自信となるはずだ。春以降、新戦力の加入に期待をしつつ、充実のオフシーズンを過ごしてほしい。
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専大松戸得点シーン
京葉工2番手・阿比留 一樹
京葉工バッテリー
(記事=田中 裕毅)