Interview

NPBを代表するスラッガー・吉田正尚(オリックス)が実践する不調時の修正法と一流投手への対応策【前編】

2020.06.17

 6月19日から開幕するプロ野球。オリックス・バファローズの主砲・吉田正尚敦賀気比高-青山学院大)は昨年以上の活躍が期待される。前回では調整法について伺ったが、さらに実戦に即したインタビューを行っていく。打者の方にとっては読みながら、実際の打撃練習、練習試合で試せる話ばかりである。

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一流スラッガーへの道 オリックス・吉田正尚(敦賀気比出身)の打撃調整法

不調時の修正の仕方

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インタビューに答える吉田正尚選手

 まず気になるのは不調時の修正の仕方だ。吉田の場合、どう乗り越えてきたのか。

――まずシーズンを戦っていく中で、打率が残せなくなったり不調時の調整というのはどんなことをしていますか?

吉田 そこはとても難しいんですけど、まず映像を見て自分がどう感じるか。だいたい僕の場合は、内容でいくとセカンドゴロが増えて、逆方向のポカンと当たったフライが多くなります。

 何故かと考えた時に、体とバットが離れて、全部力が抜けてしまって小手先のバッティングになっています。振っているのだけれどフライが上がってしまうことが多い。

 そのための解決法として、『置きティー』などでポイントを確認して、それができたら次は『ロングティー』で体を大きく使って、ゲージに入って打つという流れですね。

――試合の時にピッチャーに対して意識していることはどんなことですか?

吉田 色んなピッチャーがいるので、そのピッチャーに合わせた打ち方をしていきます。
そのために全体的にピッチャーを「ぼやっと」した感覚で見るようにしています。そして対戦したピッチャーに立ち遅れないようにしっかり準備して、タイミングを合わせていく、
そこが大事かなと思いますね。

――待ち方としては、真っ直ぐを待って変化球にも対応していくのか、それとも変化球を張りつつ真っ直ぐにも対応していくのか、どちらになりますか?

吉田 それはカウントによりますね。

――基本的には真っ直ぐ待ちですか?

吉田 やはり真っ直ぐをしっかり弾きたいという意識で立っていますね。やっぱりパ・リーグのピッチャーは真っ直ぐが強い投手が多いので、その真っ直ぐをミスショットしてしまうと、次のウイニングショットで打ち取られる可能性が高い。だからこそ甘い球を一球で仕留める準備は常にしていますね。

[page_break:プロのハイレベルな投手に対応するには角度によってスイングの軌道を変えるべき]

プロのハイレベルな投手に対応するには角度によってスイングの軌道を変えるべき

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練習中の吉田正尚選手

――ツーストライクに追い込まれた時の考え方や工夫はありますか?

吉田 やはり三振をしたくないので、カウントを整えて四球でも出塁することを考えています。
野球は完全に確率の世界だと思っているので、絶対ノーストライクよりも2ストライクの方がアウトになる確率は高いです。そうなった場合は少しポイントを内に入れて、何とかバットに当てて逆方向へファウルで逃げることも考えています。カウントを整えて3ボール2ストライクとかにすれば、また確率も上がってきます。

 そのためにポイントを内に入れて、ボールの内側を詰まってもしっかり振る意識を持っています。

――プロのピッチャーのフォークボールや、チェンジアップやスプリットの縦変化はやはり打ちづらいと思いますが、そういったボールの2ストライクからの対応というのはどういう意識でやっていますか?

吉田 やはり目線を少し上げて、追い込まれたピッチャーにもよるんですけれど、変化球対応に少し切り替えて最短でバットを出せるように変化球を待っています。真っ直ぐが来てもパンっとバットが出せる準備、どこかで変化球8割ぐらいで待っていて、ストレートも2割ぐらい頭に入れておく考え方ですね。

――ステップなどは基本的には変えないですか?

吉田 そうですね、早めにトップを作るのが大事かなと思いますね。

――トップの重要性について理解できました。続いてバットのどの辺でボールを捉えているのか、ボールを使って教えていただけますか?

吉田 ピッチャーの角度にもよりますし、また真っ直ぐと変化球もあります。
シンプルに真っ直ぐだったら、よくあるのが上から(バットを出す形)だと衝突、下から(バットを出す形)だと擦るか、そのままフライが上がってしまいます。(ボールの)ラインに入っていければ、少々のズレでも引っ付いていけるような感覚があるので、バットの面に長く引っ付いていけるような感覚です。

――いわゆる線で捉える感覚でしょうか?

吉田 その方が僕はいいと思いますね。
ただ、真っ直ぐが強くて角度があるような場合だと、少し上から出すような感じでないと 全部バットがボールの下に入ってしまうので、ボールにかぶせるぐらいの感じがいいです。逆に変化球や落ちる系が多いピッチャーは、少し下から煽るように、少しラインに合うようにする方がいいかなと思いますね。

(記事=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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