特別編!選手の為の組織・竹田イズムの真髄 髙橋 左和明監督(九里学園)vol.3
髙橋 左和明(たかはし・さわあき)監督の恩師である、竹田 利秋(たけだ・としあき)元監督。その偉業は群をのいていると言っていい。東北高校と仙台育英高を率いて通算甲子園出場回数は27回になる。また、[stadium]甲子園[/stadium]でも東北勢が上位に食い込めるきっかけとなったとは、竹田監督であると言っても過言ではない。髙橋監督が、そんな竹田元監督から学んだことは、「考える力」だけでない、ではどんな事を学んだのか?
今回は、特別編と銘打って、竹田イズムの一部を紹介したい。
これまでの連載
これからの時代どんなスキルが必要なのか?髙橋 左和明監督(九里学園)vol.1
仙台育英時代が髙橋監督にどのような影響を与えたのか!?髙橋 左和明監督(九里学園)vol.2
チーム全体のマネージメントに長けていた竹田元監督
ノックを打つ髙橋 左和明監督(九里学園)
「大人の監督が1人と、周りは学生コーチなんですね。同い年の、内野・外野のコーチ、トレーニングコーチ、ピッチングコーチ、ノッカー、マネージャーなどがいました。マネージャーもクラブハウス担当やグランドのマネージャーなど組織だっていました」
髙橋監督は当時の竹田元監督がチームとして組織をきちんと作っていたことを回顧している。ただし、部員数が多いから、細かく組織だてたかというとそうではない。
「コーチ・マネージャー陣は同級生ですけども、彼らは厳しいです。妥協しないです。色々怪我があったりとか、将来コーチになりたい、指導者になりたいとか、そういう人の集まりなんです。彼らは逆に我々に厳しい。グランドの中で目光らせてますね、ノックも上手なんですよ」
この髙橋監督のコメントには多くの意味が詰まっている。
まず、コーチ・マネージャーになった生徒たちが目的を持っているのである。目的を持っているからこそ、選手と本気でぶつかれるのである。
また、竹田監督は選手、コーチ、マネージャーを問わず平等に接しているのも分かる。前のコラムでも述べたが、竹田監督は選手に対して「考える力」をつけることを求めている。もちろん、それはコーチ・マネージャーに対しても同じなのである。だからこそ、彼らにも目標があり、妥協せずに考えることを求めているのである。
[page_break:竹田監督に指導を受け羽ばたいていった多くの名将達]竹田監督に指導を受け羽ばたいていった多くの名将達
佐々木順一朗監督(仙台育英→学法石川)
また、それぞれの目標がぶれないように役割を明確化していたのも、髙橋監督の言葉からわかる。
「集合して監督自身が話すことありますけど、基本的に僕(キャプテン)が直接監督に聞くことはあまりなかったですね、まずは間に入っているマネージャーに聞いて、マネージャーがそれを伝える、基本はそういう構成になっていました 」
ここまで徹底した、選手の為の組織は高校野球では珍しいと言える。
そう考えると、部員が多いから作り上げた組織の一面だけでなく、それぞれの目標を考え、すべての選手を平等に扱うことを考えた結果として出来た形という一面も見えてくる。これこそ、竹田イズムなのだろう。選手ファーストであり、選手の成長を第一に考えているのだ。もちろんこの考えは、髙橋監督に受け継がれていることは言うまでもない。
竹田元監督の教え子で、髙橋監督を初め、佐々木順一朗(仙台育英→学法石川)監督、早鞆高校の大越 基(おおこし・もとい)監督、など指導力に定評がある監督が多いのも竹田監督の指導力の高さを物語っている。
文=田中 実