センバツ21世紀枠の星・亀岡 優樹(松山東<愛媛>OB) 松山フェニックスで新たな道へ!
松山フェニックスで新たな道へ!
松山フェニックス・亀岡 優樹(松山東〜愛媛大)
2020年の四国野球公式戦先陣を切る形で新型コロナウイルスの感染拡大防止のため無観客で開催された「愛・野球博 第68回春季四国地区社会人野球大会」。3月21日(土)・22日(日)の2日間、四国社会人全6チーム(うちT0KUSIMA ASTROSは出場辞退)が愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムに集い、春の四国地区社会人頂点を争いました。
篠崎 康(捕手・178センチ89キロ・右投右打・帝京第五<愛媛>卒3年目)が最高殊勲選手賞と首位打者賞(9打席8打数7安打4打点)を受賞。4番を張る北尾 勇人(三塁手・182センチ87キロ・右投右打・鳴門<徳島>~龍谷大卒2年目)も7打数3安打1打点とドラフト候補にも名を連ねる選手たちも結果を残したJR四国が、2年ぶり13度目の大会優勝を飾る中、各チームでは多くのルーキーたちが公式戦デビューを飾ることに。その中でひときわ目を引いたのが、かつてセンバツを沸かせた松山フェニックスの右腕でした。
亀岡 優樹。2014年は夏の愛媛大会準優勝に2年生エースとして貢献すると、秋は後に早稲田大に進む米田 圭佑とのバッテリーで愛媛県大会準優勝。四国大会では河野 竜生(北海道日本ハムファイターズ)が1年生エースだった鳴門(徳島)に2対5で敗れたものの、21世紀枠で82年ぶりに出場した2015年センバツでは、初戦で二松学舎大附(東東京)相手に136球8安打6奪三振4失点完投。
打っても左腕・大江 竜聖(読売ジャイアンツ)に2安打3打点の大活躍で5対4で優勝候補に競り勝つと、準優勝した東海大四(現:東海大札幌・南北海道)相手にも7回まで0を並べる快投。最後は2対3で力尽きたものの、171センチの小さな身体で強豪に立ち向かうクレバーなピッチングは、多くの公立校に勇気を与えました。
その後、最後の夏は愛媛大会ベスト4に終わったものの、進学校の矜持を示し現役合格した愛媛大では最速148キロ左腕・勝田 悠斗(津山<岡山>出身・現:徳島インディゴソックス)と共に1年時から主戦級の活躍を続けた亀岡投手。
3年時には右ひじ手術を行う苦難もありましたが、ラストシーズンには復活を遂げた亀岡投手。今季からは「トレーナーを務めて頂いた松山東の時から大変お世話になった」川中 大輔氏が代表を務めるひまわりライフサポーターズにトレーナー業務を中心として勤務しながら「自分自身も大学を卒業して上でやりたい想いがあったところに声をかけてもらったし、仕事をしながら野球を両立させる中で四国の中で力のあるクラブチームとして都市対抗が見えている」松山フェニックスで再び頂点を目指すことになったのです。
社会人でも再び全国の舞台へ!
クラブチームの雄として6年ぶり2回目の都市対抗出場を目指す松山フェニックス
かくしてこの大会でも亀岡投手は「オープン戦から四球を出さないので試合を作れる」と昨年まで監督を務めた千原 宏之部長や田渕 哲也監督からも高評価を得る中、初戦の徳島野球倶楽部戦で先発。
序盤こそ済美野球部出身のお笑いグループ「ティモンディ」の同期生・高木 和弥(日本大)に先制犠飛を許すなど社会人野球の洗礼を浴びる場面もありましたが、5回を投げて2失点とデビュー戦の緊張を差し引いても無難な出来。彼特有の打者を読む力やツーシームなどを磨けば、センバツを経験した高校時代、登板は叶いませんでしたが大学1年春に経験した全日本大学野球選手権に続く全国舞台での活躍も現実的なものとなってくるでしょう。
そんな亀岡投手ですが、実は今年の春には「チームの力になって先発の1人として活躍したい」エースへの階段を駆け上ると同時に、もう1つの大役が控えていました。
それは出身地の愛媛県東温市における「東京五輪聖火リレーランナー」役。
「親からの勧めで一生に一度のチャンスと思って応募したら当選したんですが、走ることを光栄に堂々と走ることで楽しみたい。そして自分はセンバツも含めて応援されることが多かったので、今度は自分が五輪の選手たちを応援する気持ちを持って走りたい」と意気込みを語ってくれました。
残念ながらその後、4月2日(木)に日本野球連盟(JABA)は第45回全日本全日本クラブ選手権・第46回社会人野球日本選手権と当該大会予選・対象大会。さらに5月までの全てのJABA大会中止を発表。それに先立ち3月24日(火)に東京オリンピック・パラリンピックも1年延期になったことに伴い、様々な夢の実現は少しだけ先延ばしになってしまいましたが、それも成長の糧。
松山東の歴史に確かな一歩を刻んだ小さな大エース・亀岡 優樹は「自分のモチベーションを作るきっかけになっている松山東で甲子園に出場したことをみなさんに忘れられないためにも、自分が活躍する」意識を常に心に灯し、松山フェニックスを6年ぶりの都市対抗へ導く聖なるマウンドに上がります。
(取材=寺下 友徳)
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