Column

早慶などにも進学する県立太田が実践する理系の極意

2021.06.28

 春季群馬県大会で、夏の群馬大会4連覇を成し遂げていた前橋育英に勝利。学校として26年ぶりのベスト4に入る快進撃を見せた県立太田。同校OBである岡田監督の指導のもと、夏の群馬大会でもシード校としての躍進が期待される。

 そんな太田は、偏差値68の県内屈指の進学校としても周りからは有名だ。野球部は現在、3学年で6割ほどが塾に通いながら練習に打ち込んでいる状況。そして卒業生を見れば、慶応義塾大学や早稲田大学に進学する選手もおり、文武両道を実践しているチームなのだ。そこで今回は選手たちに、日ごろの勉強方法など文武両道のコツを教えてもらった。

【選手プロフィール】
寺島優・・・秋も春もともにベンチ入りを果たし、前橋育英戦でも2番手として登板。好リリーフを見せて、勝利に貢献した。現在は理系のクラスに入っており、将来は国立大学の理工系への入学を目指す。
小林亮太・・・秋は記録員としてベンチに入っていたが、今春は背番号10をもらい、選手としてベンチ入りした成長株。寺島と同じく理系のクラスに入っており、塾に通いながら練習に打ち込んでいる。

睡眠時間を確保できるようにスケジュールを立てる

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小林亮太と寺島優

――3年間高校生活を送ってきて、文武両道を成立させることはどう感じていますか。

寺島:一番は難しいですね。練習があるので勉強時間が限られているのもありますが、それよりも疲労です。やはり毎日の練習で疲れた状態で勉強をしようと思っても眠くなってしまいます。そのなかでもやらないといけない時があるので、文武両道をするうえで、疲労が一番の悩みです。

小林:3年間高校生活を送っても、年度ごとに先生も変わるので、出される課題の量や授業の進め方でどうしても慣れない部分が出てきます。だから今でも文武両道は難しいと感じています。

――太田高校だと、課題はどれくらい先生から出されますか?
寺島:平日だと、授業で1つの単元が終わるごとに、課題が出されます。これはすぐに提出することはないですが、1つの単元すべてが課題なので、かなり量が多いです。あとは、週末課題と言う土日で取り組む宿題が先生から出されています。

小林:特に単元ごとの課題は、問題集の中から指定されるんですが、かなり量が多くて、終わらせるだけでも精一杯です。

――では1日をどのように過ごして、課題など勉強をしつつ部活動を両立させていますか?
寺島:普段、練習は19時半から20時に終了します。それから帰宅すると21時頃です。お風呂と食事を済ませると23時くらいになっていますが、もし体力に余裕があれば2時間勉強をして、1時に就寝して7時頃に起床しています。
けど疲れている時もあるので、その時は早く寝て、代わりに5時起床で2時間勉強をやります。それで8時45分からの授業に間に合うように移動します。

小林:自分も練習が終われば、21時ごろに帰宅しますが、移動時間は英単語を見たり、勉強する時間に充てています。だから、家ではお風呂と食事を済ませたらすぐに寝ています。そして朝は6時に起床して、学校には7時半くらいに登校して、授業の予習をしています。

――2人も睡眠時間は6~7時間は確保しているんですね。
寺島:睡眠時間が短いと身体に悪影響だと聞いたことがあるので、自分のなかでは6時間を睡眠時間の目安にしています。

小林:自分はそれくらい寝ないと、日中に眠気が誘われて、授業へ集中できないので、6時間は確保するようにしています。

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寺島選手の1日のスケジュール

――2人も家では、予習もしくは復習をされていますが、その時に気を付けていることはありますか?
寺島:自分は、周りのクラスメイトに遅れないために復習をやっていますが、1つ1つの問題を丁寧にやろうと思っています。同じ問題を繰り返しやることも大事ですが、その時間がもったいないと感じています。だからできるだけ1回で覚えられるように意識して復習をしています。

小林:数学の場合だと、教科書を読んで、その単元の中で、どこがポイントなのか事前に予習でおさえておきます。英語の場合だと、わからない単語を調べたり、文章を読んだり。あとは問題をやっておいて事前に頭の中に大事なポイントを入れておきます。それがあるだけで授業の理解度は全然違うと思っています。

――ありがとうございます。では、試験前になると時間の使い方に変化はありますか?
寺島:寝る時間は1時くらいで、起きる時間は6時~7時なのは変わりません。ただ、学校が終わったら真っすぐ家に帰って、先に仮眠を2時間程度取ります。そうすると20時くらいになりますので、食事や風呂を済ませて、21時から徐々に始めるようにしています。自分は周りが静かだと集中力が高まるので、そういった時間の過ごし方をしています。
実際に家族の人にも「勉強に集中したいから早めに寝て」とお願いする時もありますし、近所のおばあちゃんの家の方が静かだと思えば、そっちに行ってやる時もあります。

小林:自分も寝る時間、朝の過ごし方は変えずに23時頃に寝て6時起床。7時半まで学校に行って予習をするように過ごしています。
ただ放課後は、夏の大会も近いので、必ず1時間はグラウンドで自主練習をしてから塾に行こうと思っています。塾では自習をして20時くらいには帰って、それから風呂と食事を済ませて寝ます。

[page_break:理系であっても要点はしっかり暗記するべし]

理系であっても要点はしっかり暗記するべし

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小林亮太のノート(左)と寺島優のノート(右)

――ありがとうございます。では話を変えて、理系の勉強方法のコツがあれば教えてください。
寺島:どんな問題でも必ず要点はあるので、理系であってもそこは覚える必要があると思います。理系の問題は、要点が同じでも、問題文や数字の部分などを工夫している似た問題があります。だから要点を覚えて理解できれば、ある程度の問題は解けるようになると考えています。

小林:自分も、教科書などに書いてあるポイントだけは覚えるのが良いと思っています。ただ、難しい問題だけは丸暗記も仕方ないかなと思って、暗記しています。

――授業中の過ごし方が2人にとってはとても大事だと思いますが、気を付けていることはありますか?
寺島:授業中は、先生がボソッと言ったようなことでも大事だと思えば、メモするようにしているので、しっかり話を聞くようにしています。ただ、先生も授業の本題から外れる時があるので、その隙に教科書を読みこんで予習します。出来るだけ時間を有効に使いたいですし、そうすれば家では復習することに集中できるので、自分は実践しています。

小林:まず、先生の話をしっかり聞くというのは大前提です。教科書を読むだけではわからないところを先生が解説してくれているかもしれないので、話はしっかり聞くようにしています。その中で、強めの口調で話してくれているところは、「テストに出るような大事なところだろうな」と思って、ノートにメモを取ります。

――では、ノートを書く際に、注意していることがあれば教えてください。
寺島:色をあまり使わないことです。大事なことをすべて色ペンで書いてしまうと、本当に大事なことがわからなくなってしまいます。だから、教科書に書いてあって、なおかつ先生も授業中に話してくれたことは本当に大事だと思って、蛍光色のマーカーを引くようにしています。
それ以外に関しては、記号を使うなど、同じ黒でも目立つようにしています。

小林:重要なこと。そして先生の話の中で、ポイントだと思うことをメモするようにしていますが、気を付けているのは同じ色を続けないことです。ノートは、後から見返しても見やすくしないとダメだと考えているので、同じ色が続けて見にくくしないこと。あと、文字を詰めすぎてしまっても読みにくさが出てくるので、ある程度余白を作ることも意識して板書を写しています。

――ありがとうございます。最後に勉強で現在、不安なことがあったら教えてください。
寺島:今は解決できましたが、少し前まで先生と仲良くなれるかが不安でした。仲良くなれた方がわからないところも質問しやすいと思うので、自分は仲良くなれそうな先生を探すようにしていました。ただ、その問題は解決したので、今のところ不安はないです!

小林:3年生なので、ここまでの振り返りをしないと後悔すると思うので、わからないところを先生にどんどん質問をしていきたいと思います。

 これから勉強も野球も大事な時期だと思いますが、文武両道で頑張ってください!今回はありがとうございました!

(記事:田中 裕毅)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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