Column

チーム打率.382、20本塁打の強力天理打線を封じた秋田駿樹(広島新庄) 迫田前監督の教えを胸に躍動!

2020.08.13

 昨秋の大会でチーム打率.382で20本塁打と強力打線を擁する天理。それを4対2で下したのが広島新庄。守備をウリとするチームで、昨秋は2年生左腕・秋山恭平が中心となって中国大会ベスト4まで勝ち進んだ。

 だが、天理戦で好投を見せたのは昨秋活躍した秋山ではなく、3年生のサウスポーエース・秋田駿樹だった。

恩師から教わった、低めへの制球力は技術だけではない

チーム打率.382、20本塁打の強力天理打線を封じた秋田駿樹(広島新庄) 迫田前監督の教えを胸に躍動! | 高校野球ドットコム
秋田駿樹 ※写真は2020年1月の野球部訪問より

 ノーワインドアップから始動して、少しひねりを加えつつ重心移動の際に股関節を引き込むことで、下半身で力をしっかりタメて込んでいく。そこから力むことなくスリークォーター気味の高さから、下半身で作ったパワーを無駄なくボールに伝えて、130キロ台のストレートに大きく曲がるスライダーで天理打線を圧倒した。

 「警戒する打者に対しては何で攻めていくのか。しっかりと決めましたが、それ以外には基本的に低めに投げることを大事にして行きました」

 旧チームの夏の大会でベンチ入りした唯一の投手として秋田は「他の投手陣を引っ張っていけるように」と冬場の取材では覚悟をもって練習に取り組んでいた。しかし秋季大会中に肘に違和感を感じて戦線を離脱。2年生左腕・秋山恭平に任せる形となった。

 その影響もあり、「春は恭平が先発となると思いますので、リリーフで投げる時はしっかり抑えられるようにしたい」とあくまで2番手以降での活躍を秋田の中でも想定していた。

 だが新型コロナウイルスの影響で選抜の中止どころか、練習も中止となった。秋田は実家の岡山に帰省して、ランニングを中心に練習を続けた。だが、肘の影響を考慮して自粛期間中はあまり投げ込まなかった。

 万全の体制で迎えた甲子園交流試合で秋田は好投を見せた。守備の広島新庄の良さを十分に発揮させる、打たせて取る投球で天理打線を封じた。特に素晴らしかったのは低めにボールが集まっていたこと。これが出来たからこそ、低めの変化球で空振りや打ち損じを誘うことが出来たことが考えられる。

 これに関しては、「ブルペンでは真っすぐが低めにボールが集まっていたので、その辺りは良かったです」と本人も納得の状態で投げていた。ではいかにして低めにボールを集めることが出来たのか。それは恩師の言葉だった。

 「あまりフォームに関しては意識はしていないんです。ですが、低めに投げることだけは考えてやっています。迫田守昭前監督からも『ボールが高めに浮くのは気持ちや意識の面にある』と冬場くらいに言われてきました」

 この春に退任した恩師の言葉を胸に、技術ではなく意識に目を向けて取り組んできた秋田。その結果が天理戦のピッチングだった。
 「甲子園のマウンドに立てたことは嬉しかったですし3年間広島新庄でしっかりやってきて良かったと思います。将来的には三振をとるのも大事ですが、打たせて取れるテンポの良い投手になりたいです」

 上のステージの継続を考えているという秋田。広島新庄、そして甲子園で学んだことを活かし、さらなるステージで成長した姿を見せて欲しい。

(記事=田中 裕毅)

関連記事
「今だからこそ両親に感謝しなさい」 帝京の前田三夫監督が3年生たちへメッセージ
9年ぶりの甲子園を狙う帝京。復活の予兆を見せた裏側に迫る
3年生に託した9回の攻防 臼井の執念のサヨナラ打で東海大菅生 東京の頂点に立つ!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.30

【春季栃木県大会】夏への布石が着々と成果を挙げた! 文星芸大附が堅い守備で完封勝利!ドラフト候補・堀江は最速146キロをマーク

2024.04.30

【北海道】昨秋優勝の旭川実と春季連覇中の旭川明成が初戦で激突!<春季全道大会支部予選組み合わせ>

2024.04.30

大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘  文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」

2024.04.30

【岩手】宮古、高田、久慈、久慈東が県大会出場へ<春季地区予選>

2024.04.30

【春季愛知県大会】享栄がまとまりの良さを見せて、豊川に完封勝利で決勝進出

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【岡山】関西が創志学園に0封勝ちして4強入り<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!