第67回 「自分で考える子」 恩師が語る吉田正尚(敦賀気比-青山学院大-オリックスバファローズ)への想い2019年10月28日

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【目次】
[1]入学早々から抜群の長打力を発揮し4番へ
[2]高校野球生活の後半戦は苦しいものに/極力、吉田の話は選手にしない

 11月2日に開幕するプレミア12で侍ジャパンに選出された吉田 正尚(オリックス)。今季はリーグ2位の打率.322、自己最多の29本塁打を記録するなど、充実のシーズンを送った。

 身長173㎝と決して大きくない体から強烈なフルスイングで本塁打を量産する姿に憧れを抱く野球少年は数多い。高校時代に吉田を指導した敦賀気比の東哲平監督に彼の高校時代について話を伺った。

入学早々から抜群の長打力を発揮し4番へ

高校時代の吉田正尚

 東監督が吉田を始めてみたのは中学時代に鯖江ボーイズでプレーしている時だった。
「体が小さいのに力強くボールを飛ばせる技術が半端なくあったので、ちょっと衝撃を受けましたね。中学生でも体が大きかったら飛ばす子はいるんですけど、小さい体からフォローも大きくて、遠くに飛ばせるのはなかなかいないんですよ。見た時はビビりましたね」

 東監督の話によると、当時の身長は170㎝にも満たなかったそうだが、その体から放たれる長打力に驚かされた。

 吉田自身が敦賀気比への進学を希望していたこともあり、すんなりと入学が決まった。東監督は吉田と初めての会話で「1年ですぐに4番を打つ準備をしておいてくれ」と伝えたという。まだ入学していない中学生にかける言葉としてはかなり重いものではあるが、それだけ期待していたことの裏返しであったことは間違いない。

 実際に入学すると、打撃練習で驚くほどの快打を連発。東監督が敦賀気比でプレーしていた時には同期に東出輝裕(現・広島一軍打撃コーチ)がいたが、打撃ではプロに進んだ東出以上の素質を見せていたという。

 「フリーバッティングをさせたら、木製バットでもプロに引けを取らないバッティングをしていました。バッティングだけを見たら、東出のレベルをはるかに越えていましたから。プロに入ったらみんなびっくりするだろうなとは思っていました」

 ただ、吉田がプロ入りを目指すにあたって、東監督が懸念していたことがあった。それが身長の低さだ。現在ではホセ・アルトゥーベ(アストロズ)や森友哉(西部)のように身長が低くても、強くバットを振れる強打者が日米ともに存在するが、当時はまだそういった選手の活躍が目立っていなかった。

 吉田についても能力に関してはプロでもやれるという確信を持っていたが、「身長が低いからプロに行けないというのはあり得るのかなというのはありました」と不安視していた。それは吉田だけでなく、広島で活躍している西川龍馬についても同様のことを思っていたそうだ。

 小柄ながらも入学早々から抜群の長打力を発揮し、監督の期待通りに1年生から4番に座った吉田。1年夏の福井大会では13打数8安打で打率.615と打ちまくって、甲子園出場に大きく貢献した。入学前から期待を寄せいていた東監督も「1年の時は期待以上でしたね。怖いもの知らずなところが出ていました」と話すほど想像以上の好結果だった。

 早くからチームの主軸として活躍してきた吉田は1年夏と2年春に甲子園出場を果たす。1年夏は初戦敗退するも、2年春は1回戦の天理戦で3安打を放つなどの活躍を見せてベスト8進出に貢献。順風満帆な高校野球1年目を送ったが、それに驕ることなく、黙々と努力を重ねていた。東監督も吉田を指導する中で特に注意することはなかったそうだ。

 「努力する子なので、そんなに何か言ったというのはないですね。本当に自分で考える子だったので、特に『あれしろ、これしろ』とは言わなかったです。バット振ることに関しては自分でやっていました」

 更なる高みを目指して黙々とバットを振り続けていた吉田だが、高校野球生活後半はスランプに悩まされた。

 「2年の後半くらいからけっこう苦しんでいました。かなりマークされていたと思いますし、勝負もなかなかしてもらえなくなって、焦りから打撃を崩すことはありましたね。最後はスランプになって、悔しい気持ちで高校野球を終わったと思います」

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