復活傾向の市川悠太(明徳義塾)自身の野球人生をかけ、強気勝負で駆け上がる
9月3日から開幕した第12回 BFA U18アジア選手権。2大会連続のアジア制覇に燃える侍ジャパンU18代表の選手たちをピックアップしてインタビューしていく。今回は市川悠太(明徳義塾)だ。右サイドから最速149キロのストレートとキレのあるスライダー、シュートを武器に強気に攻めるピッチングが持ち味で、明徳義塾ナンバーワンピッチャーと評される。代表入りしてからここまでの軌跡を振り返っていく。
ようやく勝負できる状態になってきた
アジアチャンピオンに向けて調子を上げてきている市川悠太(明徳義塾)
9月3日の香港戦。
ようやく復活した姿を見せた。永田監督に「ストレート一本でいけ!」と送り出された市川は、常時140キロ中盤(144キロ)のストレートで、3奪三振。圧巻のピッチングに永田監督も、「良いピッチングを見せてくれた」と高く評価。市川も「今日はよかったです」と手ごたえを感じていた。
高知大会決勝で敗れ、次のステージに備え、「ジムに行ったり学校の練習に行っていました」と夏休みを過ごしていた。8月21日、選出が決まり、
「甲子園出場選手は、甲子園で疲れている部分があるので、自分がその分引っ張っていきたい。また、代表のキャッチャーと組むことで自分の投球の幅も広げていきたい。」と意気込んだ市川は、合宿初日からブルペン入り。
だが、実戦ではなかなか調子が上がらなかった。立教大との強化試合では、無失点に抑えたものの、最速138キロ止まり。先発した侍ジャパン大学代表との試合では、初回に3ランを浴びるなど、3回まで投げて3失点、宮崎県選抜の試合では5回裏に登板し、二者連続の押し出し四死球となかなか結果を残せなかった。その要因として、実戦感覚が離れていたこと。
「ストレートは145キロぐらいも出ていて戻ってきてはいるのですが、まだ実戦から離れていて、制球がばらついているんです」と説明する市川。ただ、2日の公式練習ではブルペン入りし、仕上がりの良さを実感。永田監督から登板を伝えられていた。
「監督から香港戦かスリランカ戦のどちらかで絶対に投げさせるからといわれて、準備をしていました」
迎えた香港戦の5回表、ついに出番が訪れた。市川はオールストレートで勝負。ストレートの制球力も抜群で、市川も満足できる内容だった。何より打者に向かっていく気迫があった。そこは市川も大事にしている。
「逃げてばかりじゃ意味がないし、向かっていく方が自分には合っていると思います」
そして市川はもっと良くなると感じている。
「ストレートについてはもっと速くなると思っています。まだまだ良くなる予感はある」
こうして、市川は今後の試合に向けて、投げられるめどが立ったのはチームにとって朗報だ。
アジアチャンピオンになるには、台湾、韓国を破ることが必須条件になる。そういう相手に対して市川は「自分は内角に攻めるのが得意なので、どんどん内角を投げ込んでいきたいと思います」
そのピッチングができれば高卒プロを狙う市川にとって、格好のアピールとなる。自身の野球人生をかけた戦いは、最高の形で実を結ぶことを期待したい。
取材=河嶋宗一