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148キロ左腕・矢澤宏太(藤嶺藤沢)夏へ向けての宿題

2018.04.23

148キロ左腕・矢澤宏太(藤嶺藤沢)夏へ向けての宿題 | 高校野球ドットコム
矢澤宏太(藤嶺藤沢)

 今年の神奈川県でドラフト候補として注目されるのが藤嶺藤沢のエース・矢澤 宏太だ。172センチ61キロと細身ながら、鋭く腕を振るフォームから投じるストレートの最速は148キロ。さらに120キロ前後の切れ味鋭いスライダーで三振を量産する投球はプロのスカウトから大きな注目を浴びている。そんな矢澤の春の活躍を振り返りたい。

 1年生から公式戦のマウンドを経験した矢澤だが、注目を浴びるようになったは2年秋から。140キロ台中盤の速球を武器に、県大会ベスト8進出。準々決勝慶應義塾戦では12四死球を与えながらも、8回まで2失点。9回に2点を失い勝ち越しを許したが、慶應義塾相手に好投したのは矢澤の評価を高め、プロのスカウトからも注目を浴びることとなる。

 そしてこの春、矢澤は県大会2回戦慶應藤沢戦で、最速146キロを計測したストレートを武器に、6回参考記録ながらノーヒットノーランを達成。3四死球を与えるも10奪三振記録し、3回戦進出を決めた。

 3回戦の相手は強豪・日大藤沢。この試合でどんなピッチングをするのかに注目が集まった。

 しかし、この日の矢澤はどこかがおかしかった。立ち上がりからストレートの制球を乱し、2回表に押し出し四球で1点の先制を許すと、3回までに7四死球。日大藤沢打線がぎりぎりのゾーンは見逃し、またはカウントを取りに行くボールはファールにしたりと、矢澤のペースでピッチングができなくなったことが、制球を乱した要因だろう。

 3回以降はストレートの割合を減らし、120キロ前後スライダーを増やす投球に切り替えた矢澤。さらにストレートの球速を130キロ台前半に落として、制球力重視のピッチングを披露し、スコアボードに0を並べた。矢澤が立ち直ることができたのは、スライダーの切れが良かったことが要因として挙げられる。120キロ前後のスライダーは打者の手元で鋭く横にも曲がり、縦にも曲がる。いつでもカウントが取れて、空振りも奪えるスライダーは大きな武器となった。

 立ち直ってからは好投を見せていたものの、9回表、先頭打者に四球を与えたところで矢澤は交代。8回を投げて被安打2、12奪三振、2失点と及第点といえるピッチングを見せた。しかし矢澤は四死球を多く出してしまったことや、ストレートのスピードを抑えた自分の内容に、満足はしていないだろう。

 この試合で夏へ向けての宿題が見つかった矢澤は、再び強豪校と対戦した時、相手を圧倒するピッチングを見せることができるか。

 そのピッチングが実現したとき、33年ぶりの夏の甲子園出場が大きく近づくことだろう。

(文・河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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