Column

2019年のドラフトは「キセキの年」。奥川恭伸、佐々木朗希、森下暢仁の目玉投手3人の魅力とは??

2019.10.15

 今年のドラフトの1位候補として奥川恭伸星稜)、佐々木朗希大船渡)、森下暢仁(明治大)の3人の名前が挙がる。この3人の中で誰がナンバーワンか?ということが議論になるが、この3人はそれぞれが素晴らしく、甲乙つけがたいものがある。3人の魅力をお伝えしていきたい。

2019年のドラフトは「キセキの年」。奥川恭伸、佐々木朗希、森下暢仁の目玉投手3人の魅力とは?? | 高校野球ドットコム過去の掲載記事はこちらから!
今年のドラフトでマークすべき高校生投手たち!【厳選13投手リスト・前編】

実力派左腕カルテットや地方に潜む速球派右腕など今年の高校生投手は粒揃い!【後編】

今年の高校生捕手は東妻、山瀬、水上など逸材揃い!【厳選12捕手リスト】

高校生ナンバーワンスラッガー・石川を筆頭に今年の内野手は粒揃い!【厳選15内野手リスト】

3人の魅力ってなんだ?

2019年のドラフトは「キセキの年」。奥川恭伸、佐々木朗希、森下暢仁の目玉投手3人の魅力とは?? | 高校野球ドットコム
左から森下暢仁、奥川恭伸、佐々木朗希

 まず奥川恭伸星稜)。これまでのコラムで菅野智之(巨人)と評しているように、勝てる投手になるだろう。奥川は他の投手と比べるとステップ幅も狭く、沈み込みも小さい。昔の価値観ではあまり評価されるフォームではなかった。ただ奥川は自分のチェックポイントというのを持っていて、軸足にしっかりと体重を乗せて投げることを意識し、リリースするときに「ボールの重みを感じるリリースができるか」という独自のチェックポイントを持っている。

 常に高いレベルを求めているからこそ、たとえ調子が悪くても最低限のピッチングができる。また奥川の強みといえば、メンタルの強さだ。今、150キロ越え投手が非常に多くなったが、奥川はどんな場面でもぶれずに、ベストボールが投げられること。智辯和歌山戦では延長14回でも、150キロ台をマークした底力は素晴らしく、変化球は縦に鋭く落ちるスライダー、140キロ前半のフォークボール、横に切れるスライダーの精度は高い。ピッチングのレベル、メンタルの強さ含めて完成度の高さは今年の高校生どころか今年のドラフト候補の中でもナンバーワンだろう。

 佐々木朗希大船渡)は、器の大きさは大谷翔平に並ぶ投手だろう。一見、軽く投げているように見えても、球速表示を見ると、140キロ後半の速球を投げ込み、力を入れるとき、佐々木は踏み出し足の歩幅を広げて、全体重を乗せて投げるが、軽々と150キロ中盤~150キロ後半を投げ込む。見ていて明らかにエンジンが違うのだ。

 速球だけではなく、130キロ前半の高速スライダー、140キロ前後の高速フォークを器用に投げ分ける。大谷の高校時代と比較しても、ピッチングのレベルが高い。この3年間、かなり限定的な起用をしてきたため、スタミナ面で不安視する声もあるが、まだ高校生で100%を求める必要はなく、1年かけて長丁場のプロに耐えうる体力や調整力を身に着ければいいだろう。フルスロットルに入った時は千賀滉大に迫るものはある。

 球速、変化球のレベルそのものはまるでメジャーリーガーを見ているようなポテンシャルを持つ佐々木。順調にいけば、NPBの中では頭1つ抜けた投手になっている可能性は高い。

 最後に森下暢仁。森下の完成形を野茂英雄と評する声が多い。トルネードはしない。そしてフォークもあるわけでもない。それでも野茂に見えるのは、野茂同様、縦回転で使える投球フォームだからだろう。左足をゆったりと上げてから、その後、テークバックを取って右ひじを挙げたトップに入った時の胸の張り、真上から振り下ろす腕の振りの軌道が野茂と酷似しているのだ。投球フォームの美しさでいえば、森下が一番と答える方もいるのではないだろうか。

 そのフォームから繰り出す回転数抜群の140キロ後半のストレート、カーブ、チェンジアップ、スライダーはいずれも精度が抜群だ。4年生にかけて低めへの精度が増し、勝てるピッチングができるようになっている。

 奥川、佐々木、森下も共通しているのは、
・ストレートの平均球速は140キロ後半で、マックスは150キロを超えること
・ウイニングショットを持っていること
の2つだ。これほどのレベルの投手は数年に一度しかいないが、1年に3人も集まる。まさに今年は「キセキの一年」なのだ。

2019年のドラフトは「キセキの年」。奥川恭伸、佐々木朗希、森下暢仁の目玉投手3人の魅力とは?? | 高校野球ドットコム過去の掲載記事はこちらから!
今年のドラフトでマークすべき高校生投手たち!【厳選13投手リスト・前編】

実力派左腕カルテットや地方に潜む速球派右腕など今年の高校生投手は粒揃い!【後編】

今年の高校生捕手は東妻、山瀬、水上など逸材揃い!【厳選12捕手リスト】

高校生ナンバーワンスラッガー・石川を筆頭に今年の内野手は粒揃い!【厳選15内野手リスト】

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?