プレミア12大活躍の鈴木誠也(広島東洋)は高校時代も国際大会の活躍から急成長につなげていた
高校時代の東京選抜での鈴木誠也(広島)
11月5日からプレミア12で初戦を迎えた日本は3連勝で第1ラウンドを終えた。その中で最も活躍を見せているのは鈴木誠也(広島東洋カープ 二松学舎大附出身)だ。ここまで3試合で、10打数5安打2本塁打9打点と圧巻の強さを見せている。
そんな鈴木は高校時代、140キロ後半の速球を投げる投手として活躍していたが、指導した市原勝人監督は野手として評価していた。
「投打で期待されていましたが、やはり打者でプロに行く選手だと思っていました。足の速さ、肩の強さはずば抜けていた選手でしたから。そして打っても本塁打を打てるパワーも十分にありました」
市原監督は常に伝えていたのは全力疾走の徹底だ。
「誠也に常に話していたのは、一塁まで全力疾走をするということです。スカウトの方々は、誠也が本塁打を打てて、球速が出せる投手であるということはみんな分かっています。では他に何を見ているか。それは一塁まで駆け抜けタイムです。
そしてただ単に足の速さを測っているのではなく、その選手の姿勢も見ています。抜いているのか、本気で走っているのかは、タイムを見ればわかりますからね。ただ誠也は下級生の頃、速いボールを投げたいという気持ちだったり、遠くへ飛ばしたい気持ちが強かったと思います」
全力疾走など姿勢面で変化が現れたのは最終学年から。そのきっかけが2月冬に行われた東京都選抜のロサンゼルス遠征だったと市原監督は語る。
この代表メンバーに池田 隆英(創価–創価大‐東北楽天)、佐々木千隼(都立日野–桜美林大‐千葉ロッテ)など錚々たる顔ぶれの中、鈴木はこの遠征で3本塁打を記録した。
「みんな誠也のことをスラッガー、スラッガーというんですけど、公式戦の本塁打はそんなにない選手で、見たことがある人はいないと思いますよ。練習試合ではよく打つんですけどね。ああいう遠征試合で本塁打を打てたのは誠也にとって大きな試合だったと思います。またこの時期から意識が変わってきたのは、プロというものがリンクしてきて、自分の目標が明確になったんでしょう。彼自身、スカウトは全力疾走するなど細かいところを見ているということを自分から気づき始めてので、だいぶ取り組みは変わってきたと思います」
高校時代も国際大会を経験して成長につなげた鈴木。今回はトップチームの4番での活躍である。その達成感は計り知れないほど大きい。鈴木は年々、レベルが上がっているNPB野手の中でもトップレベルの5ツールが揃った大型野手だ。スーパーラウンドの打席がますます見逃せない。
(記事=河嶋 宗一)