田中英祐(元千葉ロッテ)の母校・白陵(兵庫)は課題レポートを通じてさらなる高みへ!
白陵の練習模様 ※写真提供=白陵野球部
5月までは新型コロナウイルスの影響で多くのチームが活動を自粛。その期間中に技術、そして野球の考え方を磨くといった取り組みをしていたのが、兵庫県の白陵だ。
普段から指導者からやらされる練習ではなく、選手たちそれぞれが考えて練習に取り組むのが指導方針の白陵。日曜日の試合でチームの課題を把握して、平日の間に考えて修正する。そのサイクルで夏の大会までチームを仕上げるはずだったが、今回の一件でプランは崩れた。
白陵では自粛期間中、普段の練習の流れを崩さずに選手たちに任せた。ただ、普段の練習から活用されていた小グループを活かして、選手たち自らが連絡を取り合い、自主練習を重ねてきた。
後で知った小川裕人監督は「自分の知らないところで進んでいたので、『そんなに頑張っていたのか』という感じでした」と選手たちの取り組みに驚きを隠せていなかった。そんななか、休校の延長が決まり、小川監督は選手たちにレポートを提出するように指示を出した。
「休校期間を少しでも活かそうと、試合に繋がることであれば何でもいいと言うことで、課題を出しました。選手たちは本を読んだり、映像を見たりしてレポートを書いてきてくれました」
5月20日に夏の甲子園の中止が決まってしまった際、「フォローが大事だ」と小川監督は考え、3年生にすぐ電話をした。その時のことを、小川監督はこのように語る。
「主将が1番すっきりしていましたね。高校総体の中止などもあって、中止になる覚悟はあったようで。僕の方が気にしている感じでしたが、その時に、主将の渋川が『下級生の成長の場がなくなったことが残念です』と言っていて、頼もしさを感じました」
さらに、秋の大会で出場の機会がなかった同級生のことも気にかけるなど、広い視野をもって事態を受け止めていたのだ。「周りを見れるようになってほしくて主将に指名しましたが、この状況で周りが見えるなんて、素晴らしいですね」と選手の成長を感じていた。
他にも今回の自粛期間を経て野球への想いが変わり、選手たちの練習への取り組み方の変化を小川監督は感じ取っている。現在は選手たちが作ったレポートを練習に落とし込めるように、試行錯誤を重ねながら練習を続けている。
小川監督は白陵に赴任して3年目となるが、監督としては初めての夏となる。チームの士気は高まっているが、大会まで不安は尽きない。練習できない期間に培ったモノをどれだけ発揮できるか。
(記事=田中 裕毅)
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