試合レポート

成田vs千葉黎明

2019.05.01

成田、8回に大逆転!千葉黎明逆転負けも逸材多数!

成田vs千葉黎明 | 高校野球ドットコム
本塁打を放った古谷将也(成田)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 成田vs千葉黎明の一戦。第6ブロックを代表する強豪校同士の一戦は1点を争う好勝負となった。

 まず先制したのは成田。5番古谷将也(2年)がストレートを捉え、左中間へ本塁打を放ち、1点を先制する。

 古谷は1年秋から正捕手となったが、肩の強さという点に関しては田宮 裕涼を上回る捕手。

 以前よりもスイングの軌道もスムーズになり、飛距離も、スイングスピードも格段に上がった。今年の高校2年生捕手では全国レベルに値する捕手だといっていいだろう。

 そして3回裏、千葉黎明二出川駿(3年)の適時打で同点に追いつく。二出川は構えた時、体を屈めて構える特徴的な打撃フォームで打つ。的が小さく、投手は投げにくさを感じる。二出川はボールを当てる能力が高く、第1打席でも左中間へ二塁打を放っており、見ていて面白い選手だ。

 さらに4回裏、千葉黎明は先頭の4番北川泰也(3年)が右中間へ本塁打を放ち、勝ち越しに成功する。北川は筋肉質の体型をした大型スラッガーで、始動が遅く、ポイントが捕手寄りで打ち返す点は野村健太(山梨学院)と非常に似ている。この試合では腰がしっかりと回転できており、思う存分、フルスイングができていた。

 7回裏、千葉黎明は二死二、三塁から3番・伊東 凌功(2年)が2点適時打を放ち、4対1と点差を広げる。

 ここまで千葉黎明のペース。6回表からマウンドに登った伊藤真樹(3年)は昨年よりも進化を遂げ、フォームがコンパクトになり、鋭い腕の振りから繰り出す常時130キロ~133キロの直球、スライダー、カーブをテンポよく投げ分けて、成田打線を打ち取っていた。


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千葉黎明の4番・北川は楽しみなスラッガーだ

 しかし8回表、成田は2本の安打で一死一、二塁から5番古谷の適時打を放ち、その後、満塁のチャンスから7番十津川 瑛人(3年)が放った打球は左中間を破り、走者一掃となる適時二塁打を放ち逆転に成功。その後、セーフティスクイズや2番並木和輝(3年)の適時打など一挙7点を入れ、8対4とリードする。

 8回裏からエースの杉田翔夢(3年)がマウンドに登ったが、かなり不調な様子。130キロ前半のストレートはすっぽ抜け、高めに上ずってしまう。投げ終わった後、杉田はしきりと腕の振りを確認する仕草を見ると、自分の投げ方を掴んでいない様子。なんとか犠飛による1点でとどめたが。9回裏、先頭打者に四球を与えたところで、投手交代。右サイドの石田慶一(2年)が登板。石田は130キロのストレートとスライダーのコンビネーションで抑え、成田が接戦を制し、ベスト8進出を決めた。

 成田は古谷、松本憲伸(2年)の2年生が注目されるが、下位まで強く振れる選手が多く、甘く入れば一気に畳みかける怖さがある。総合力の高さを見ると、相変わらず高い。ただ気になるのはエース・杉田の状態である。本調子ではなくても、成田の自力の高さを感じる試合ではないだろうか。

 敗れた千葉黎明はポテンシャルの高い選手が多い。4番北川、二塁・二出川、遊撃手の佐久間康祐(2年)はフットワークが軽快で、持ち替えの速い守備が魅力。打撃が磨かれれば、さらに注目を浴びる存在となりそう。そしてサードの伊東もシャープな打撃が持ち味で、捉える打球は速く、高校2年生ながら攻守の力量は十分。

 そして4番手としてマウンドに登った千葉汐凱は1年生の時から活躍していた一塁手だが、投手としての能力も高い。インステップ気味から縦振りを意識したサウスポーで、常時128キロ~133キロの直球は勢いがあり、好調時は130キロ後半を計測するようだが、130キロ後半を投げていてもおかしくなポテンシャルの高さはあった。まだフォーム、リリースポイントの乱れがあるので、しっかりと修正をしたい。近年の千葉黎明の投手は着実に球速を高めているので、来年には140キロ越えも期待できるかもしれない。打撃も鋭いスイングを見せており、投打ともに見逃せない存在。

 2年生に逸材が多く、この夏だけではなく、秋以降も注目したいチームである。

(文・写真=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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