試合レポート

豊川vs愛知産大三河

2020.10.31

6回に集中打で愛産大三河を逆転した豊川、2年ぶり全三河を制す

豊川vs愛知産大三河 | 高校野球ドットコム
優勝した豊川のガッツポーズ写真

 東三河の豊川、西三河の愛産大三河、現状では近年、もっとも安定した実績を残している東西三河の雄の対決と言っていいであろうか。この秋の県大会、豊川はシード校として臨んだが、初戦で準優勝した東邦に屈した。一方の愛産大三河は、2回戦では愛工大名電を下すなどして気を吐いたが、3回戦で優勝した中京大中京に敗れた。ということで、県大会では優勝校と準優勝校に敗れた同士の対戦でもある。

 この大会、豊川は2年ぶり、愛産大三河は6年ぶりの優勝を目指す戦いとなった。

 豊川は見るからに馬力のありそうな右腕田﨑君、愛産大三河はやや小柄で細身の左腕石原君だが、球の切れはいい。そんな両投手の先発で始まった。

 豊川は2回、二死一二塁から8番の田﨑君が右前打して二塁から河合君が本塁を狙ったが、ここは愛産大三河の籠谷君の好返球で本塁タッチアウト。しかし3回、豊川は9番三谷君が右前打で出て、鈴木龍斗君がしっかりと送ると続く中濱君の中前打で帰して先制。

 しかし、愛産大三河もすぐに反撃。失策と4番渡邉君の安打と山田君のバント安打などで無死満塁としたところで、6番臼井君が一掃の二塁打を放って逆転。このあたりの攻め方は見事だったのだが、櫻井春生監督は、「そのあとまだ無死でチャンスが続いていたところで、4点目を獲り切れなかったことがその後の結果になってしまった」と悔いた。愛産大三河としては、結果的にはこの回の3点のみという形になってしまった。

 追いかける豊川は6回に単打を集中させた。

 3番小林伶斗君と近藤隼斗君の連打で一二塁としてきっちりバントで送って二三塁。6番門田君が右前打して1点差として、なおも二死二三塁で8番田﨑君。田﨑君は自分のバットで勝利をもたらして投打に大活躍。試合後の表彰式でも、殊勲選手賞を獲得したが、まさに、それにふさわしい活躍だった。背番号1は今大会が初めてということだが、今井陽一監督は、「他にもいい投手がいるので、競い合いながら、それぞれのレベルを高めていってほしい」と期待している。

 6回の集中打で逆転した豊川はそのまま逃げ切ったのだが、田﨑君としても投げ込んでいくうちに尻上がりに調子を上げていった。このあたりのスタミナも十分というところも示していた。

 豊川の今井監督は勝因としては7回の守りを挙げた。この回、愛産大三河は先頭の1番杉山君が左前打で出塁。そして次の初球で二盗を仕掛けてきたが、それを門田君が好送球で刺した。「あそこは、相手も勝負を賭けてきたところだと思います。それを絶妙の好送球でさせて反撃の芽を摘んだのは大きい。逆転したすぐ次の回でもあり、そこで刺せたのは相手の反撃の意欲をそいだ」と、門田君の冷静かつ正確な送球を評価した。

 この場面に関して、愛産大三河の櫻井監督は、「ちょっと迷いがあったかもしれん」と反省。そして、「エンドランでもよかったかなぁ…。北原は当てるのが上手い子なんでね。転がして二塁へ進められたかもしれません。あれは、私の判断ミスです」と、攻め方の選択肢が違っていたということを認めていた。それでも、「負け試合というのは、いろんな悔しいという思いがあります。あそこでこうしておけばよかったとか、こういう手段があったとか…。それを気持ちとして背負っていきながら次に生かしていきたい」と、自身の思いも含めての言葉でもあった。

 全三河を制した豊川としては、やはり三河の雄としての存在感を示した結果だったと言っていいであろう。

記事=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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