揺るがぬ4強だが、この夏は岐阜第一が筆頭で勢力構図にやや変化【岐阜大会展望】
このところの岐阜県高校野球の勢力構図は固まってきている。鍛治 舎巧監督が就任して復活を果たした県岐阜商を筆頭にベテラン阪口 慶三監督率いる大垣日大。橋本 哲也監督率いる伝統の中京に福知山成美で実績のある田所 孝二監督が指導して安定してきた岐阜第一の4強が、ほぼ固定されている感がある。今春は中京が優勝し岐阜第一が準優勝した。
シード8校。67チームで争われる岐阜大会。秋季大会の4強がそれぞれシードで4つのヤマに分かれた。
中京が実力十分も、阪口擁する岐阜第一に「本命」の声
阪口 樂(岐阜第一)
春優勝で東海大会もベスト4の中京は、初戦の多治見工を突破すると、次が関と岐阜各務野の勝者。次の相手は土岐商が有力だが、中京としてはここまでで、いかに効率よく小田 康一郎君の負担を軽くして、加藤 航君らが試合をまとめられるかというところがポイントとなりそう。
ベスト4の座の争いはシードの岐阜工に瑞浪 麗澤、今西 千尋捕手の評判がいい大垣西あたりとの戦いになりそう。
阪口 樂君の投打が注目されている岐阜第一は今大会本命に推す声もある。阪口君は186センチ87キロと恵まれた体格を利しての投球が魅力だ。打撃では飛距離もさることながら、相手の極端な阪口シフトのスキを突くかのように左翼線へ落す打撃術なども兼ね備えており、長打力とバットコントロールにも非凡さがある。田所監督も、岐阜の地で初制覇への手ごたえも感じているようだ。
準々決勝まででは、海津明誠が曲者だが、その海津明誠と美濃加茂の初戦は序盤の好カードと言っていいであろう。美濃加茂は、攻守に評価の高い藤村 雄我主将が引っ張る。
高木のリード光る県岐阜商に、大垣日大、大垣商も十分
高木 翔斗(県立岐阜商)
反対ゾーンから上がってくるのは今春のセンバツ出場の県岐阜商が最有力だが、帝京大可児が抵抗を示すか。県岐阜商は、昨秋王者で左の野崎 慎裕君、右の松野 匠馬君らの投手陣と、それをリードする高木 翔斗君のバッテリーがしっかりしている。準々決勝で岐阜 第一との一戦を切り抜ければ、一気に頂点に駆け上る可能性も十分だ。ただ、新型コロナの影響で、最もチームを作り上げていく期間の5~6月に実戦経験を積みきれていないところにいくらか不安はある。
市岐阜商と東濃実がシードとなっているヤマは、もっとも混戦のゾーンでもある。春季県大会で県岐阜商に競り勝った市岐阜商は勝負強さには自信を持っている。その市岐阜商には関商工、関有知あたりが挑むことになるか。東濃実は岐阜城北、中津商などが相手となっていきそうだが、このゾーンからはスルスルと思いがけない伏兵が上がってくる可能性もありそうだ。
昨秋は準優勝、春もベスト4と、このところ安定した実績を上げている大垣商も十分に可能性がある。3回戦では岐阜総合学園とぶつかりそうだが、ここが最初のヤマでベスト4を賭けて
大垣日大と競うことになりそうだ。昨秋、今春と勝ち切れなかった大垣日大は、この夏に賭ける思いは強いだろう。夏を目指しての阪口監督のチーム作りには定評があるだけに、ベスト4に残ればここからは勝負強さを発揮する可能性も十分にある。
また、このゾーンでは開幕日の初戦で「岐阜・長良」という昭和時代に実績のある県立伝統校対決もあり興味深い。
最終的には、やはり中京、県岐阜商に大垣日大、岐阜第一と4強の争いになりそうだが、そこへ市岐阜商や大垣商がどう絡んでくるのかということになりそうだ。
(文=手束 仁)