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機動力よりも長打力!高校野球ドットコムが選ぶU-18代表【野手編】

2019.08.16

 前回は投手を紹介したが、今回は野手だ。野手は木製バットで長打が打てる可能性が高い選手を選んだ。理由は韓国、台湾の選手を見ると、バットが折れても、ポテンヒットが打てるぐらいのパワーを持った選手を選んでいるからだ。今年の高校生でも限られた練習期間の中でも木製バットでも結果を残せる選手はいる。

 

 今年は高校日本代表候補の合宿があり、打撃練習や紅白戦を見て、対応力が高かった選手は夏になっても活躍しており、優先的にピックアップさせていただいた。 

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佐々木朗希、奥川恭伸ら超注目投手など9名をピックアップ!高校野球ドットコムが選ぶU-18代表【投手編】

野手は木製バットで長打が打てる可能性を持った11人をピックアップ

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東妻純平(智辯和歌山) ※提供=共同通信社

 

【捕手】3人
東妻純平智辯和歌山
有馬諒近江
小山 翔暉東海大菅生

 捕手は3枠。まず強肩強打の捕手として東妻純平。今年の右打ちの捕手では最も良い形で打てて、パワーもあり、さらに1.8秒台の強肩、キャッチング技術の高さ、冷静なリードと春から夏にかけて成長を見せている。

 有馬諒も1.8秒台の強肩、リードセンス、キャッチング技術も注目だが、何より良いのは高校生とは思えないほど落ち着いた人柄。有馬ならば日本代表の良さをしっかりと引き出せるのではないかと期待している。

 最後の1人は小山 翔暉。小山は走攻守の総合力は今年の高校生でナンバーワン。小山は東京代表でキューバ遠征を経験しており、キューバ遠征の最終戦では決勝の逆転2ランを放ったように木製バットの対応力は高い。さらに塁間タイムは3.9秒、三塁打のタイムは11秒32を計測するように、捕手どころか、今年の高校生野手ではトップクラスの脚力を誇る。さらに1.8秒台の強肩も、正確にコントロールできる。小山は外野手も経験していて、東海大菅生の若林監督によるとショートもこなせるセンスの高さもあり、いろんなポジションで使える選手ではないだろうか。小山がいると打線はかなり厚みが出ると信じている。

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石川昂弥(東邦) ※提供=共同通信社

【内野手】5人
上田 希由翔(愛産大三河)
黒川 史陽智辯和歌山
石川 昂弥東邦
遠藤 成東海大相模
武岡 龍世八戸学院光星

 

 上田は全国的な知名度はないが、昨夏の甲子園を経験し、昨秋から日本代表を目指してバックスピンをかけて打球を飛ばす方法に取り組んで、本塁打を量産したスラッガー。高校日本代表の研修合宿に参加した野手の中でも、ピカイチな選手だった。上田はそれほど捻りを入れず、手元まで呼び込んで縦振りのスイング軌道でボールを捉えるスラッガー型のスイング。速球、変化球の対応力も高く、穴が少ない。愛知大会は20打数10安打2本塁打10打点の活躍。上田が入ることで打線の厚みが全く違う。

 黒川も研修合宿では好投手から逆方向へ長打を放ったり、140キロ超のストレートも振り遅れせずに打てる選手。セカンドの守備も上達し、ポジショニングの指示、回りの声かけもしっかりしており、リーダーとしても適任だ。

 石川は今年の高校生スラッガーではナンバーワンと呼べるほどの打力があり、夏の甲子園をずっと見ていると、石川のような凄みのある打者はほとんどいないので、改めて石川は打者として傑出した存在だったと実感している。木製バットになると体が突っ込み気味になる点が気になるが、しっかりと修正すれば、クリーンナップとして活躍できる。

 また三塁守備もスピード感があり、抜群の強肩で、和製・ノーラン・アレナド(ロッキーズ)になれる可能性を持った逸材だと評価している。
 また投手としても制球力が高いので、強豪国として対戦しない国で起用できれば、うまく佐々木、奥川らの主力投手を温存できると考えられる。

 遠藤は長打力もあり、打撃フォームを見てもインサイドアウトのスイングができており、さらに東海大相模で叩き込まれた積極的な走塁もあるので、足を重要視する日本代表にとっては重宝する選手。また投手としても145キロの速球、切れのあるスライダー、フォークを投げる遠藤はかなり大きい存在だ。

 そして武岡は夏にかけて打撃内容が良くなっており、スイング軌道も縦振りでよいものになっている。遊撃守備もポジショニングが良くなり、ボールに食らいつく泥臭さもある。何より誰でも気さくに打ち解ける人柄もよい。

[page_break:守備力よりパンチ力を大事に選出!]

守備力よりパンチ力を大事に選出!

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期待の2年生スラッガー・来田涼斗(明石商) ※提供=共同通信社

【外野手】3人
菊田 拡和常総学院
来田 涼斗明石商
井上 広大履正社

 外野手については多少、守備力に課題があっても、パンチ力のあるスラッガーを選んだ。今年の投手陣の負担を軽減するには、少しでも打てる選手をそろえて得点を挙げて、心理的負担を減らすことがメリットが高いと考えている。もちろん、守備力が高い選手を揃える考えも否定はしないが、今まで国際大会を取材してきて、選出された外野手の打撃力が課題になっていたので、打撃重視でピックアップした。

 まず菊田は高校通算56本塁打を記録したスラッガーで、右中間にも場外が打てる驚異的なパワーの持ち主。打撃フォームを見ても下半身主導で、軸足を綺麗に回転させて技術で飛ばせる選手で、力任せではないところが良い。配球を読み、どういう打ち方をすればいいか考えられる選手。強肩外野手でもあるので、期待できそうだ。

 来田は今年の3年生外野手を入れても走攻守のスキルの高さはトップクラスで、打球の速さ、飛距離ともにずば抜けている。また、塁間4.00秒台で駆け抜ける俊足は大きな強みになりそう。来田は来年のアジア大会を見据えて、経験をさせたほうが良い選手としてピックアップさせていただいた。

 高校通算47本塁打の井上は詰まってでもホームランにできるパワーが魅力的。井上が評価できるところ、考えて打撃ができて、さらに一打席、一打席の中で修正して、すぐに結果を残せるところ。この夏、井上を取材すると、その打席ではどういう考え、どういう風に修正して打席に立ったのかを明確に回答ができる。

 また履正社は普段から木製バットで打撃練習をしている。これは大きなアドバンテージで、早い順応が期待できる選手ではないだろうか。

 ぜひファンの皆様も自分が選ぶU-18代表を予想しながら、正式発表を楽しみにしてもらいたい。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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