試合レポート

関東一vs立正大立正

2019.07.22

関東一、平泉の本塁打で流れを作る!谷、成長の四死球2

 関東一の米澤貴光監督は、高校時代、現日大三監督である小倉全由監督の指導を受けた。立正大立正の内田和也監督は、2001年に日大三が全国制覇した時のメンバーであり、いわば、小倉門下生対決となった。「(立正大立正は)年々いいチームになっていると思います。うちも負けないようにしないと」と関東一の米澤監督は語る。とはいえこの試合では、小倉門下生としては先輩になる米澤監督が貫録を見せた。

 立正大立正は背番号18の右腕・吉良貴大が先発。力のある球で1回表を三者凡退で切り抜ける。「先発投手の予想が違いました。勢いのあるボールに面食らいました」と、関東一の米澤監督は語る。

 そんな流れを変えたのは、4番の一発だった。2回表関東一は、この回先頭の4番・平泉遼馬が初球を叩くと、打球はレフトスタンド中段に達する本塁打となり、関東一が1点を先制する。この一発の後、5番・野口洋介の二塁打や2つの四球で二死満塁。制球が乱れた吉良は、1番の大久保翔太、2番・藤松丈一郎に連続死球で押し出しの2点を献上した。

 関東一は3回表も立正大立正の2番手、横手投げの濱悠喜を攻め、4番・平泉のレフト線の二塁打に6番・村岡拓海の左前安打で1点を追加した。

 関東一の先発は背番号10の谷幸之助。谷は最速147キロの速球を投げる東東京屈指の速球投手であるが、いい時と悪い時の差がはっきりしているという問題を抱えている。

 1回裏マウンドに立った谷は、立正大立正の1番・渡部竜成にあっさり四球を与える。谷の悪い面が出たかと思われたが、この回は無失点に抑える。

 球速は130キロ台の後半。「7、8割の力で投げ、打ち取ることを意識しました」と谷は語る。スコアを見ると、ボールを示す●が目立つが、四死球は2個だけ。「ボールが先行しても、彼なりに丁寧に投げています」と関東一の米澤監督は語る。

 一方立正大立正の濱は、交代当初こそ失点したが、徐々に落ち着きを取り戻し、走者を出しても得点は許さない。ただ、徐々に疲労がみえはじめ、8回表には2つの死球で一死一、二塁とし、8番・渋谷嘉人の中前安打で二塁走者は一気に本塁を突くが、中堅手・渡部の好送球により本塁で憤死した。

 しかし9番・谷に四球を与え満塁となり、1番・大久保は死球でまたも押し出し。2番で途中出場の重政拓夢がレフト線を破る走者一掃の二塁打を放ち、3点を追加。3番・平川嶺の左前安打で重政も生還してこの回5点目を挙げて9対0。その裏を谷がしっかり三者凡退で仕留めて8回コールドが成立した。

 最後は力尽きた形の立正大立正であるが、年々力をつけており、今回の準々決勝進出につながった。

 勝った関東一は、谷が悪いながらも、しっかりと抑える投球ができたのは大きい。「今までみんなに迷惑をかけてきました。最後は甲子園に行きたいです」と谷は語る。関東一はもともと力のあるチーム。8回を被安打2、四死球2、奪三振5、失点0の投球をした谷の成長により、より盤石になりつつある。

(文=大島 裕史

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会
■開催期間:2019年7月7~7月27日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会】
■展望コラム【【東東京大会展望】二松学舎大附の夏三連覇を阻むチームは現るか?東東京大会を徹底解剖!】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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