Interview

質のいい基礎を追求し全国で通用するショートに 勝連 大稀(興南)【前編】

2019.01.04

 昨夏の甲子園で、球に逆らわないバッティングで広角に鮮やかなヒットを放ち、8打数5安打と結果を残し、守備でも好守でチームに貢献したことは記憶に新しい。そんな勝連 大稀(かつれん・ひろき)の、走攻守に迫る。

基本練習を目的をもって取り組む

質のいい基礎を追求し全国で通用するショートに 勝連 大稀(興南)【前編】 | 高校野球ドットコム
バットを担ぐ勝連 大稀(興南)

 勝連の強みは、基本となる練習を大切にする点だろう。大切にすると言っても、数を多くやるなどではなく、とにかく質を重要視している。

 どのように練習を本番と同じ状態に持っていけるのか?
 どれだけ中身の濃い練習に昇華できるのか?

 目新しい練習をするわけではなく、ごくごく基本的な練習の中に質を追求するのである。それは勝連の言葉の端々から伝わる一貫した考え方である。

 では、打撃・守備・走塁とそれぞれのパートでの練習内容を見てみよう。

目的のある素振り

質のいい基礎を追求し全国で通用するショートに 勝連 大稀(興南)【前編】 | 高校野球ドットコム
ヒットを放つ勝連 大稀(興南)

 まず、打撃練習に追いて勝連が重要視しているのは「素振り」だ。

「特に変わったことはしてないのですが、素振りを全力で振るということを心がけています。ボールは打ってないのですけども、素振りの中でもここにボールがあるなとイメージして、自分が思ったところを振れるようにしています」

 実際のボールをイメージして素振りしていることは理解できると思う。ただし、勝連はもう一歩進んで考えている。

 「スコアリングポジションでランナーがいた時に必ず返せるような、高打率を残せてまた長打も打てるような、そんなバッターになりたいです。勝負強いバッティングができるようになりたいです」

 と語ってくれたように、勝連の目標は、「勝負強いバッティング」である。その勝負強い打者になるために、「スイングスピードを上げることとミート力を磨いていきたい」と話してくれた。

 実は、素振りの前に、この目標設定をしているというのが勝連らしさなのである。

 実際のボールをイメージしながらの素振り、という点は確かであるが、勝連はその上で、「スイングスピードとミート力を上げる」というところに意識をおいて、素振りをしているのである。意識がおいてあるかどうかで、効果は大きく変わる。そこが勝連の凄さである。

 勝負強いバッティングということならば、試合の状況設定もしているかもしれない。勝連は、素振りをここまで昇華して、質を上げているのである。勝連の素振りは、「目的のある素振り」である。

[page_break:基本の守備練習から意識する質]

基本の守備練習から意識する質

質のいい基礎を追求し全国で通用するショートに 勝連 大稀(興南)【前編】 | 高校野球ドットコム
守備の基本練習を繰り返し行う

 次に勝連の守備練習について掘り下げていきたい。

 勝連が守備練習の目的を話してくれた。

「守備範囲の広さというのがショートのポジションで大切なので素早く動けるようなりたいです」
「正確なプレーを心がけています」

 素振りと同様、まず目的があるのが勝連である。そしてそのための練習がついてくる。

 守備範囲を広くするために、意識している練習はトスワークだ。(左右に振られるように転がされるボールを捕球する練習)。

 「ダッシュするという時に手を抜かない。最短距離のダッシュを心がけています」

 勝連は、目的を意識しながら、トスワークで身体をいじめ抜いている。また、正確なスローイングは、キャッチボールから意識している。

 「スローイングはキャッチボールの中に含まれているので、キャッチボールもしっかり相手の胸をめがけて投げます」

 と、こちらも目的があるキャッチボールについて話してくれた。

 目新しい練習でなく、基本練習ばかりである。ただ、基本練習にも、事前に目的・計画を入れることで、練習の質を上げているのである。

 目的を明確にした練習だからこそ、練習後に修正ができるのだ。その繰り返しによって、練習の質が徐々に上げられて行くのだろう。

前編はここまで!後編ではこだわりの走塁や、憧れの選手について伺いました!

文=田中 実

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.05.12

【春季新潟県大会】プロ注目右腕・茨木佑太が完封!元プロの芝草監督は素材、メンタル面も絶賛!

2024.05.12

プロ注目の200cm右腕・菊地ハルン(千葉学芸)がセンバツ出場校との交流戦でまさかの7失点…夏までの課題は?

2024.05.12

【春季京都大会】センバツベンチ外の西村がサヨナラ打!新戦力の台頭目立つ京都外大西が4強進出

2024.05.12

【奈良】天理が決勝最多18得点で圧勝!13年ぶりに春の頂点に<春季大会>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>