高校球児が憧れる遊撃手・源田壮亮。母校である大分商に起きた現象とは?
2016年以降、新人王2人も輩出した県立校がある。それが大分商だ。17年の源田壮亮(埼玉西武)、20年の森下暢仁(広島)だ。今回は源田の高校時代である恩師・渡辺正雄監督に当時の源田や現在の成長について語ってもらった。
指揮官も驚かせた対応力の高さ
大分商出身の源田壮亮選手(埼玉西武)
明野ボーイズ出身の源田は当時から守備力の高さに定評はあったが、渡辺監督によると高校1年の源田は体がかなり小さかったという。ただ源田は体作りによって身長、体重も変化していったが、そこで渡辺監督を驚かせたのはサイズアップしてもバランスの良さを維持できて、さらにパフォーマンスアップをしていたことだという。
「体の成長と同時に自分のパーツをうまく扱うのは凄い難しいと思うんですけど、それ(その身長)にあった体の使い方ができる。見ていて、バランスの良さ、センスの良さ、素晴らしい選手だと思います」
大分商時代は10年春、九州地区大分予選決勝進出を果たし、準優勝。3年夏も3番ショートとしてチームを牽引し、ベスト8。卒業後は愛知学院大進学すると、1年生からレギュラーの座を獲得し、大学4年春にはベスト4を経験。トヨタ自動車でもレギュラーとして活躍。埼玉西武から3位指名を受け、新人王を獲得。ゴールデングラブ賞を受賞し、パ・リーグを代表する遊撃手へ成長した。渡辺監督はカテゴリーごとの順応力の高さに驚きを見せている。
「プロ入り時、守備は問題ないという評価で、あとは打撃だけといわれていました。1年目から素晴らしい打撃をしていて、高校、大学、社会人では見られない対応力が見られて凄いなと思っています」
愛知学院大時代の源田壮亮選手
鮮やかな守備を見せる源田を憧れる高校球児は多くなり、高校生ショートにどの選手の守備動画を見ているのかを聞くと、源田を上げる声が圧倒的だ。大分商にも大きな影響を与えるという。
「源田の活躍もあって、うちに入学する選手はショート希望の選手の割合が非常に多くなりました。
今では部員の半数がショート希望というぐらい、源田に憧れて、(大分商に)入ってきていますね。川瀬晃(福岡ソフトバンク)、広澤伸哉(オリックス)もそうです。彼らは源田の動画を見て参考にしながらプロにいっていますし、源田の影響力は大きいと思います」
[page_break:これからも後輩たちの刺激に]これからも後輩たちの刺激に
渡辺正雄監督
また後輩たちにとっても、源田は憧れの存在だ。遊撃手として入部し、現在は141キロ右腕へ成長した岩尾翔太は「本当に憧れの選手で、大分県民からの僕からすれば、源田さんはスーパースターです」とコメント。
ドラフト候補として注目される通算25本塁打のスラッガー・三代祥貴は、「プロの世界は自分たちが見ている打球の速さとは違うんと思うんですよね。
自分たちが見たことがない打球に対して、年間通して試合数であんな少ないエラー数で収めているのは凄いことだと思います。自分は三塁手なのですが、サードなのですが、あんな守備をしてみたいなと自分でも思っています」
渡辺監督は同じ大分出身の今宮健太(明豊出身)と張り合いながら球界屈指の遊撃手として活躍していることはとても喜ばしいことだと捉えている。
「今宮選手には今宮選手の良さがあり、源田には源田の良さがある。お互いも刺激し合いながらプロの世界でやれているので、2人を見て、後輩たちに彼らのことについてお話ができることはとても大きいこと。大分商、明豊の現役選手立ちもお互いで頑張っているところがありますので、本当に良い刺激でやれているのかなと思います」
これからも大分商の後輩たち、そして高校球児たちの憧れのショートして走攻守で躍動したプレーを見せ続ける。
(記事=河嶋 宗一)