新時代の「打てる捕手」誕生の予感!太田光、木下拓哉、栗原陵矢らが台頭
プロ野球界ではなかなか「打てる捕手」が現れない時期が続いたが、近年は森友哉(埼玉西武)や會澤翼(広島東洋)らが台頭し、「打てる捕手」の称号を手にした。そして今シーズン、また新たな捕手たちがその座をモノにしようとしている。
規定打席未到達も太田光、木下拓哉、梅野隆太郎らが攻守で活躍
左から若月健矢、太田光、栗原陵矢
7/12終了時点で規定打席に達している捕手登録の選手は4人。上記の森、會澤に加え、若月健矢(オリックス)、栗原陵矢(ソフトバンク)の2人だ。
若月と言えば、その強肩とブロッキングから守備型の捕手として知られる存在だ。通算打率も.216と決して打撃で目立つタイプではない。しかし今季、これまで21試合で打率.292とハイアベレージを残し、パ・リーグ9位につけている。元々の守備力に加え、この打力を維持できれば、一躍トップクラスの捕手へと駆け上がる可能性を秘める。
栗原は捕手登録ながら、主に一塁・外野での起用が続いているが、21試合で打率.273、4本塁打、16打点をマーク。6年目にしてスタメンに定着し、キャリアハイをマークしそうな勢いだ。正捕手・甲斐拓也の壁は高く、まだ捕手としては1試合出場に止まっているが、まずは打撃で貢献できれば、スタメンマスクの機会も増えてくるだろう。
規定打席にはわずかに達していないが、太田光も良い打撃を見せている。大商大からプロ入りして2年目の今季から、スタメンマスクに定着しパ・リーグ首位を走るチームを攻守で支えている。一時期よりも打率は落ちてきたが、それでも2割台後半をマークし、OPSも.8に迫る。盗塁阻止率.385もリーグトップクラスの数字だ。長らくチームの正捕手を務めてきた嶋基宏が東京ヤクルトへ移籍した今季、一気にその地位をモノにするかもしれない。
この他にも、今シーズンは打撃の良い捕手が目立つようになってきた。栗原とチームメイトの九鬼隆平は、今シーズン初出場の試合でスタメンマスクをかぶり、プロ初ヒットとなるホームランも放った。チーム内での競争は激しいが、楽しみな存在であることは間違いない。
中日では木下拓哉、A.マルティネスが良く打っている。木下はOPS.674、盗塁阻止率.417といずれも好成績。マルティネスはまだ20打席だがOPS1.161と驚異的な数字をマークしている。マルティネスの台頭で中日の正捕手争いがさらに激しくなった。
阪神の梅野隆太郎は打率.354、長打率.583、出塁率.404とこちらも脅威的だ。広島東洋の坂倉将吾も5試合のみだが、打撃で結果を残している。千葉ロッテのルーキー・佐藤都志也は、プロ初ヒットがサヨナラ打と、勝負強さを見せた。
ここで取り上げた選手以外にも、ファームで力をつけている選手も多く、今後の活躍に期待がかかる。かつて、阿部慎之助(巨人)、古田敦也(ヤクルト)、城島健司(ソフトバンク)、谷繫元信(横浜・中日)らが攻守で球界を盛り上げたように、新時代の捕手たちが躍動を見せる日を心待ちにしたい。
※成績は全て7/12終了時点
(記事=林 龍也)
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