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今大会最注目の下関国際と「春連覇」を狙う、昨春の県大会王者・宇部鴻城

2018.04.21


今春は投手として出場を重ねる木村大輝(下関国際)

 岩柳、山宇萩、防徳、下関の各地区予選を勝ち抜いた8校で行われる、春季山口県決勝大会。今回は各校の注目選手紹介を交えながら、大会の展望を行いたい。

今大会最注目の下関国際

 今大会最注目と言ってもいい存在が、今春のセンバツに出場した下関国際だ。下関地区大会の初戦の下関工科戦では、8回までリードを許す苦しい展開となったが、その後の試合では自慢の打力を遺憾なく発揮し、3試合合計28得点。盤石の戦いぶりを見せている。

 センバツで自己最速を更新する145km/hをマークした鶴田 克樹の登板は、下関工科戦でのリリーフのみ。ここまでは背番号8を背負う2年生左腕・木村 大輝、背番号19の岩本 雄斗の二人が先発のマウンドに登るなど、投手陣の底上げを図っている。昨夏の山口大会でエースナンバーを背負い、秋も登板を重ねた左腕・吉村 英也も控えており、決勝大会での投手起用にも注目だ。

 下関国際に対する徳山は、防徳地区予選3試合を「しぶとい」試合運びで勝ち上がった。地区代表決定戦・徳山商工戦では5回に集中打で5点を奪う逆転勝ち。粘り強い投球でゲームメイクを続けているエース・磯村 飛鷹を中心に後半勝負に持ち込みたいところだ。

 秋準Vの高川学園も仕上がりは良好。昨秋、背番号9ながらエース級の活躍を見せ、県大会準優勝、中国大会1勝に貢献した佐伯 亮太朗は一冬を越えて高めの直球の威力が増した。地区代表を懸けた南陽工との一戦では、自らを援護する一発も放ち、投打で強い存在感を放っている。

 昨秋エースナンバーを背負いながらも、故障の影響で野手に専念した前原健人は、地区大会2回戦・華陵戦で先発完投したものの、6失点。決勝大会に向けてどこまで修正しているかがカギを握りそうだ。

 高川学園との対戦が決まった宇部工は、地区大会で3試合合計19得点と打力が自慢。2試合連続で長打を放った水津 元らを中心に鋭いスイングを見せる打線が、高川学園の投手陣にどんな打撃を見せるか。早いイニングで得点を奪い、流れを掴みたい。

[page_break:2016年以来の春制覇」を狙う早鞆 と「春連覇」を狙う宇部鴻城]

畑村政輝(早鞆)

「2016年以来の春制覇」を狙う早鞆 と「春連覇」を狙う宇部鴻城

 秋4強進出も、3位決定戦で下関西に敗れ、惜しくも中国大会出場を逃した早鞆も攻守の底上げが進んでいる。下関西との再戦となった地区大会初戦は、8-1の7回コールド勝ちで秋の雪辱を果たした。
 強いインパクトを放っているのが、エースに返り咲いた畑村 政輝だ。昨秋は同学年のサイドスロー右腕・執行 龍一に背番号1を奪われたが、一冬を越え、下級生時代から評判の直球がグレードアップ。会場となった下関球場のスピードガンで140km/h越えを連発してみせた。
 主将・紺屋 南翔を中心に打線も上り調子。2016年以来の春制覇に向けて準備は整いつつある。

 早鞆に対するは、2回戦で昨秋8強の柳井学園にコールド勝ち、地区代表決定戦では柳井と延長11回の熱戦を繰り広げ、決勝大会進出を勝ち取った。今大会エースナンバーを背負う福原 隼斗は昨秋の1年生大会で優勝投手となった新2年生。小柄ながら、抜群の「しなり」を感じるフォームが特徴の左腕。その1年生大会の準決勝では早鞆を下しており、杉 龍星ら6人の2年生レギュラーが並ぶ早鞆打線との“再戦”も必見だ。

 「春連覇」を狙う、昨春の県大会王者・宇部鴻城も虎視眈々と力を蓄えている。
 地区大会では、背番号1を背負った遠山 雄大を筆頭に、2年生5人がレギュラー登録。2年春のセンバツを経験し、昨秋は主将、正捕手を務めた打田 啓将をベンチから外すなど、大幅なテコ入れを行った。立石 佳紀らの甲子園を知る3年生を、打撃で存在感を放つ田中 力ら伸び盛りの新2年生達が突き上げることでどんな化学反応が生まれるか。夏に向けても気になるポイントだ。

 昨秋は地区大会初戦敗退に終わった名門・岩国も、地区代表決定戦で昨秋8強の岩国商を逆転勝ちで降すなど、きっちり仕上げてきている印象だ。

 地区大会3試合中2試合に背番号8の新2年生・佐伯 和希が先発。ここまではきっちりとゲームを作っているだけに、宇部鴻城打線にどんな投球を見せるかにも注目したい。

 初戦の4カード全てが「私立VS公立」の顔合わせとなった決勝大会。昨夏、昨秋と2季連続で県大会を制している下関国際が実力を見せつけるのか。「待った!」をかけるのは、高川学園早鞆宇部鴻城の私立勢か、それとも勢いを感じる勝ち上がりを見せている公立勢か。熱戦の行方に注目したい。

 

文=井上幸太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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