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都立新宿野球部が取り組む競技人口増加のための『野球教室』

2018.02.16

 2月3日、新宿区にある都立新宿高等学校は、小学生を対象とした野球教室を開催し、同校硬式野球部の選手13名が、参加した少年野球5チームの小学生54名に熱心に指導を行った。高校球児が、少年野球の選手を対象に野球教室を行うのは、都内ではこれまで無かったことで、会場となった都立新宿高等学校グラウンドでは、終始、盛り上がりを見せた。

野球競技人口増へ!都立新宿高等学校野球教室

都立新宿野球部が取り組む競技人口増加のための『野球教室』 | 高校野球ドットコム
小学生とハイタッチする都立新宿の選手

 野球教室は、同校硬式野球部の田久保 裕之監督の挨拶からスタートし、前半は遊び感覚で行えるようなゲームを行った。
 筑波大学准教授の川村 卓氏が考案したというこのゲームは、普段小学生が手にしてる軟式ボールではなく、柔らかい素材のボールを採用し、守備も素手で行えるもの。野球のルールを基にゲームは作られているのだが、打球の方向へ全員が動くなど、チーム全員が楽しく参加できるようなアレンジがされており、チームが得点を決める度に大きな歓声が聞かれた。
 また、「ホームランを打つ喜びを小学生にもっと体験させてあげたい」という思いから、ゲームフィールドはあえて狭く設定されており、ある小学生の保護者が「普段からこれくらいホームラン見れたらいいですね」と語るほど、たくさんのホームランが飛び出した。
 参加した小学生からは「簡単にできて楽しかった」「お兄さんはみんな優しかった」といった声が聞かれ、大満足の様子だった。

 後半はグラウンドを離れ、教室で座学を行った。野球教室に座学取り入れたのは、同校が進学校であることを野球教室にも活かしたいという田久保監督の意向からで、毎日勉強に励む高校生が、勉強やスコアの付け方を小学生に丁寧に指導した。
 小学生への授業の準備は、田久保監督は何も指示を出さずに、すべて選手やマージャー達だけで行ったそうだ。田久保監督は「配布するプリントやパワーポイントには、私は目を通していなかったが、しっかりと出来ていました。また、筆記用具を忘れた子ども達のために、予備の筆記用具も自分たちで考えて用意していた。本当に良くやったと思います」と笑顔で語り、選手やマネージャーを労った。

[page_break指導者や保護者に向けた講義も開講]

指導者や保護者に向けた講義も開講

都立新宿野球部が取り組む競技人口増加のための『野球教室』 | 高校野球ドットコム
保護者に向けての講義を行う様子

 また、後半の座学は小学生だけで無く、指導者や保護者に向けた講義も開講された。理学療法士や管理栄養士の方を招き、子どものスポーツ障害や子どもの食事に関する講義を行い、少年野球チームの指導者や選手の保護者、計40名が参加した。「子どものスポーツ障害と予防」というテーマで講義を行った理学療法士の石井斉氏は、まだ出来上がっていない子どもの骨、軟骨に無理なストレスをかけることの危険性を解説。講義中は、必死にメモを取る姿が見られ、講師たちに質疑応答を投げかける保護者たちも大勢いるなど、終始、熱気に包まれた講義となった。

 野球教室終了後、参加した保護者に感想を伺うと「最初はふかふかのボールを使うと聞いて、エッと思ってしまったが、いざやってみると遊びが野球に繋がるようなことがたくさんあった。競技人口の減少がニュースになっているが、遊び感覚から入っていける取り組みがあるといいと思った」と話し、納得の表情を見せた。

 また、小学生に指導を行う立場だった都立新宿の選手も「これまで経験したことが無いことだったが、小学生に野球や勉強を教えることで、自分たちも成長することができたと思う」と語り、自らの成長に手応えを感じた様子だった。

 今回の野球教室を主宰した硬式野球部の田久保監督にも話を伺うと、「やって本当によかった。狙い通りでした」と手応えを語った。実は田久保監督、以前から野球の競技人口減少に危機感を持っており、少年野球向けの野球教室を開催したいという思いをずっと持っていたという。
「野球は人数がいて当たり前、応援してくれる人がいて当たり前になっていて、みんな勘違いしています。少年野球の競技人口は、少子化の8倍のスピードで減少していて、少年野球を何とかしないといけないと考えています」
今回、遊び感覚のゲームを取り入れたのは、学校などでゲームを行ってもらい、友達を野球に誘う良いきっかけなって欲しいという狙いがあった。
 田久保監督は、「今日の野球教室で(いけるという)確信が持てたので、また開催したいです」と語り、第2回目の開催にも意欲を見せた。

(文・編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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