Column

多彩な野球を見せる西武台(埼玉)の源は「アクティブラーニング」にあり!【後編】

2020.01.22

 昨秋の埼玉県大会を準優勝し、関東大会では神宮大会準優勝を果たした健大高崎と善戦。9回まで同点の熱戦を演じたのは西武台だ。

 県大会では豆田泰志を擁する浦和実や、タレント揃う昌平を倒すなどの快進撃を見せて、今春以降も注目が集まる実力校だ。そんな西武台のチームの強さはどこにあるのか。後編では技術だけではない指導面にも迫りました。

(動画を見る)

多彩な野球を見せる西武台(埼玉)の源は「アクティブラーニング」にあり!【後編】 | 高校野球ドットコム前編はこちらから!
「打ち勝つ」チームへ一変させるべく、取り組んだ技術革新 西武台(埼玉)【前編】

コミュニケーション、そして頭の中の整理に効果を発揮したアクティブラーニング

多彩な野球を見せる西武台(埼玉)の源は「アクティブラーニング」にあり!【後編】 | 高校野球ドットコム
秋は監督としてベンチに入った福喜多繁尊コーチ

 そして福喜多繁尊コーチはミーティングにも力を入れてきたことが、「打ち勝つ」チームを作るうえでは大きな効果を発揮した。
 「今までは選手たちが話を進めて、河野(創太)監督がメモを取っていました。けど、もう少し話を詰めることが出来ると感じていましたので、5、6人の小グループで話し合うアクティブラーニングを採用しました。そうすることで、選手たちの野球に対する理解度が高くなって、しっかりと野球に対して考えて取り組めるようになりました」

 すると、大会期間中でも選手たちの間で自然と指示を出し合えるようになり、福喜多コーチが指示を出す前に選手間でコミュニケーションを取れる仕組みが出来上がった。

 また、福喜多コーチは選手たちへ、「3球で攻撃が終わっても構わない」と伝えている。
 「甲子園に試合観戦に行ったとき感じましたが、強豪校は初球から振っていく姿勢があるんですよね。際どいボールを平然と見逃すところがウチの選手はありましたので、だったら打ち行けるようにして、それで凡退だったら怒らないようにしました」

 しかし、ただやみくもに打つわけではない。相手投手の投球練習で7球を投げる間、選手たち同士で狙い球を絞らせる。そういったしっかりとした準備させたうえで、選手たちに積極性を持たせて打たせること許している。

 「打ち勝つ」チームを作るために、とにかくスイングのスピードやフォームと言った技術面だけではなく、攻め方と言った戦略面もきっちり整備したことが西武台の野球を支えたのだろう。

[page_break:福喜多コーチと河野監督の教えを掛け合わせて、さらなる成長を]

福喜多コーチと河野監督の教えを掛け合わせて、さらなる成長を

多彩な野球を見せる西武台(埼玉)の源は「アクティブラーニング」にあり!【後編】 | 高校野球ドットコム
西武台の選手たち

 そして現在は再び河野監督が指揮官として復帰し、福喜多コーチはサポートへ回った。1年生の深田翔太は「河野監督は小技もサインとして起用するので、その辺りもしっかりやっていきたいです」と語るように、河野監督はバントも要所で使えるように準備を進めている。

 「秋は盗塁が0で、バントもせずに本当に打ち勝ってくれました。ただ、選手に聞いても『要所の場面でのバントの重要性を感じた』というんです。ですので、福喜多コーチが作ってきたチームを残しながら、私がやっていた走塁や小技などを上手く取り入れられればと思っています」

 当初、「横浜の渡辺元智さんと小倉清一郎さんにような間柄の相棒が欲しくて、福喜多コーチを呼んだのですが、とても勉強になりました」と河野監督は語る。

 すると福喜多コーチは、「挨拶など、人としての土台の部分や、夜遅くまでナイターを使っても許されるような地域との間柄を河野監督が5,6年で作ってくださった」ことに感謝していた。

 福喜多コーチが作り上げた秋までのチーム、そして河野監督がこれまで培ってきた育成術。この2つが掛け合わされば、春にはまた違った西武台となっているはずだ。

(文・田中 裕毅

(動画を見る)

関連記事
他の野球部訪問の記事はこちら
◆前編で明かされた西武台が「打ち勝つ」チームになるまで⇒「打ち勝つ」チームへ一変させるべく、取り組んだ技術革新
◆経験者残る山村学園に迫る⇒埼玉県の勢力図に楔を打ち込んだ山村学園(埼玉) 躍進の裏にあるのは徹底した体作り

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

獨協大の新入生に専大松戸の強打の捕手、常総学院のサード、市立船橋のトップバッターが加入! 早くもリーグ戦で活躍中!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?