高陽東高等学校(広島)
集合写真(高陽東)
名将の下でレベルアップ。8強の壁は越えられるか
■前任校で石田健大投手を育成した監督が指揮
広島県にある公立高校、高陽東高等学校は、1996年に春夏ともに甲子園初出場を成し遂げ、その後2005年にも夏の甲子園に出場した実力あるチームだ。2014年に同校に赴任して野球部の指揮を執ることになったのは、前任の広島工時代にDeNA・石田 健大投手、元日ハムの宇佐美 塁大選手を育てたのに加え、チームを20年ぶりの甲子園に導いた功績を持つ名将、沖元 茂雄監督だ。
高陽東は、地域に愛され、バックアップを受けて日々の練習に取り組んでいる。というのも、団地に周辺を囲まれた場所にある学校で、日が暮れても練習を行うことは、いわゆる「近所迷惑」になりかねないのだが、「近所の方々の協力によって、夜遅くまで練習をすることができています」と語るのは、マネージャーの中岡 竜也さん。地元を背負って、「全国制覇」を胸に、日々鍛錬を積んでいる。
■火力十分の打線と安定した2枚看板で秋8強
新チームの掲げた目標は、「チームで勝つ野球を目指し、攻撃面の強化に取り組む」こと。その言葉通り、秋季大会の得点は、予選3試合で26得点、本大会4試合で31得点。コンスタントに2桁近い得点を入れて打ち勝ってきたのだ。もちろん、攻撃だけでなく守備面も良好で、7試合で12失点に抑え、安定した戦績で秋を戦った。
実戦練習の様子(高陽東)
新チームが発足してから中心的役割を果たして来た投手は、岸田 雅也、木村 元稀の両選手。2枚看板として先発を務め、試合を作ってきた。
彼らとバッテリーを組むのは、捕手の黒川 直哉。二塁送球は常時1.9秒を記録し「投手陣からの信頼が厚い」との評判。また打撃でもチームトップの本塁打数を誇る長距離砲として貢献。今後もチームのキーマンとなりそうだ。
秋季広島県大会で打率5割超の、倉本 康太郎。不動の1番打者、吉田 海人。このようなメンバーが主に活躍し、チームを牽引した結果、県ベスト8の好成績を残し、次の季節への弾みをつけた。
■「克己」の心と強い体
だが「負けず嫌い」で「意識が高い」チームはこれで満足するはずがなかった。中国大会進出を賭けた県準々決勝で2対4の敗戦。好機は何度も演出しただけに悔しさは倍増。「自分たちの弱さを思い知った」と部員たちは語った。
オフシーズンはこの悔しさを忘れず、ウエイトトレーニングやバットスイングに励み、「夏には勝ち切ることができる身体と精神力を身につけたい」と選手。チャンスを逃した自分たちの精神を鍛える、チーム独自のランメニューがある。
一体何かと問えば、30km離れたある場所から、学校目指してランニングを行う。その「ある場所」とは、日本三景の一つ、宮島への航路を結ぶ地点の「宮島口」だという。宮島口から高陽東までの果てしないロングランは、チーム内で「克己マラソン」といわれ、もちろん「自分に勝つ(己に克つ)」という意味の「克己」からも分かるように、これは自らの精神力との勝負である。
高陽東は、オフシーズンで「一日1000スイング」を課している。この数字も、実際取り組むと、非常に過酷な目標であり、克己マラソンと同じように身体と精神の両方が悲鳴を上げるだろう。それでも、これをやり抜いた先には、秋にあと一歩届かなかったところまで、手が届くようになるのではないだろうか。前チームが越えられなかった「ベスト8」の壁にまたしても阻まれた新チーム。春そして夏に越えていける力をつけるのは、今だ。
[page_break:バッテリーに聞く今後の目標]校歌を歌う(高陽東)
高陽東が最強だ!
ここからは、チームのムードメーカーを自称する、本城 颯太郎外野手(2年)と崎本 翔太二塁手(2年)にお話を伺いました!
Q.秋の大会や練習試合が終わって見つけた課題を教えてください。
本城:やはりメンタルですね。一本が欲しい場面で出ず、抑えてほしい場面で点を取られるのは、精神力で負けているからだと思います。それから声もですね。声が届かなかったら判断ミスにつながるので。
崎本:小さいことでも、一つ一つの課題をクリアしていく必要があると思いました。
Q.このオフシーズンの目標、個人的に強化したいことを教えてください。
本城:身体が小さいので体重を増やして、ウエイトで筋肉を大きくしたいです。
崎本:僕は身長が164cmと少し小柄なので、体重は64kgを目標に、ウエイトや食トレで体を大きくしたいと思います。
Q. 応援する方々へ自分のここを見てほしいというのを教えてください!
本城:オフシーズンで大きくなったお尻を見てほしいです。(笑)
崎本:どんなに苦しくても、ここまで野球を続けてこられたのは、親の支えがあってこそなので、絶対に諦めない姿勢を出して、そこを見てもらいたいと思います。
ランニングの様子(高陽東)
Q.このチームの好きなところは、または他のチームに負けていないところはどんなところですか?
本城:ノリが分かっている面白い奴らばっかりで、僕にとっては家族のようなものです。他のチームに負けてないところは、「全部」です!このチームは投手も野手も最強です。負けるはずがない!高陽東がナンバーワン!
崎本:良い上下関係ができていて、みんな楽しく野球をやっているところです。みんなが協力して個々の能力アップに励んでいます。
Q. このオフシーズンで『自分はここまで成長するぞ!』と、いうこの冬の熱い宣言を最後にお願いします!
本城:高陽東のNo.1選手と呼ばれるように、この冬で成長したいと思います。「高陽東といえば本城」ぐらいの選手に成長したいです!
崎本:今よりもっと体を大きくして、ヒットの数を増やし、長打も打てるようになります!守備は誰よりも上手くなります!
本城選手、崎本選手、ありがとうございました。
[page_break:監督が語るビジョンとメッセージ]ランメニューの様子(高陽東)
監督が語るビジョンとメッセージ
沖元 茂雄監督にお話を伺いました。
Q. 今年のチームは、新チームが始まってからどんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。
前チームが春も夏もベスト8で敗退してしまったので、ベスト8の壁を超えることをテーマに掲げました。しかし結果はやはりベスト8で負けてしまい、中国大会出場を逃しました。この冬は投攻守すべてにレベルアップして、春には今よりもランクアップした野球ができるように鍛えていきたいと思います。
Q. 最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。
厳しい冬の練習だが、今年の夏にレベルアップした自分をイメージして、今の弱い自分と戦ってもらいたい。
<span style="font-weight:bold;" 沖元監督、高陽東野球部の皆様、ありがとうございました!
今年も大好評!
【冬が僕らを強くする 特設ページ】
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