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大学生、社会人の奮闘に「令和版・四国スタイル」。2020年の四国地区高校野球を振り返る

2020.12.26

 日本中、いや世界中が新型コロナウイルスに苦しみ抜いた2020年も間もなく終わろうとしている。野球界も例外なく厳しい一年を過ごした中、四国の高校野球では今年、何が起こったのか?

 今回は少し「高校野球」という枠からはみ出しながら振り返ってみたい。

四国地区大学生、社会人の奮闘、現役球児への大きな刺激に

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四国学院大・中尾 明生監督・渡辺 智男スカウトと共に写真に収まる埼玉西武ライオンズ育成5巡目・水上 由伸

 2020年、秋から冬にかけて四国の野球界で大学・社会人カテゴリーでの歓喜が相次いだ。まず10月26日のプロ野球ドラフト会議では四国学院大・水上 由伸投手(帝京三<山梨>出身)が埼玉西武ライオンズから育成5巡目指名。3名が指名を受けた四国アイランドリーグplusを除けば四国内で唯一のドラフト指名選手となった。

 四国学院大出身としては2001年・広島東洋カープ10巡目指名の天野 浩一高松西<香川>出身)、JR西日本を経て2015年に千葉ロッテマリーンズから7巡目指名を受けた高野 圭佑呉工<広島>出身)両投手に続く3人目。かつ高校時代以来となる投手復帰1年あまりで最速150キロを出しての快挙達成は、「次のステップ」で夢実現を目指す四国高校球児へ大きな励みとなったに違いない。

 また11月末には、社会人・都市対抗野球で四国銀行(高知市)が2勝をマークしチーム史上初、四国勢としても1977年・丸善石油(松山市・廃部)以来43年ぶりとなる8強入りで大会3大表彰の1つ「小野賞」を初受賞。

 八幡浜(愛媛)出身・菊池 大樹投手(龍谷大卒5年目)の優秀選手賞受賞、来季ドラフト候補にもあがる水野 達稀丸亀城西<香川>出身2年目・JR四国から補強)遊撃手のパナソニック(門真市)戦3安打など、「元・四国高校球児」が全国で結果を出したことで、現役球児たちにも新たな選択肢が生まれたといっても過言ではないだろう。

[page_break:苦難の中に見えた「令和版・四国スタイル」]

苦難の中に見えた「令和版・四国スタイル」

大学生、社会人の奮闘に「令和版・四国スタイル」。2020年の四国地区高校野球を振り返る | 高校野球ドットコム
延長12回表に高知の勝ち越しを阻止した明徳義塾・加藤愛己(2年・捕手)

 一方、四国の高校球児にとってこの一年は常に「苦難」の文字がつきまとった。甲子園は言うに及ばず、春の県大会・四国大会もすべて中止。高知県・徳島県の総体関連試合含め、夏の各県独自大会まで公式戦が行えない状況が続いた。

 にもかかわらず、夏の独自大会は各県ともに熱戦が繰り広げられることに。中でも逆転に次ぐ逆転となった徳島県高等学校優勝野球大会決勝戦・鳴門vs徳島商松山聖陵・平安山陽(徳島インディゴソックス入団予定)が圧巻のピッチングを披露した令和2年度愛媛県高等学校夏季野球大会決勝戦・松山聖陵vs宇和島東などは、叶わぬ「その先」を見たくなる素晴らしい内容であった。

 3年生たちが残してくれた「どんな状況下でも全力で」は秋の闘いにも引き継がれることに。徳島県大会では鳴門が徳島商との11点差をひっくり返せば、高知県大会決勝戦・明徳義塾vs高知代木 大和明徳義塾)と森木 大智高知)の投げ合いにより、延長12回日没コールドでの再試合。四国大会1回戦でその森木を攻略した高松商鬼滅の刃作戦
」も見事であった。

 そんな一年を通じて見えてきたこともある。秋の四国頂点を極めた明徳義塾や初甲子園へ大きく前進した聖カタリナ学園(愛媛)に代表されるように、個々のタレント力を最大限発揮するために対戦相手への探究を深め、試合中の状況変化に対応する。練習は個の技術を高めるのはもちろん、試合での対応力を鍛える幅を作る。この精度をいっそう高めれば、全国でも勝利を得らえることは甲子園交流試合で明徳義塾尽誠学園が実証してくれた。

 まだ苦難が続きそうな2021年。その先にある時代の変革。そこにも対応できる「令和版・四国スタイル」を構築するため、四国の高校野球は前に進み続ける。

(記事:寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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