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2019年 佐々木朗希や赤坂諒など地方大会でキラリと光ったドラフト候補15名の投手たち

2019.07.31

 7月30日を終えて、49代表校がすべて出揃い、3685試合が開催された。その中で、多くのドラフト候補が躍動した。今回はドラフト目線できらりと光った逸材15名を紹介したい。

奥川、西、佐々木は期待通りの投球

2019年 佐々木朗希や赤坂諒など地方大会でキラリと光ったドラフト候補15名の投手たち | 高校野球ドットコム
佐々木朗希(大船渡) ※写真:共同通信

 

 今年の世代で最も注目を浴びた佐々木朗希大船渡)は29イニングを投げて51奪三振、2失点と圧巻のピッチング内容。盛岡四戦で160キロを計測するなど、常時150キロ台の速球、130キロ後半のスプリット、130キロ台の高速スライダーはいずれも高校生とは思えないものがあった。今年のU-18ワールドカップで日本代表となれば、伝説を残す場所が韓国となるだろう。

 そして奥川に並ぶ特Aランクの逸材として注目される奥川恭伸は、24回を投げて、37奪三振、5失点。本塁打も打たれ、奥川にしては苦しさを感じたピッチングに感じたが、最速158キロまで伸びており、間違いなく出力は高まっている。今年のドラフトの目玉の登場に甲子園は沸きそうだ。

 また西純矢創志学園)も準決勝敗退に終わったが、準決勝の倉敷商戦で最速154キロを計測するなど昨年よりも大きくパワーアップ。34回を投げて46奪三振、5失点と安定感抜群のピッチングを見せた。

 この3人に追随する存在なのが4年ぶりの甲子園出場に大きく貢献した大型右腕・鈴木寛人霞ヶ浦)だろう。真上から振り下ろす投球フォームから繰り出す140キロ後半の速球は角度が抜群。今年は140キロ後半の速球を投げる投手が多いが、鈴木の角度の良さ、ボールの質は特別なものがある。

 そのストレートを投げることができるのは、体の使い方が優れている証拠。ストレートのスピードはこの3人に及ばなくても、プロの世界に入って一気に評価が逆転する可能性があり、それこそ現在の山本由伸(オリックス)のようにブレイクする可能性を持った逸材である。

 今年の甲子園の活躍次第では1位指名候補に挙がっていてもおかしくない。それだけの魅力を持っている。

 佐々木、奥川、西に並ぶ評価だった及川雅貴横浜)は敗退した相模原戦で、1.2回を投げて3失点。失点はともかく、佐々木、奥川、西が順調に素質を伸ばしている中、この終わり方は本人も悔しいが、ずっと見守ってきた横浜ファンも痛恨ではないだろうか。とはいえ、素材はドラフト1位指名級であることは間違いなく、最終学年であまりアピールできなくても、環境次第で一気に好転した投手は多い。

 ぜひ数年後には世代をリードする左腕になってほしい。また今年の左腕では宮城大弥(興南)が一番評価されるのではないだろうか。左スリークォーターから140キロ後半の速球、切れのあるスライダー、チェンジアップと変化球の精度も高く、沖縄大会では46イニングを投げて、61奪三振と圧巻の投球を見せた。

 また左腕では、甲子園出場を決めた145キロ左腕・清水大成履正社)、決勝まで進出した玉村 昇悟丹生)、140キロ前半の速球を投げ込む井上 温大前橋商)の両左腕も評価を挙げた。

[page_break:飯塚、前の甲子園経験者の速球派右腕の成長も著しい]

飯塚、前の甲子園経験者の速球派右腕の成長も著しい

2019年 佐々木朗希や赤坂諒など地方大会でキラリと光ったドラフト候補15名の投手たち | 高校野球ドットコム
飯塚 脩人※写真:共同通信

 速球派右腕では飯塚 脩人習志野)はこの夏、150キロを計測。春までリリーフ中心だったが、夏では成田木更津総合と実力校相手に連続完投勝利を挙げ、完成度も高まっている。二季連続甲子園出場の津田学園のエース・前佑囲斗は最速152キロまで伸びた情報があるが、それよりもストレートの質は格段に伸びたこと。140キロ前半でも、ボールの質は抜群に良く、まるで大学、社会人のような投手を見ているような大人のストレートを投げ込んでいる。変化球の精度もハイレベルで、完成度の高さは西、奥川にひけをとらないものがある。

 東京都で一気にニュースターとなった赤坂諒上野学園)は最速151キロをマークするなど関東屈指の速球派右腕へ浮上。粗削りだが、スタミナもあり、野球センスも高く、ドラフトへ向けて見逃せない存在となった。

 また九州ナンバーワンピッチャーとして注目される浅田将汰有明)も熊本4強に導く投球を見せ、140キロ後半の速球、カーブ、スライダー、フォークの精度の高さは今年の高校生でもトップクラスのものがあった。春から夏にかけての成長度という意味では188センチの大型左腕・佐藤一磨横浜隼人)は素晴らしいものがあった。春は最速138キロだったが、夏は145キロまでレベルアップ。敗れた日大藤沢戦でも平均球速139キロをマーク。5.1回を投げて強打の日大藤沢打線相手に2失点と力投を見せた。

 佐藤の内容はこの夏の及川よりも球速は速く、さらに木製バットならば何本でもバットを折っていそうな威力あるストレートで、大化けする可能性を持った逸材だった。

 また二季連続の甲子園出場の花巻東のエース・西舘勇陽もこの夏、最速149キロを計測。普段は140キロ前後なのだが、力を入れたときのフォームの躍動感が明らかに違うので、ぜひ甲子園ではその瞬間を見逃さないでほしい。その時、おっと唸るようなストレートを投げるはずだ。120キロ前半のスライダー、120キロ後半のフォークの精度も高く、大会屈指の右腕として注目されるのではないだろうか。

文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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