試合レポート

富岡西vs今治西

2019.05.07

「ノーサイン野球」富岡西「試合巧者」今治西に競り勝つ!

富岡西vs今治西 | 高校野球ドットコム
富岡西の2番中堅手・山崎光希(3年)

 「試合巧者」。平成の四国高校野球にとって、この4文字は長らく明徳義塾今治西の下にあった。明徳義塾の原動力が名将・馬淵 史郎監督にあるのは皆さんご存知の通り。が、大野 康哉監督率いる今治西も練習から決まり事を徹底しつつ、相手の弱みを突き続ける戦い方で、四国大会レベルまではその明徳義塾をもたびたび脅かし、時には下して甲子園への道を切り拓いてきた。

 ところがこの日、練習を通じ共通理解を深める「ノーサイン野球」で昨年秋の四国大会ベスト4まで勝ち上がりセンバツ21世紀枠で甲子園初出場、センバツでも優勝した東邦(愛知)を苦しめた富岡西は、今治西と擬革以上に渡り合ったのである。

 1回裏、口火を切ったのは一死後中前打で出塁した2番・山﨑 光希(3年・中堅手・170センチ62キロ・右投左打・阿南市立羽ノ浦中出身)だ。二死から4番に抜擢された木村 頼知(3年・二塁手・172センチ62キロ・右投右打・徳島松南ヤング出身)の3球目にまず二盗を決めると、2ボール2ストライクからの6球目にも「今治西を分析した時に村上滉典・3年・投手・172センチ68キロ・左投左打・西条市立東予東中出身)くんの投球モーションが大きくなる癖を見つけた」スキを見測らい三盗を成功。木村も二塁内野安打で続いた。

 2回裏の主役は1番投手に入った浮橋 幸太(3年・174センチ78キロ・右投左打・阿南市立阿南第一中出身)。二死一塁から「最初の打席はスライダーで空振り三振だったので、ストレートを狙いにいきながらカウントを取りにいくスライダーも頭に入れていたので反応できた」打球は大会第1号・自身高校通算17号となる2ランとなってライトスタンドへ到達した。



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投打で活躍した富岡西・浮橋幸太(3年)

 ただ、今治西・大野監督もすぐに対応する。打線に「1巡目は低めのボールを当てにいっていたので、目線を上げて大振りせずいくことを指示した」ことで4回裏には一死満塁から8番・岡田 一真(3年・捕手・174センチ68キロ・右投右打・今治市立伯方中出身)の左前2点打など5安打を集中させて逆転。通常であれば今治西お得意の必勝パターンである。

  ただ、ここから富岡西の二枚腰を示す。5回裏には一死からストレートの四球を選んだ浮橋が二盗を決め、3番・坂本 賢哉(3年主将・一塁手・174センチ74キロ・右投左打・阿南市立那賀川中出身)右前同点打を引き出すと、6回裏・7回裏には相手ミスを活かし6対4。特に6回裏一死三塁からの勝ち越しシーンは、途中出場の7番・阿部 航一郎(3年・左翼手・178センチ76キロ・右投左打・那賀川町立相生中出身)がスクイズの構えで相手守備を乱した上で「ゴロを打つことを意識して」ゴロゴーのしやすい遊ゴロを打つという心憎いものだった。

 かくして「外角の変化球を狙われていたので、後半はストレート中心に変えた」浮橋も145球を要しながら7安打7奪三振完投し今治西を下した富岡西。初戦前日の公式練習ではミス連発の通常運転ながら、いざ試合になると練習での反省を勝利に活かした彼らは、チームレベルを着実に上げる工程を確実に習得しつつある。

(文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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