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最もタイトな大阪桐蔭・東海大菅生ブロックに入った8校 投手登録人数・投手力状況は?

2021.08.15

最もタイトな大阪桐蔭・東海大菅生ブロックに入った8校 投手登録人数・投手力状況は? | 高校野球ドットコム
山田 陽翔(近江)、松浦慶斗(大阪桐蔭)

 第103回全国高等学校選手権は1975年の第57回大会以来となる3日連続順延が決まった。しかも今回は開幕日含め4日も中止がある。1975年と違うのは、3回戦最後の日から3日連続で中止があり、準決勝から2日連続で中止と、ある程度、大会を消化した上での順延だった。

 今回は大会2日目しか消化できていない。まだ初戦を迎えていないチームが35チームもあるのだ。大会関係者の苦悩ぶりが分かる。

 甲子園は1会場制のトーナメント。1会場制のトーナメントで、どうしてもきつくなるのは、1回戦終盤に登場するチームだ。大会初戦は遅く、準備期間はあるものの、その後の試合間隔が短くなり、投手運用がきつくなる。

 今回は阿南光沖縄尚学鹿島学園盛岡大附大阪桐蔭東海大菅生近江日大東北のブロックが特に厳しいと呼ばれている。

 変更後のトーナメント表を見ると、大阪桐蔭東海大菅生近江日大東北については以下の通りとなる。

17日(火) 初戦
21日(土) 2回戦
23日(月) 3回戦
24日(火) 準々決勝
26日(木) 準決勝
27日(金) 決勝

 1週間の球数制限が500球以内と決まっているため、投手運用が非常にきつい。そうなると複数投手制を敷いているチームが俄然と有利となる。


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本田峻也(東海大菅生)、森山 暁生(阿南光)、當山 渚(沖縄尚学)

 今回、8チームの投手陣について迫っていきたい。

阿南光
徳島大会では全試合、2年生左腕エース・森山 暁生が登板した。140キロ前半の速球、切れのあるスライダーを投げ込む好投手。森山の他に、右サイド・新田陽生がベンチ入りしている。

沖縄尚学
完成度の高い左腕・當山 渚、沖縄大会でノーヒットノーランを達成した右腕の美里 大雅、センターを兼任し、沖縄大会では7イニングを投げた後間 翔瑚は下級生の時から主戦投手として活躍。昨秋は全5試合32イニングを投げ、防御率0.84、被打率.132、奪三振率7.03と高い実績を残した。未登板だが、U-15代表の仲宗根 大斗(2年)もベンチ入りしており、期待の本格派右腕。投手層は非常に厚い。

盛岡大付
盛岡大附は計6投手がベンチ入りしたが、無失点に抑えた三浦 宗大(3年・右)、193センチ右腕・千葉 雄介が甲子園でベンチ外となった。4試合に登板した渡辺 翔真、1試合登板した大平 一真が軸。またこの大会からベンチ入りした左腕・井口 敦を加えた4人で運用することになる。

基本的に渡辺が中心だが、盛岡大付としては自慢の打線で点差をつけて勝ち上がる展開を持っていきたい。

鹿島学園
 140キロ前後の速球、多彩な変化球を操る右腕・藪野哲也は安定感抜群。控え投手については昨秋から活躍を見せた左腕・坂上春喜、大型右腕・大川塁の3人が中心。また、岩沢脩太も控えている。初戦は強打の盛岡大付と対戦するだけに投手陣総動員で勝負していきたい。

大阪桐蔭
今年の出場校の中で最も分厚い投手陣と呼ばれるのが大阪桐蔭。ベンチ入り投手は5人。大阪府大会では、2年生左腕の川井泰志が入っていたが、ベンチ入りする投手は140キロを超えるが、5人とも違う魅力がある。

背番号1の松浦 慶斗はこの夏、最速148キロをマークし、球威は大会屈指。スライダー、フォーク、ツーシームを投げ分け、打たせて取る投球を見せる。また140キロ前後の速球、切れのあるスライダーで勝負し、安定感は随一の竹中 勇登、188センチの長身から140キロ前半の速球を投げ込む右腕・川原 嗣貴の4人が中心だ。

そして一番復活してほしいのは、関戸 康介だろう。2年夏の投球は掛け値なしに世代屈指の右腕と印象づけるものだった。そこからどういう技術的なアプローチで復活できるか。初戦は17日。大阪大会決勝戦から半月以上の調整期間を経て、状態は上向くのか。

日程がタイトになったことで、関戸が起用できる状態かで、勝利の確率は大きく変わってくる。初戦から東海大菅生、次は日大東北vs近江と全投手陣が全勢力をかけなければ勝ち上がれない。それだけ厳しいブロックに入った。

東海大菅生
復調が期待される技巧派左腕・本田 峻也、先発・リリーフもこなせる櫻井 海理、速球派のリリーフ・千田 光一郎が基本。ただ2年生右腕の鈴木 泰成、牽制もうまく、安定感の高い松永 大輝がベンチ外となった。その代わり、代打の切り札として活躍する多井 耶雲も投手をこなせる。右スリークォーターから同じ腕の振りで直球とチェンジアップ系統のボールの投げ分けができる。やや癖球の球質なので打ちにくさがある。


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山田 陽翔(近江)

近江
速球派右腕・山田 陽翔、148キロ右腕・岩佐直哉の速球の勢いは本物。さらに星野 世那外義 来都副島 良太と3人の左腕が控える。速球派2枚と違って、3人の左腕はコントロールで勝負する技巧派なので、バリエーションが豊富。このブロックでは大阪桐蔭に次ぐ投手層といえる。

日大東北
右スリークォーターから切れの良い直球を投げ込む吉田 達也、技巧派左腕・馬場 央典の二枚看板。ほかには身長173センチの右腕・星 拳翔、左腕・堀米 涼太(1年)も控える。全国レベルだと継投策で凌ぐ形となりそう。

 こうして8チームの投手力を紹介すると、どのチームも3,4人以上が投手登録となっており、どのチームも複数投手制の意識の高さが伝わる。

 この8校の中で最も投手層が厚く、決勝までクオリティが落ちないで、運用ができそうなのが大阪桐蔭だろう。次は近江。山田と岩佐の2人が万全で、ベンチ入り左腕3名のいずれかが甲子園でも勝負できる目処がつくと、見通しが立ちやすいだろう。そして沖縄尚学も左右にエース格が揃う。粘り強く勝ち抜いてこのブロックを勝ち抜いてもおかしくない。

 残りの5校は悪くないのだが、打線の踏ん張りが課題で、大量援護で投手陣の心理的な負担を軽減していきたいところだ。

 このブロックから優勝校、もしくは決勝進出校が出てくれば、歴史的な快挙として語り継がれるのではないだろうか。もう一度、大会終了後に今回の順延背景を踏まえながら、各校の投手運用を総括をしていきたい。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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