【2021年注目選手】沖縄を代表する名門・沖縄尚学・興南に現れた2人の逸材投手とは…
2021年を迎えた沖縄県高校野球。コロナウイルス次第では、正直大会の開催も危ぶまれるところもあるだろうが、みんなの思いは一つ。終息してくれること。そしてまた、大好きな野球に打ち込めるようになること。そんな2021年になるよう祈願しつつ、2021年の注目選手を二人挙げたいと思う。
宮城大弥に続け!快速左腕・山城京平(興南)

山城京平(興南)
まずはストレートが140キロを超えてくる興南の快速左腕・山城京平を紹介する。まだ一年生の秋、敗色濃厚となった三回戦沖縄水産との戦いで終盤の2イニングに登板した。その後一年生中央大会に出場。一回戦のKBC学園未来沖縄とのゲームでその名を挙げた。
KBC学園未来沖縄戦で先発した山城京平は5つの四死球を出すなど制球に苦しむ一方、8回を除く毎回奪三振をマーク。13個もの三振の山を築き完封勝利を収めた。準々決勝の名護戦では終盤の3イニングと1/3を投げ2安打無失点。準決勝を休み、決勝戦のマウンドへ。ライバル沖縄尚学打線に手も足も出させず、5安打7奪三振完封勝利。長打を1本も許さず、宮城大弥(オリックス)や勝連大稀(ソフトバンク)らもなし得なかった大会優勝に貢献した。(宮城大弥は投げず4番センターで出場。北山に8-9で敗れている)
一年生中央大会での成績は21回と1/3イニングを投げ23奪三振。防御率0.00と、完璧なピッチングだった。
より成長した姿を見せたい春だったが、日本ウェルネス沖縄の打線に捕まり敗退。2020沖縄県高等学校野球夏季大会でも日本ウェルネス沖縄とぶつかった三回戦、リードされた二番手で登板したものの流れを食い止めることが出来ないまま終えた。
しかし迎えた秋。みたび日本ウェルネス沖縄とあいまみえた興南と山城京平。興南プライドにかけても、同じチームに三連敗は許されない。先発のマウンドに上がった山城京平は、2回を除く毎回奪三振。4回以降、日本ウェルネス沖縄打線をノーヒットに抑え3安打11三振で完封勝利と、ベンチの期待に十二分に応える快投を見せた。
準決勝では味方のエラーから失点を許したものの、2回以降具志川商に得点を与えない力強いピッチングを見せた。試合には敗れたが、秋の成績(順位戦を除く)は4試合に登板し自責点は僅かに2。防御率0.64、被打率.121、奪三振率9.00と一流投手の数値が並ぶ。
偉大な先輩・宮城大弥を持ってしても敗れた2019年最後の夏。その覇権を取り返せるかどうかは、県ナンバーワンのこの左腕に託されている。
沖縄尚学の投打の柱!後間翔瑚

後間翔瑚(沖縄尚学)
走攻守に加え投も兼ねる沖縄尚学の大黒柱が後間翔瑚だ。一年生のときから比嘉監督の目にとまった後間翔瑚は、秋の大会で2試合に登板するも、パッとした成績は残せなかった。しかしその後、一年生中央大会に出場。初戦の宜野座との戦いでは1番ピッチャーで登場。7回を投げ被安打僅かに2本、9奪三振の快投で名を挙げる。
続く中部商戦では1番ライトで出場し2安打1得点。準決勝の知念戦では2番ライトで出場し、4安打3打点。三塁打を放つなど大暴れでチームの三年連続決勝進出に貢献した。
決勝の興南戦では先発としてマウンドへ。山城京平との投げ合いの中、6回でマウンドを降りるも2失点(1自責点)と、試合を作り続けた。
一年生中央大会での成績は、13回を投げ12奪三振1自責点。防御率0.69をマークする一方、打者としても17打数8安打、打率.471と非凡な才能を見せつけた。
年が明けた春。那覇商戦の同点9回に代打で打席に立つと、ライトへ見事な二塁打を放つ。その後、サヨナラ勝ちとなるホームを踏むなど持っているところを見せつけたが、チームは中部商戦で敗退。
2020沖縄県高等学校野球夏季大会は、三年生中心のチームで出番は無かったが、この秋に躍動。最初の3試合では18イニングを投げ12与四死球と制球に苦しんだが残り2試合で調整。準決勝の与勝戦と、決勝の具志川商戦の14イニングで無死球ピッチング。
全5試合32イニングを投げ、防御率0.84、被打率.132、奪三振率7.03をマーク。その能力の高さは、九州地区高校野球大会(延岡学園戦7イニングを投げ2失点)でも発揮された。
沖縄の球史に残る2019年の夏。当時一年生だった後間翔瑚の目にも、先輩たちの活躍は強く焼きついた。沖縄尚学2年振りの夏の頂点は、マルチプレイヤーとして輝きを放つこの男の手にかかっている。
(記事=當山 雅通)