試合レポート

知多翔洋vs内海

2020.07.11

雨で中断も、お互い気持ちを切らさずプレーし知多翔洋が大勝

知多翔洋vs内海 | 高校野球ドットコム
初回、いきなり三塁打した知多翔洋・野口君

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 3月に休校要請があり、さらに4月になって緊急事態宣言が発せられるという事態になって、ほぼ3カ月以上、高校野球の現場では、試合はもちろん実戦練習もまったくできない状態だった。その時期、ほとんどの学校で各自が自主練習という形で過ごしてきた。

 そうした中で愛知県では、知多翔洋がホスト役となって、日頃から練習試合などで交流のあった岩津豊野、愛知富田に軟式の緑に声をかけて“愛知県選手会オンライン会議”を開催した。テーマとしては、「今、自分たちがやれることは何か」ということなどを中心に話し合っていった。音頭をとった知多翔洋の伊藤仁監督は、「どんな意見が飛び出すか、期待半分不安半分だったんですけれども、実際やってみたら、大人たちよりよっぽど建設的で前向きな意見が得られてよかった」とその成果を喜んでいた。

 また、そうした活動がメディアにも紹介されていくことによって、選手たち自身も、精神的にも成長していった。改めて、高校野球は部活動として、ただ単に野球をやるということだけではなく、野球を通じて何を学んでいくのか、そうしたことの道筋も示してくれたのではないかという気がした。

 伊藤監督も、「こうした活動を通じて、自分たちで考えて行動していくことができるようになった。ボクが言う前に選手たちの意志で行動を起こせるようになっていったこと、それが野球の技術ということよりも大きな成長となった」と喜んでいた。

 そんな知多翔洋の、この夏の初戦である。

 昨秋は一次リーグでは乱戦の末に大府に敗れたものの、二次トーナメントではリベンジを果たし、2位で県大会に進出している。チーム力もしっかりしていることも証明している。それだけに、どんな戦いをしていくのか、やはり注目したかった。

 前日からの雨が心配されたけれども、試合開始の8時30分には何とか雨も上がった。予定通りにプレーボールとなった。知多翔洋の先発赤井君は四球を一つ与えはしたものの、2三振を奪い3人で抑える奪う上々の立ち上がりだった。

 そしてその裏、知多翔洋は先頭の野口君がいきなり中越三塁打すると、続く倉留君の左犠飛で先制する。

 さらに知多翔洋は3回、先頭の野口君の左線二塁打に始まって、倉留君の中前適時打、引地君の一塁線を破る二塁打に松葉君の左犠飛、余語君と浅田君の連打などでさらに7点を追加。ここでまた、雨も降ってきてしまって、試合は一時中断となる。

 約1時間の中断明け後も、知多翔洋の猛攻は続き、さらに4番清水君のタイムリー打などでこの回9点と大量リードを奪った。
 こうして試合そのものは知多翔洋が3回のピグイニングを作って大勝した。

 それでも、内海の内田君も腐ることなく4回は3者凡退に抑えるなど、気持ちを切らさないで踏ん張った。そして、5回は無死満塁まで攻めるなどして食い下がっていったが、もう一つ及ばなかった。試合そのものは、5回コールドという形ではあったが、このコンディションの中でも、お互いに気持ちを切らさずに戦えたと言っていいだろう。

 内海の山下博史監督は、「休校期間中は、グラウンドの整備だけはしっかりやっていました」と苦笑するが、今大会は11人で挑み、秋からは武豊との合同になっていくという。それでも、「今年の新入生は43人だけで、学校そのものの存在が危ういくらいですけれども、野球部が頑張って活性化して何とか維持していきたい」という思いである。

 知多翔洋・伊藤監督も、「雨で中断している時も、選手たちは集中を切らすことはなかった。よく踏ん張ったと思うし、そういうところも成長の一つ」と、精神的な部分の成長を評価していた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.28

交流戦開幕、初戦の注目は髙橋宏斗vs.今井達也の初対決!

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉