東京を制した65名の選手たちを支える力強い存在 国士舘マネージャー
昨秋、東海大菅生や関東一といった強豪校を倒し、東京都大会で10年ぶり6度目の優勝を決め、春のセンバツ出場を手にした国士舘。更なる期待が高まる国士舘を支えるマネージャーにお話を伺った。
選手としてもマネージャーとしてもチームに貢献
監督からの指示を伝える久保田マネージャー
現在在籍する65名の部員を支えるマネージャーは、久保田 裕喜くん(2年)だ。
また、選手兼マネージャーの小髙 歩くん(2年)、松室 直樹くん(2年)、横山 弥夢くん(2年)、三田 哲也くん(1年)、篠原 航太くん(1年)の計6名である。
マネージャーは、ウォーミングアップでの指揮、道具の管理、洗い物やスコアラー、お茶出し、試合データをパソコンに集計するなど幅広く仕事を行っている。パソコンのスコアの集計では、間違えると1からすべてやり直すこともあるのだという。選手兼マネージャーは、プレーをしながら、これらの作業をこなしている。
国士舘の男子マネージャー達にとって、一番楽しい時間は、「相手チームの監督との会話」だという。「色々な話をしてもらえます」という彼ら。果たしてどんな裏話をしているのか気になるところである。久保田くんは、「自主練習を手伝った選手が試合で活躍していると嬉しいです」と語る。
後輩たちにとって「お兄ちゃんの様な存在」だった3年生たちは、夏の西東京大会準決勝で敗れ引退を迎えた。7月26日に明治神宮球場で行われた日大鶴ケ丘戦である。この試合はマネージャー達にとても特に記憶に残る試合だったようだ。
4対1で日大鶴ヶ丘にリードを許しながら迎えた5回表、国士舘は主将の嶋崎 優介の本塁打を皮切りに4点を追加し、逆転に成功する。しかし、その後日大鶴ヶ丘に3点を追加された国士舘は惜しくも敗れてしまった。彼らから見て「嶋崎キャプテンは今まで(見た中で)1番努力していた」選手だったという。
努力の成果が大事な場面で現れ、チームに貢献した先輩の姿から学ぶことがたくさんあったのだろう。
3年生が引退し迎えた秋季東京都大会。エースの石井 崚太をはじめ、メンバーがごっそり入れ替わった国士舘。新チームには絶対的なエースや軸になる打者がいるわけではなかった。「スタートした時は、国士舘史上最低のチームでした」と、感慨深げに語った永田監督。しかし、秋季東京都大会では、3回戦で関東一に5対1で勝利、見事決勝戦に進んだ国士舘。11月4日明治神宮球場で行われた決勝の相手は、全国レベルで戦える戦力が整った東海大菅生。国士舘はこの試合を4対3の接戦で制し、明治神宮大会への出場を決めたのであった。試合ごとにヒーローが変わり、チーム力を高めていった。総合力での勝利だったのであろう。マネージャーとして選手を支えた彼らにとっても、印象深い試合だった。
マネージャー転身し自信に更なる成長
カウントをとる久保田マネージャー
春夏の活躍が期待される選手達に向け、
「目標に向かって頑張ってください!」と語ってくれた彼ら。
国士舘のマネージャーの1人、久保田 裕喜くん(2年)はケガがきっかけで選手からマネージャーになった。しかし、「自分が選手からマネージャーになった時、みんなが暖かく迎えてくれました」と振り返り、今ではチームに欠かせない存在になっている。
今では、マネージャーの活動を通して「コミュニケーション能力がアップしました。」と話すなど、自分自身にもプラスの変化があったようだ。「マネージャーをしていなかったら、気配りが出来ないダメ男になっていたかも」とも。
マネージャーの活動の中で、挫折しそうになることもあるというが、初めて記録員としてベンチ入りした春季大会で都立雪谷、二松学舎大附、東海大菅生などの強豪を下し、見事関東大会に出場したことは自分のマネージャー活動の中でも、1番印象に残るエピソードだと語った。
最後に久保田くんは「マネージャーはチームに必要とされる存在。自分も必要とされるマネージャーになりたい。」と話した。
(文=編集部)