試合レポート

具志川商vs興南

2020.10.13

オレたちが歴史を作った!具志川商が興南に勝利!

具志川商vs興南 | 高校野球ドットコム
山城から三塁打を放った具志川商島袋大地

 「俺たちで歴史を作ろうと、みんなで声を掛け合ってこの日を迎えました。」具志川商の喜舎場監督は、ナインがこの試合に懸けてきた思いを打ち明けた。既に具志川商初のベスト4進出ではあったが、強豪興南を倒すこと。

 そしてもちろん初となる九州地区高校野球大会の切符を掴むことで、胸を張れる歴史変革者となるのだ。その意気が、最後まで気を抜かない素晴らしい精神力を生み、皆の心に刻まれるグレイテストゲームを完成させたのだった。

相手のエラーで先制も追い上げてくる興南

 初回、具志川商新川俊介大城勢武太の連打でチャンスを作る。しかし興南野手陣にフィルダースチョイスや連続エラーが出る思いもしない展開で3点を先制した。追う興南も5回、相手のエラーで出塁すると犠打で送り2番大山成龍のタイムリーで1点を返した。

 追加点が欲しい具志川商だが、3回以降興南山城京平の前に二塁を踏むことが出来ない。8回、二死二塁のチャンスも山城京平が三振に斬ってとるなどホームが遠かった。「そんな簡単に取れる相手ではない。」と、監督、部長そしてナインが100%知っていたからこそ、チャンスが潰えても下を向くことは無かった。

 「大会に入る前の練習試合などでは、自分たちのチャンスを生かせなかったり相手が得点してくると途端に元気が無くなっていた。」と語るのは、八重山商工で伊志嶺元監督とととに平良海馬(西武ライオンズ)を育てた部長の末吉昇一先生。

 大会に入り、勝ち進んでいくことで自信と自覚が育ってきた具志川商。大会がナインを育て、彼らの成長を急速に促した好例だ。だが興南もこのままでは終われない。

相手のエラーで先制も追い上げてくる興南

 9回裏、一死一塁からこの試合途中出場の比嘉誉人が2打席連続ヒットとなる長打を放ち二・三塁とした。このプレッシャーに、具志川商バッテリーのエラーで三走が生還。

 尚三塁のピンチが続いたが、ここはセカンドゴロに斬りツーアウトまで持ち込んだ。打撃好調の興南王維辰(おう・いしん)の打球はライトへ。殆どの人が同点になると思ったが具志川商ライト伊波勢加(いは・せねか)がダイレクトキャッチ。

 「先発の粟国も、リリーフの知名も腕が触れていた。ストレートが活きていたからこそ、変化球、特に膝元のスライダーが効果的に効いた。」と、勝利を演出した好リードを見せた女房役の比嘉力太も胸を張るゲームを演じた具志川商。「相手の山城くんも、ここぞというときにギアを上げて点が取れない中、投手陣、野手陣ともに最後まで集中力を切らさずやってくれた。」喜舎場監督も、最大限の褒め言葉をナインに送った。

 過去4度阻まれたベスト4への壁を打ち破っただけでなく、全国屈指の強豪校を倒しての決勝進出。ナインの成長とともに観るもの心を捉え離さないグレイテストゲームであった。

(取材=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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