高松商、高知・森木 大智を「完全攻略」し準々決勝へ!



高松商先発・德田 叶夢(2年)

 高知の最速151キロ右腕・森木 大智(2年・右投右打・184センチ86キロ・高知中)が「4番・投手」で先発した試合、高知市営球場の内野席は観衆でほぼ埋まった。その数は約1,800人。これはこのスタジアムで多くのホームゲームを開催している四国アイランドリーグplus所属・高知ファイティングドッグスですら滅多に見られない動員数である。

 もっと具体的に言えばMLBのスーパースターであるマニ―・ラミレスの(結果的に)高知ファイティングドッグス最終戦となった2017年5月28日の徳島インディゴソックス戦の観客数が1,804人。球団史上最多観客試合は2015年6月20日・藤川球児投手(阪神タイガース)が高知ファイティングドッグス入団初登板となった香川オリーブガイナーズ・徳島インディゴソックス連合チームとのオープン戦における2,685人。すなわち、森木の登板はもはや高校野球界を越え、高知県民全体の関心事と言えるものである。

 しかし試合の主役は2時間17分のほとんどが高松商の側。かつ勝利への過程は極めて理詰めで行われた。長尾 健司監督は試合後、その軸となる「森木攻略法」の一端を明かす。

 「(2016年の)センバツで創志学園髙田 萌生(現:東北楽天ゴールデンイーグルス)を打った方法を使いました。変化球は捨てさせてストレートを狙う。高知県大会でも明徳義塾の選手たちが変化球を捨てて対応できているのを見て大丈夫かなと思いました。ですので、練習ではピッチングマシンに対して振り切らず当てる練習をして、選手たちには『バットに当てていけばファウルはできる』と言っていました」

 さらに試合中にギアを上げる豪腕に対しても「竈門炭治郎のように自分たちもギアを上げる。名付けて『鬼滅の刃』作戦(笑)」で対抗。結果、森木からは「大きな構えからコンパクトなスイングをすることを心がけている」4打数3安打1打点の3番・浅野 翔吾(1年・右翼手・170センチ84キロ・高松市立屋島中出身)をはじめ9番を除く全員出塁で147球を投げさせ11安打5四球を奪取。得点も序盤での3得点に7・8回での追加点と効果的に奪って、高知の刃を完全に折ってみせた。

 一方、高知は前日の公式割り当て練習中、左投手の山なり投球で行ったバントゲームに象徴される「試合を想定した詰めの甘さ」が、そのまま試合内容に現れた形に。高松商左腕・德田 叶夢(2年・左投左打・171センチ77キロ・さぬき市立さぬき南中出身)に対しても、6回表二死一・二塁から9番・田野岡 脩人(2年・遊撃手・右投左打・175センチ64キロ・高知市立潮江中出身)

 結局、明徳義塾代木 大和(2年)に2試合21イニングで1点しか奪えなかった県大会決勝戦に引き続く左腕攻略の宿題も春以降に持ち越された形となった。

 これで高知中・春夏中学軟式全国制覇世代に残された甲子園へのチャンスは正真正銘来夏の1回のみ。彼らにはこの痛恨の敗戦を機に、真にこれまでの自分たちを振り返り、高知中時代に森木をはじめ選手たちが常々話していた「野球人口が減っている高知県の子どもたちに野球をしてもらえる」チームになるための術を考え、実行してもらいたい。

 幸いにもそこに着手する時間はまだ「冬の鍛錬」という形で残されているのだから。

(文=寺下 友徳