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橿原(奈良)自分たちの色を存分に発揮して聖地を目指す! 【後編】

2019.03.17

 昨秋の奈良県大会で準優勝をおさめた橿原。近畿大会まで勝ち進み、今春からもその戦いぶりに注目が集まるが、彼らはいかにしてそこまで進んだのか。後編では近畿大会で得られた課題や春への意気込みに迫った。

 橿原(奈良)勝利を通じて深めた自信と敗北から学んだ「らしさ」の重要性 【前編】

強豪との戦いを通じて見つかった必要な武器

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ランメニューに取り組む選手たち

 近畿大会ではセンバツ3連覇のかかる大阪桐蔭対戦することになった。西川侑成は「相手を意識せずに自分のピッチングをして勝ちに繋がったら」と大阪桐蔭打線に真っ向から立ち向かったが、0対10の6回コールドで敗戦。天理戦に続き、強豪校との差を痛感させられた。

 近畿大会が終わってからは「体を大きくしないとダメだ」と体重増加に取り組んだ。手始めに管理栄養士を学校に呼んで、スポーツ選手の栄養学というテーマで講義を開いてもらった。土日には保護者に昼食を作りに来てもらい、1食で2合のご飯を食べることをノルマとしている。さらに練習中にも補食を摂るなどの工夫を凝らし、3ヶ月でチームの平均体重は6㎏増加した。

 「今は一気に伸びた後の停滞期に入って苦しんでいるんですけど」と小林稔監督は苦笑するが、選手の体つきは秋から確実に大きくなっている。この日も練習の合間におにぎりを食べる選手が何名か見られ、体作りには余念がない。

 練習メニューにも工夫を凝らしている。この日、最後に行われたのが「メリーゴーランド」と呼ばれるランメニューだ。名前を聞くと楽しそうだが、その中身は生易しいものではない。半径10mの円の周りに走力が同程度の選手が等間隔で5~6人が並び、円の外を全力疾走する。前の走者にタッチすることができれば抜けることができるが、タッチできなければ90秒間走り続けなければならない。

 この練習を行う意図はベースランニングの強化だ。ベースを回る時には体を傾けて走るが、この動きで速く走るためことを意識して取り組んでいる。強豪校との走力差を埋め、二塁打を三塁打にすることがこの練習の大きな目的だ。

 この日は4本実施され、選手たちはかなり苦しそうだったが、待機中の選手が大きく声を出して励ましていたこともあり、かなり良い雰囲気の中で練習は行われていた。小林監督は今年のチームの特徴を「元気で仲が良いというかみんなでワイワイいつもやっているんです」と話していたが、それを象徴する光景だった。

[page_break:最後は気持ちで勝利をもぎ取る]

最後は気持ちで勝利をもぎ取る

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秋の教訓を糧に夏に飛躍を誓う!

 冬が終われば、春、夏と勝負の時期がやってくる。奈良県は天理智辯学園が長らく2強として君臨し、奈良大附が昨夏に甲子園初勝利を挙げるなど台頭。私学が隆盛を極めている中で公立校は21世紀に入ってから2013年の桜井しか夏の甲子園に出場できていない。

 秋に甲子園まであと少しと迫った小林監督は「ウチが勝てるかどうかは別です。でも公立校が勝負できると思います。公立校もレベルが上がってきていると思います。今年はたまたまウチが勝たせてもらいましたけど、本当にそれは紙一重です」と奈良の公立校もレベルが上がり、甲子園に行く可能性は十分にあると見ている。

 では、甲子園に行くために必要なことは何なのか。小林監督の考えはこうだ。「今は体重を増やしたり、個々の能力を上げたりということをしているんですけど、最終的には気持ちかなと。ここに落ち着いていいのかわからないですけど、絶対に負けないというところが大事かなと思うんです」。

 相手がどこであろうと決して負けないという強い気持ちが勝利につながると小林監督は考えている。その意味では気持ちが強い西川を中心に元気な選手が多い今年のチームにはその面で十分に条件を満たせているのではないだろうか。

 「夏は甲子園を目標に全員でやっているので、その目標を達成するためにしっかりやっていきたいです。体の小さい選手が多いので、自分たちの色を出して絶対に甲子園行けるようにやっていきたいです」と夏への決意を話した。

 秋に強豪校の壁に跳ね返された経験を糧にして橿原は夏の甲子園初出場を目指す。

(文・馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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