Column

決勝戦で登板回避の佐々木朗希 監督が語ったその理由

2019.07.26

決勝戦で登板回避の佐々木朗希 監督が語ったその理由 | 高校野球ドットコム

 25日、全国高校野球選手権岩手大会決勝戦が行われ、花巻東大船渡を破り、2年連続甲子園出場を決めた。令和の怪物こと佐々木朗希は登板はおろか打席にも立たず、ベンチで最後の夏を終えた。この結果を受け、様々な関係者がコメントを発表するなど話題を呼んでいるが、「登板回避」の真相とはいったい何だったのか。

徹底的に選手を守る姿勢が生んだ「登板回避」

決勝戦で登板回避の佐々木朗希 監督が語ったその理由 | 高校野球ドットコム
佐々木朗希(大船渡)

 「甲子園大会の素晴らしさ、達成感というのは私も理解していますし、地元の方々の期待も高かったのは感じておりました。だからこそ負けたのは私の力不足。佐々木がいなくても勝てる投手を作れなかった、チームを作れなかった私の責任です」

 試合後にこう語ったのは大船渡の国保監督である。では野手としての出場は考えなかったのか。「心の負荷がかかるからです。また野手として出れば投げる動作が入ります。そういうのもすべて排して、試合には出しませんでした」例え野手としての出場でも、肉体・精神に負担がかかる。登板しないだけでなく、試合にも出さない。選手の体調を徹底的に守る姿勢が生んだ采配だった。

 佐々木の起用法にばかり目が向けられるが、国保監督の「選手ファースト」の姿勢は全選手に対してのものだった。大船渡では普段の練習からも球数管理をしており、準々決勝の久慈戦で好投を見せた大和田健人和田吟太も、決勝戦での登板はなし。この日は柴田貴広前川眞斗が投げ抜いた。

「大船渡を選んで良かった」

 

 「負けてしまいましたが、みんな頑張ってくれたと思います。高校野球をやっている以上、試合に出たい思い、投げたい気持ちはもちろんありました。それでも監督の判断なので。
 大会が終わってみて、悔しいこと、嬉しいこともいろいろありましたが、この仲間たちがいたからこそ乗り越えたことも多くあり、大船渡を選んでよかったと思います」

 試合後、佐々木はこう話している。決勝戦の登板がないことを知ったのは当日の朝だったが、それでも笑顔で受け入れた。それだけ、普段から指揮官やチームメイトとのコミュニケーションが取れており、信頼関係があるということなのだろう。

 佐々木朗希の最後の夏は終わったが、ここからU-18、プロ野球、メジャーリーグと、まだまだ長い野球人生は続く。数年後、この「登板回避」があって良かったと思えるような、そんな未来を期待して待ちたい。

文・林龍也

決勝戦で登板回避の佐々木朗希 監督が語ったその理由 | 高校野球ドットコム関連記事はこちらから
「大船渡を選んでよかった」佐々木朗希、高校野球最後の日に語った言葉
理性的な判断と管理があったからこそ佐々木朗希は飛躍した
【逸材レポート】佐々木朗希(大船渡)平均球速が初戦から5キロアップ!ノーヒットノーランのピッチングを徹底分析!
最速155キロ!底が見えぬ佐々木朗希が圧巻投球でノーノー達成!
【BIG5特集】佐々木朗希(大船渡)令和元年の至宝!この夏、全国と世界へ羽ばたけ
2019年のドラフトの目玉・佐々木朗希(大船渡)投手へ 今年お願いしたいこと
花巻東、盛岡大附の2大勢力がリードか?佐々木朗希擁する大船渡にも注目!【岩手大会展望】
【逸材レポート】佐々木朗希の初戦ピッチングを球種別に徹底分析!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.01

【福島】聖光学院と福島商が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.01

【兵庫】報徳学園、須磨翔風などが順当に夏の第1シード獲得!昨秋ベスト4の長田、滝川二はノーシードに

2024.05.01

【春季埼玉県大会】プロ注目石塚、大会1号!優勝候補筆頭・花咲徳栄が15安打で東農大三に勝利!

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【長野】上田西、東海大諏訪、東京都市大塩尻が初戦突破<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける