Column

共に闘う19番目の選手として、勝つために何ができるか考える! 都立国立(東京)頑張る!マネージャー

2019.03.03

 都立高校として初めて甲子園に出場したことで知られる都立国立。1980年以来の甲子園を目指す都立高を支えるマネージャーの2人に、日々の活動に対する思いを伺った。

心がけているのは大きな声でハキハキと!


メモを取る早淵真宙さん

 都立国立野球部には現在18名の部員が所属しており、選手たちを支えるマネージャーは2人。2年生の早渕真宙さんと1年生の中村涼香さんだ。

 普段の練習ではジャグ作り、ノックの球出し、タイムキーパー、ボール縫い、ティーバッティングのトス、お守り作り、片付けなど、彼女たちの仕事は多岐にわたっている。また、練習試合の際にはアナウンス、スコア、SBOを行っている。

 毎年夏の大会に合わせて文字鶴を作っていることが変わった活動だと話してくれた。ちなみに昨年は「誇」という文字だったそう。今年はどんな文字鶴ができるのか、球場で注目してみたい。

 「タイムキーパーで時間を伝える時の声の大きさは、他の高校のマネージャーには絶対に負けません!」と語る彼女たち。グラウンドのどこにいても声が伝わるように心がけている。
 ノックの球出しに入っている時が一番練習に「入っている」という感じがするので、マネージャー活動の中で1番楽しい時間だと話してくれた。ノッカーにボールを渡すにはノックの様子、ボールの行方、ノッカーの構えなど、視野を広く持ちながらも一球一球に集中しなければならない。まさに「入っている」という感覚が得られる仕事だ。

 そんな彼女たちが思わずキュンとする瞬間は、ファーストの一塁牽制の時の「アウト!」という声と動きだ。その「アウト!」という声だけではなく動きも好きだと答えてくれた。

 常に周りを見て視野を広く持ち気づいたことからやること、声は大きくハキハキと返事や時間を言うこと、の2点を心掛けて選手をサポートしていると話す二人。そんな彼女たちがやりがいを感じる瞬間は、選手や先生に「ありがとう」と言っていただいた時だ。一番「やっていて良かった」と感じると話してくれた。


道具を磨くのも大事な仕事!

 マネージャーあるあるは何ですかと尋ねると、「冬は寒すぎて『寒い』しか言えなくなることです」と返ってきた。「寒い日にはカイロを首の後ろにいれておくと体の芯から温まるのでオススメです」と、寒く厳しい冬を乗り越える工夫も一緒に教えてくれた。編集部も冬の取材では参考にしたいところだ。
また、「夏の間に日焼けをしすぎて、10月くらいに左腕を見ると時計の形に腕が白くなる『時計焼け』がすごいこと」もあるあるの一つとして話してくれた。

 特に思い出に残っている試合を尋ねると、秋季大会ブロック予選の2試合目、早実・王貞治記念球場での攻玉社戦だと話してくれた。この試合は延長11回に鈴木太陽選手が打ったサヨナラスリーランで勝利し、本戦出場を決めることができた試合で、夏前半に行った1日1000本のスイングが活かせた試合だと思ったと振り返る。またこの時はベンチや応援のスタンドもとても盛り上がっていたことも印象に残っている。

 昨夏の大会で最も記憶に残っている場面は、[stadium]小野路球場[/stadium]での4回戦・専大付高校戦だと話す。前半に失点してしまったものの、6回表に3点をとったところでは「胸が熱くなった」と話す。結果は負けだったが「72期・73期の私たちが『頑張ろう』と思える試合だった」と語ってくれた。

 この試合で引退することになった3年生の先輩たちは、強くてかっこよくて憧れの存在だった。「特にマネージャーの先輩は、まだ仕事がわからない1年生の私に優しくしっかりといろいろなことを教えてくれて本当にありがたかったです」と中村さんは話す。

 「チームの選手たちへ、いつも気にかけてくださってありがとうございます。一緒に『甲子園』に行きましょう!」とメッセージを送ってくれた。

[page_break: マネージャーは特別な裏方]

マネージャーは特別な裏方


選手と共にこれからも戦う早淵真宙さん

 2年生の早渕さんは中学時代、吹奏楽部に所属していた。そんな早渕さんがマネージャーになったきっかけは、選手とマネージャーの距離が近く、一生懸命な部員の姿に惹かれたから。
 マネージャー活動を通して他人との会話や関わり合い方が向上し、自分自身が変わったと感じている。もしマネージャーをしていなかったら、周囲に気を配れない人になっていたと思うと話してくれた。

 

 「選手たちに感謝の言葉を言われたときが、マネージャー活動をしている上で嬉しかったこと」だと話す早渕さんは、夏の大会用に作った文字鶴の完成の瞬間が一番印象に残っているそうだ。長い期間をかけて制作した文字鶴が完成した瞬間の喜びは、計り知れないものだろう。

 マネージャー活動をしている中で、心が折れそうになったこともある。早渕さんは午後6時までにはげこうしなければならず、活動に参加できる時間が短い。その兼ね合いが難しく、挫折しかけたと話す。

 そんな早渕さんの心に残っている先輩からの言葉がある。
 「勝つために自分たちにできることが何かを第一に考えてほしい。」という3年生マネージャーの言葉だ。
 挫折しそうなときを乗り越えた気持ちや、先輩からのアドバイスを胸にマネージャー活動にひたむきに取り組む早渕さん。彼女の目標は「選手にとって必要とされるマネージャーになること」だ。

 一言でいうとマネージャーはどんな存在かを尋ねると、「マネージャーは特別な裏方」だと答えてくれた。
選手のことを一生懸命に考え、自分は何ができるかという問いに向かって日々努力している早渕さんの姿が、この答えからもうかがえる。

 長谷川太一主将は「マネージャーなしでは良い練習は絶対にできません。共に闘う19、20番目の選手だと思っています」と話してくれた。

 選手と共に闘い、成長していく彼女たちにも注目しながら、都立国立の活躍を今後も楽しみにしていきたい。

(文=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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