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2強時代の到来か?秋季和歌山大会を振り返る

2018.10.30

 秋季和歌山大会は智辯和歌山が2年連続15回目の優勝。新人戦では準決勝で敗れ、二次予選でも苦戦する場面があったが、終わってみれば絶対王者がこの秋も力を見せつけた。

近畿大会に出た3校の実力値

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近畿大会に進んだ3校

 優勝した智辯和歌山は新人戦の準決勝で南部に完封負けを喫したが、2次予選では自慢の打線が火を噴いた。準々決勝では桐蔭に5回コールドで勝利すると、準決勝では南部に10対3の8回コールドでリベンジ。

 決勝の市立和歌山戦では6点差を逆転して頂点を掴んだ。甲子園経験者である細川凌平(1年)、西川晋太郎(2年)、黒川史陽(2年)、東妻純平(2年)、根来塁(2年)の5人が1番から5番を構成する打線は全国でも上位レベル。下位打線にも久保亮弥(2年)や綾原創太(1年)が随所でいい働きを見せ、厚みが増した。投手陣の底上げができれば全国制覇も見えてくるはずだ。

 市立和歌山は新人戦こそ初戦で敗れたが、一次予選、二次予選と春、夏準優勝の力を発揮した。技巧派左腕の岩本真之介(1年)を中心に夏に準決勝までの5試合を3失点と高いディフェンス力を披露。

 打撃陣も抜群のミート力を誇る1番の山野雄也(2年)や攻守でレベルの高い3番遊撃手の緒方隆之介(2年)を中心にバットがよく振れていた。決勝では智辯和歌山に6点差を逆転されたが、それは岩本を温存した結果によるもの。総力戦でぶつかれば智辯和歌山を倒すことも不可能ではないだろう。

 新人戦を制した南部は3位で14年ぶりの近畿大会出場権を勝ち取った。先制点を奪われることが多かったが、切れ目のない打線を武器に逆転勝ちの連続で快進撃を続けた。新人戦の準決勝では鎌倉海斗(2年)、鎌倉航太(2年)の双子バッテリーが智辯和歌山を完封するなど守備面でもレベルの高さを見せつけた。古豪復活を印象づける秋となったのではないだろうか。

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3校を追随する実力校

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惜しくも4位に終わった田辺の熊野輝也

 以上の3校が近畿大会の出場を決めたが、全体的には公立勢の健闘が目立った大会となった。4位で惜しくも近畿大会に届かなかった和歌山田辺はエースの熊野輝也(2年)を中心に接戦を粘り強く勝ち上がった。強打のチームに対して粘り強く守れるかどうかが、今後の課題となりそうだ。

 新人戦で4強入りし、一次予選を免除された和歌山東箕島は準々決勝で惜しくもサヨナラ負けを喫した。和歌山東は本格派右腕の落合秀一(2年)が今後に期待の好素材。夏こそは悲願の甲子園初出場なるか。箕島は新人戦で安定した試合運びを見せていた。上位進出する力は十分にあるだけに勝負強さを身に着けたい。

 和歌山日高と桐蔭は一次予選を手堅く勝ち上がったが、二次予選で壁にぶつかった印象を受ける。近畿大会に進んだ強豪と対戦した経験を活かしてさらにレベルアップしていきたい。

 公立勢が健闘した一方で智辯和歌山以外の私立勢は苦戦を強いられた。一次予選では高野山初芝橋本近大新宮が初戦敗退。和歌山南稜も初戦で和歌山向陽を破ったが、2回戦で敗退した。公立でも昨秋2位の日高中津や夏4強の和歌山向陽といった力のある高校が初戦で敗れており、戦力が拮抗していることを感じさせた。

 今年は春、夏、秋と智辯和歌山の優勝、市立和歌山の準優勝に終わった。現状ではこの2強状態になりつつあるが、それを追うチームの戦力は非常に拮抗している。ひとたび波乱があれば多くのチームにチャンスは訪れるだろう。来年の春、夏に2強を打ち破るチームが現れるだろうか。

文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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