Column

野球選手のカラダをツクル!

2018.08.25

 前回は、「夏バテ対策」について説明をしました。今回は、「身長を伸ばす為に必要な栄養素!」野球をやる上で身長が高いに越したことはありませんよね。身長を伸ばす為に必要な栄養素を解説していきます。

骨の成長にはカルシウムだけじゃダメ!

野球選手のカラダをツクル! | 高校野球ドットコムカルシウムはあくまで「骨を丈夫にする」栄養素

 成長期に必要な栄養素として、最初にあげられるのは骨の材料となるカルシウム。 しかし、カルシウムはあくまで「骨を丈夫にする」栄養素です。「背が伸びる=骨を伸ばす」働きとは異なります。 また、カルシウムを吸収し骨に定着させるためにはマグネシウムが必要です。マグネシウムが不足している場合、カルシウムを過剰に摂取すると、骨に留まらなかったカルシウムが血中に流れ出し、かえって健康状態を損なうことにもなります。

 マグネシウムは、昆布やひじき、海苔などの海藻類や、ゴマやアーモンドなどのナッツ類に多く含まれています。 昔の日本人の食生活では、和食に使われる海藻などでマグネシウムが足りていたのですが、乳製品を食べる習慣がなくカルシウムが不足していました。そのため、カルシウムを豊富に含んだ牛乳などが推奨されて来たのですが、食習慣の西洋化が進んだ現在、むしろマグネシウムの方が不足しがちになっているのが現状です。

 カルシウムとマグネシウムの理想的なバランスは2:1。マグネシウムは骨を強くするために必要なだけでなく、緊張をほぐすなど多くの働きがあります。育ちざかりの子供はもちろん、大人にとっても欠かせない大切な栄養素ですね。 また、乳製品にはカルシウムと共に脂肪分やリン酸が含まれています。

 リン酸の過剰摂取により血中のリン濃度が上昇すると、カルシウムとのバランスが崩れ骨からカルシウムが血中に流れ出してしまうということも。 リン酸は乳製品などに含まれるだけなく食品添加物としても使われています。清涼飲料水やインスタント食品、スナック菓子などに含まれていますので、摂り過ぎには注意が必要です。

骨の成長とタンパク質

 「骨を丈夫にする」のがカルシウムだとすれば、「骨を伸ばす」栄養素となるのがたんぱく質です。筋肉や血液などを作るだけでなく、骨端軟骨で骨芽細胞が新しい骨を作り出すための材料としても、たんぱく質から作り出されるコラーゲンが使われているからです。

 たんぱく質が豊富に含まれているのは肉や魚、大豆などの豆類。肉類にはたんぱく質も豊富に含まれていますが、一緒に含まれている飽和脂肪酸は摂り過ぎると肥満につながります。肥満も身長の伸びを阻害する原因のひとつとされていますので、魚や豆類と合わせてバランス良く摂ることが大切ですね。

[page_break:カルシウムとビタミンDの重要性]

カルシウムとビタミンDの重要性

野球選手のカラダをツクル! | 高校野球ドットコムアルギニンは大豆や肉・魚などに含まれている

 骨を強くし、伸ばすためにはカルシウムとマグネシウム、たんぱく質が重要ですが、それ以外にも、成長のためにはさまざまな栄養素が必要となります。 カルシウムを骨に定着させるためにマグネシウムは必須ですが、それに加えて、体に吸収しにくいカルシウムの吸収率を高めるのに重要な役割を果たすのが、ビタミンDです。

 カルシウムと共に摂取されたビタミンDは、カルシウムの運び屋として血液中に取り込むように働きます。また、カルシウムが体外に排泄されるのを防いだり、骨端軟骨における骨代謝のバランスを整えてくれる働きもあります。 ビタミンDは青魚やきのこ類に多く含まれています。

 魚はビタミンDだけでなく、たんぱく質も摂取できます。また、肉類の脂の多くが肥満への影響が心配な不飽和脂肪酸なのに対し、青魚は血中の善玉コレステロールを増やし悪玉コレステロールを減少させると言われる、オメガ3系の脂が中心です。 これらの脂には、脳や目に良いと言われるDHAや、血液の粘度を下げる作用があるとされるEPAなども含まれていますので、子供の食生活に積極的に取り入れたい食材です。

 ビタミンDは、太陽の光を浴びることで体内でも作られます。 皮下脂肪にあるプロビタミンDという物質は紫外線にあたるとビタミンD3に変化しますので、日光の下での運動は子供の成長にも大切です。 夏場は過度の紫外線や熱中症などを心配する方も多いと思いますが、直射日光の当たらない日陰でもビタミンDの形成には十分ですので、暑さに気をつけながら外に出る機会をつくりましょう。

ビタミンB群とアミノ酸

 ビタミンB群は、体に摂り込んだ栄養素をエネルギーに変えるための重要な役割を持っています。 その中で、たんぱく質がエネルギーとして使われるために需要な役目を果たすのがビタミンB6です。 体に摂り込まれたたんぱく質は、体内でアミノ酸に変わることでエネルギーとして使われます。アミノ酸にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる働きを持っています。

 ビタミンB6はたんぱく質をアミノ酸に分解したり、アミノ酸を別のアミノ酸へ組み換えたりする働きを助けるので、不足するとたんぱく質をエネルギーとして利用することができなくなります。 また、さまざまな種類のあるアミノ酸の中には、身長が伸びるために必要な、成長ホルモンの分泌を助けると言われているものがあります。

 その中でも有名なのは、アルギニンです。食品からまとまった量を摂るのは難しい栄養素ですが、大豆や肉・魚などに含まれていますので、たんぱく質と一緒に摂取できます。 アルギニンには免疫細胞を活性化させ、免疫力を向上したり傷の治りを早くさせるなどの作用を持つと言われています。

 このアルギニンと強い関わりを持つのが、ウリ科の食品(特にスイカ)に含まれているシトルリンです。代表的なのものが尿素回路です。有害なアンモニアを排出するための回路で、アルギニン・シトルリン・オルニチンは互いに密接に関わっています。 シトルリンもアルギニンと同じく、成長ホルモンの分泌を促すアミノ酸として知られているほか、血管を丈夫にする働きも。血管が丈夫になれば血流も改善され、筋肉の成長にも良い影響を与えることが期待できます。

 また、二日酔いに良いと有名になったオルニチンにも、アルギニンと一緒に摂ることで成長ホルモンの分泌を助ける作用があると言われています。 しじみに含まれていることで有名ですが、たんぱく質が豊富な食品にはほぼ含まれています。
 日常生活で不足することはあまりありませんが、過剰摂取での害も報告がないため、成長期には積極的に摂りたい栄養素のひとつです。

 この5つが、骨の原料となったり、骨の土台を作ったり成長ホルモンの分泌を促したりと大切な役割を担っています。成長期の子供は、この5つの栄養素を意識し積極的に摂取させることをオススメします。

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野球選手のカラダをツクル! | 高校野球ドットコム

文=久保 翔平カラダツクル株式会社代表取締役)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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