二俣翔一などタレントを輩出しつづける磐田東(静岡)の課題
静岡、加藤学園、常葉菊川など多くの実力校が点在する静岡県。例年、能力が高い選手を揃えるのが磐田東だ。今年は超強肩捕手・二俣 翔一を輩出し、個人を育てるチームとして注目が集まっている。そんな磐田東はどんな課題で練習を行い、注目選手にはどんな選手がいるのか。
基礎練習と実戦練習を織り交ぜレベルアップ
捕球練習を行う選手たち
所在する磐田東は学校から少し離れた場所にある第二運動場で練習をしている。グラウンドの横には鳥かごなどもあり、しっかりと練習できるスペースがある。また寮もあり、山本監督は寮監も務め、選手の体を大きくするため、自ら厨房に立ち、ご飯を作る。色々なメニューを作り、選手からも好評。選手たちの体つきを見ても大きい選手が多いのが分かる。
秋季県大会は加藤学園に0対8でコールド負けを喫してしまった。そこでは技術、メンタルなどいろいろな面が課題となった。
大会後の練習では実戦練習の前に内野手、捕手は徹底とした捕球練習を繰り返していた。また秋季大会終了後から外野手の佐野 立真が捕手へ転向し、プロ入りした二俣からキャッチングについて指導を受け、スキルアップを目指した。
捕球練習が終わると、ノックに入る。磐田東の場合は通常のシートノックではなく、走者付きが前提。ここでは連携での声掛け、選手たちの走塁姿勢などについて選手同士が厳しく指摘しあう。新チーム当初はあまり声かけができなかったようだが、県大会終了後から選手たちがお互いを意識しあい、声掛けを大事にするようになった。副主将の植田は「ポテンシャルは高いチームですけど、駄目な時にみんな駄目になってしまうチームカラーなので、そこを変えたくて周りを見て、声をかける努力をしています」と語る。
そしてゲームノックが終わると、フリー打撃に入る。この間でも走者が入り、打った打球に応じて、選手は打球を処理し、走者は本塁に突入したりと感覚を養っていく。
[page_break:潜在能力は高い選手ばかり]潜在能力は高い選手ばかり
佐野 立真主将(磐田東)
春の躍進へ向けて練習を重ねる磐田東ナイン。佐野主将は現状のチーム状況についてこう語る。
「まず秋の大会は、得点も多かった試合もあったんですけど、相手のミスに助けれた部分もあり、つながりの面で物足りなかったです。
西部大会(地区予選)で負けた試合など、結局、普段、たくさん点をとっても、0点が続くと点が取れない試合がありました。厳しい言葉ですが、自分も含めて、誰かが流れを変えようという選手がいないので、全員で流れを変えていかないとよくなっていかないと思います」
主力選手としてどれだけ自覚を持ってできるか。佐野主将は選手たちに訴えかけている。佐野に続き、副主将の植田は「声掛けも、ミスがあった時に『おい』といって終わるのではなく、なぜミスが起きたのか?そういったことを具体的に説明できるようになっていければチームの意識も高くなっていくと思います」。
意識を変えれば、着実に上位進出から見える選手層を持ったチームということだ。投手陣では最速139キロ右腕の水野 琉唯、安定感の高い好右腕・冨田 優吾も135キロ前後を記録する。
打線では植田、岡野 裕一郎の2人が中心。植田は東邦で活躍した植田 結喜(東海大)の弟。左腕の兄と違って弟は180センチ超えの大型遊撃手だ。「自分の取りやすいタイミングデ構えを工夫していたら、自然とそうなった」と答えるようにオープンスタンスで重心を低くして構える独特の構えから鋭い打球を次々と飛ばす。遊撃守備を見ても動きの良さが光る。植野も180センチ超えの大型一塁手で、フォローが大きいスイングで鋭い打球を飛ばす。
しっかりと噛み合っていければ、楽しみなチームだろう。そして佐野主将はこう決意した。
「まずはどんな形でも甲子園に出るのが1つの目標であって、自分たちは性格的にも、心のコントロールができていないところが冬鍛えて、とれるところで点をつないで1点をとる。
投手を中心に少ない失点で抑えて、打って勝てるように、この冬に鍛えていきたいと思います」
全体練習が終わっても黙々と自主練習に取り組む磐田東ナイン。ぜひ春、夏には上位チームを脅かすチームになることを期待したい。
(記事=河嶋 宗一)