日大豊山vs都立雪谷
日大豊山の逆転を呼んだ、エース・瀬崎の奪三振12の熱投
この日の第3試合は、春季都大会ベスト16の都立雪谷と、秋、春と1次予選で敗退し、巻き返しを図る日大豊山が対戦した。突然やってきた猛暑と、猛烈な蒸し暑さで、足を吊る選手が続出する状況で試合が行われた。
都立雪谷は下手投げの深田歩、日大豊山は横手投げの瀬崎絢が先発した。
1回表日大豊山は、1番・小宮佳太が内野安打で出塁したが、後続が抑えられ無得点。その裏都立雪谷は3つの四球で一死満塁としたが、やはり得点につながらなかった。
先取点を挙げたのは、都立雪谷だった。3回裏、この回先頭の1番・永江隼人が四球で出塁する。ノーサイン野球で初球からガンガン攻めてくる都立雪谷は、送りバントの気配すらない。それでも日大豊山・瀬崎のボークで永江は二塁に進み、3番・日沼航一の振り逃げで三塁へ。4番・松下陸朗の右前安打で生還した。瀬崎はこの回だけで29球を投げるなど、苦しい投球が続く。
「最初は制球が定まりませんでした。初球から振って来るので、厳しいところ厳しいところを突いていました。それでもキャッチャーが緩急をつけるリードをして、打たれるイメージを変えてくれました」と、瀬崎は語る。捕手・赤城豪の助けも受けながら、瀬崎は投球のギアを次第に上げていく。
一方日大豊山も都立雪谷の下手投げ・深田の投球に翻弄され、走者を出しても得点にはつながらない。ようやく捉えたのは8回表の攻撃だった。
この回代打の高野陽太郎が右前安打で出塁すると、続く代打・金井大樹のバントは相手の失策を誘い一、二塁。2番・小野澤慶一もバントで二、三塁となり、3番・橋口采生の左前安打で2人が生還し、日大豊山が逆転に成功した。
日大豊山は9回表にさらに都立雪谷の2番手・大澤諒真から9番・山下雄也の犠飛などで1点を追加。
投げては瀬崎が8回に三者三振に仕留めるなど、都立雪谷打線から奪三振12、被安打4、失点1という圧巻の投球を繰り広げた。
都立雪谷は走者が出てもベンチを気にせず、振りまくった。これも野球の新しい流れの一つだ。もっと送るところは送って、慎重にという意見もあるだろうが、現段階では結論を出すのは早計であり、都立雪谷・芝浩晃監督の野球がどう成熟していくのか、見守りたい。
一方日大豊山は、勝てなかった秋、春の経験を生かし、しっかり勝つ野球をしてきた。「生徒は我慢強くなりました」と福島直也監督。ただベンチの雰囲気は、以前よりかなり明るくなった感じがする。ノーシードどころか、秋、春の都大会にすら出ていないチームであっても、十分に可能性を感じさせる戦いぶりであった。
とはいえ、5回戦は翌日に迫っている。足を吊った選手も多いだけに、できる限りコンディションを整えてほしい。
(文=大島 裕史)
2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会
■開催期間:2019年7月7~7月27日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会】
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