初出場でベスト4!快進撃を続ける京都国際の名手を生む続ける「ボール回し」
この夏、快進撃を続け、初の甲子園出場。そしてベスト4入りの京都国際。そんな京都国際の持ち味といえば、次々と好遊撃手を輩出するところだ。曽根 海成(広島)、上野 響平(北海道日本ハム)。そして今年は武田 侑大と楽しみな遊撃手が多い。
甲子園ベスト4で注目度が高まっている京都国際のボール回しについて紹介をしていきたい。
3種類のボール回しのポイントを解説
京都国際の守備に迫る
キャッチボールは基本とよくいわれるが、京都国際の小牧監督はこの練習にどんな思いでやらせているのか。
「野球の基本はキャッチボールだと思いますので、その精度を上げていく。タイミング、ポイントというのは打撃、走塁に、リズム感、タイミングを技術と共有してやっています」
その中で気になったのはわざと落として投げるキャッチボール。これは就任して預かった選手の気質が大きく影響している。
「普通、ボールを後逸したら、すぐに拾いにいきますよね?ただ子供の時にボール抜かれたら、弾いたら、拾いにいく習慣がなかった選手がほとんどなんです。落としたらすぐに拾いにいく練習をさせています」
京都国際は中学時代でもそれなりに実績のある選手が入部するが、意外と大人たちがやれて当然と思う習慣ができていないことが多いのが実情だった。ワンバウンドさせながらのキャッチボールも預かった生徒たちの特徴を見たものだった。
「捕球態勢の時に力を抜いておく練習です。捕球態勢で硬直してしまう子が多いので、投げ手もしっかりと上から叩けなければ、きれいなワンバウンドにならないので、捕球の形、スローイングの精度を高める練習になります」
走りながらのスローイングとジャッピングスローもスローイングのコントロールを強化するために有効な手段だと説明する。
「今の選手たちは上半身で投げてしまう選手が多い。ジャンプして、跳んでいる間に、上半身の力が抜けて、正しく体を使えて、勝手にボールが離れて、上手く投げられる。その感覚を掴む練習です」
育成と勝利を両立し、全国ベスト4を達成
武田 侑大(京都国際)
旧来の守備練習と比べると非常に工夫が凝られた練習が多い。キャッチボール、守備練習は大事といっても、体の使い方まで落とし込んでいかないと、守備力は上達しない。遊び要素を織り交ぜながら、正しいスローイングの形を覚える京都国際の守備練習はグラウンド環境問わず実践できるだろう。
改めてポイントを整理すると、
【わざと落として投げるキャッチボール】
ポイント:落ちたらすぐにカバーに行く習慣をキャッチボールから身につける
【ワンバウンドさせながらのキャッチボール】
ポイント ワンバウンド練習は受け手(捕球)と投げ手(送球)の練習になる!
【短い距離のキャッチボール】
ポイント ショートスローなど内野手に必要な体の使い方を覚える!!
【走りながらのスローイングとジャッピングスロー】
ポイント 全身をバランスよく使って投げるために遊び要素を入れながら覚え込む!
こうして全国でも実績を残すようになった京都国際だが、小牧監督はかつての取材でこう答えていた。
「勝ちたかったら良い選手を揃えて、将棋の駒みたいに動ける子を作れば、負けにくいチームになりますけど、甲子園に出ているのにどこからも声がかからない選手もいっぱい見てきました。結果だけを出すことを求めるよりは高校で花が咲かなくても、その子の持っているエンジンを最大限にして上の世界に送り出したいと思っています。その過程に甲子園があるという考え方ですね」
もちろん、勝つために、嫌らしい野球を求めてきた時代もある。その両立は非常に難しいが、京都国際の選手たちを見ると個性を発揮しながら、勝つ野球を両立できているといえる。
前橋育英、二松学舎大付、敦賀気比と甲子園常連校を下してつかんだベスト4。令和をリードする実力校として、これから京都国際の育成システム、練習法はモデルケース担っていくのは間違いない。
(記事:河嶋 宗一)